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第八章 郷に入っては郷に従え
113 狐と狸の化かし合い 鶴丸
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「真中さま?ぶつぶつと独り言を言わはってどうなさったんです?」
あくまでにこやかに、戸惑いの声を上げる。うちは、うちの容姿をよう知っとるんよ?なかなかに整った女性的な顔つきであることも、舐められやすい背格好なことも。
これな、気に入っとる。奥さんが、うちの容姿を好きやって言うてくれてるからな。成人殿下も綺麗やって言うてくれたし。うち、この見た目で良かったわ。
「とりあえず、其方の部屋へ入れろ。わしは、こんなとこで時間潰しとるほど暇やないんや」
「真中さま。何を言うてはるんか、よう分かりません。何ぞ国同士の交渉ですやろか。うちは父の名代やし、重要な案件はうちの一存では決められへんですよ。それに、急に来られてもこちらは何の準備もできとりませんので無理ですわ。しっかりと検討してからお返事致しますんで、とりあえず用件をお伝え頂けますか?」
「其方如きに何の用もあらへんわ。緋色殿下の晩餐に其方が呼ばれたて聞かなんだら、わざわざこんなとこで待ちぼうけしたりするわけあらへんやろ」
また、ぼそぼそと文句垂れとるなあ。ま、全部聞こえとるんやけど。独り言にしては声大きいし長いって、おっちゃん。自重しいや。
表向きは、何も分からん若造の顔で可愛らしく首を傾げておく。
あ、ほんまは父上に全権任されて来とるから、どんな案件もうちが決めてええんやけどな。名代ってそういうもんやろ?おっちゃんには分からんかなあ。人に任せるん苦手そうやもんな。
「あー。その、なんや。披露宴、そう、披露宴や。披露宴の時に、わしが緋色殿下にそなたの国の果物が美味しいって紹介したったやろ。わしが緋色殿下にお届けするいうて言うてしもたからな。緋色殿下への献上品をうちに届けてもらう手配をしよと思てな」
「な」
なんやそら。
危ない。思わず声に出すとこやった。
「んんっ。そんなん、うちが自分で届けますよって、気にしてもらわんでも大丈夫です」
何とか誤魔化して話を続けたけど、なんや面倒臭うなってきたな。
「そやけど贈るてなると色々としきたりもあって難しいし、ぎょうさんお金がかかるやろ。うちとこがそっちから仕入れて持って行ったった方が、そっちの収入にも繋がって、万事まあるく納まるいうもんやで」
「しきたりとかそんなん大丈夫ですわ。個人の手土産なんやから、何も難しいことあらへんです。運び賃も、遊びに行くついでに運ぶつもりやから実質タダや」
「は?」
「せやから」
わざと一回、そこで話を止めてやった。はい、深呼吸してー。よう聞きや、おっちゃん。
「今度、緋色殿下の離宮に遊びに行くついでに、手土産でうちが自分で持っていくと言うとるんです」
「な、な、な、何やと?」
わなわなとおっちゃんの体が震えて、額に青筋が浮かんどる。おお、おお。ええ歳なんやから気をつけんと。血管切れてぽっくり逝ってまうで。
「ば、ば、ば」
「ば?」
「晩餐だけやのうて、殿下のご自宅へのご招待まで受けとる言うんか!」
うるさっ。おっちゃん、ここよそ様のうちやで。夜に騒いだらあかん。
あくまでにこやかに、戸惑いの声を上げる。うちは、うちの容姿をよう知っとるんよ?なかなかに整った女性的な顔つきであることも、舐められやすい背格好なことも。
これな、気に入っとる。奥さんが、うちの容姿を好きやって言うてくれてるからな。成人殿下も綺麗やって言うてくれたし。うち、この見た目で良かったわ。
「とりあえず、其方の部屋へ入れろ。わしは、こんなとこで時間潰しとるほど暇やないんや」
「真中さま。何を言うてはるんか、よう分かりません。何ぞ国同士の交渉ですやろか。うちは父の名代やし、重要な案件はうちの一存では決められへんですよ。それに、急に来られてもこちらは何の準備もできとりませんので無理ですわ。しっかりと検討してからお返事致しますんで、とりあえず用件をお伝え頂けますか?」
「其方如きに何の用もあらへんわ。緋色殿下の晩餐に其方が呼ばれたて聞かなんだら、わざわざこんなとこで待ちぼうけしたりするわけあらへんやろ」
また、ぼそぼそと文句垂れとるなあ。ま、全部聞こえとるんやけど。独り言にしては声大きいし長いって、おっちゃん。自重しいや。
表向きは、何も分からん若造の顔で可愛らしく首を傾げておく。
あ、ほんまは父上に全権任されて来とるから、どんな案件もうちが決めてええんやけどな。名代ってそういうもんやろ?おっちゃんには分からんかなあ。人に任せるん苦手そうやもんな。
「あー。その、なんや。披露宴、そう、披露宴や。披露宴の時に、わしが緋色殿下にそなたの国の果物が美味しいって紹介したったやろ。わしが緋色殿下にお届けするいうて言うてしもたからな。緋色殿下への献上品をうちに届けてもらう手配をしよと思てな」
「な」
なんやそら。
危ない。思わず声に出すとこやった。
「んんっ。そんなん、うちが自分で届けますよって、気にしてもらわんでも大丈夫です」
何とか誤魔化して話を続けたけど、なんや面倒臭うなってきたな。
「そやけど贈るてなると色々としきたりもあって難しいし、ぎょうさんお金がかかるやろ。うちとこがそっちから仕入れて持って行ったった方が、そっちの収入にも繋がって、万事まあるく納まるいうもんやで」
「しきたりとかそんなん大丈夫ですわ。個人の手土産なんやから、何も難しいことあらへんです。運び賃も、遊びに行くついでに運ぶつもりやから実質タダや」
「は?」
「せやから」
わざと一回、そこで話を止めてやった。はい、深呼吸してー。よう聞きや、おっちゃん。
「今度、緋色殿下の離宮に遊びに行くついでに、手土産でうちが自分で持っていくと言うとるんです」
「な、な、な、何やと?」
わなわなとおっちゃんの体が震えて、額に青筋が浮かんどる。おお、おお。ええ歳なんやから気をつけんと。血管切れてぽっくり逝ってまうで。
「ば、ば、ば」
「ば?」
「晩餐だけやのうて、殿下のご自宅へのご招待まで受けとる言うんか!」
うるさっ。おっちゃん、ここよそ様のうちやで。夜に騒いだらあかん。
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