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第八章 郷に入っては郷に従え
117 いつでも礼を取れるように 成人
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「ぶ、無礼討ち?」
「うん。無礼討ち。真中は俺に無礼」
胸を張って言ってから、ちょっと不安になった。
「無礼?だよね?」
緋色が近くにいなくても、俺だけでも包拳礼するんだよね?鶴丸と松吉、俺を見たらすぐにしてたし。今、真中の護衛たちも俺にしてるし。
「無礼ですよ」
「もう無礼の塊だな」
無礼の塊。何それ、面白い。
「くふふ」
楽しくなって笑っちゃった。
鶴丸と松吉が、また俯いて震え出した。
ん?放っといていいの?そう?
「ええっと、無礼の塊だから、ええっと」
どうしようかな。
俺だけの時は包拳礼しなくていいんじゃない?って思ってたけど、それじゃ駄目だって教えてもらったからなあ。俺にしないってことは、緋色のことを大事に思ってないってことになるんだって。それは駄目だ。緋色は大事。だから、俺にもちゃんとしてもらわないと困る。
「無礼の塊は」
「いま!」
真中が叫んだ。
「今、手をこれ、このように縛られとっては礼を取ることもできしません!」
あ、うん。まあそうね。でも。
「縛られてなくてもしてなかったけど」
「そ、そ、それは、その、急なことで、間に合わず」
「他の人、してたし」
「こ、こ、この年寄りは、若者と同じようには動けません。それを何の容赦もなくこのようにいきなり、大切な大切な髪を」
年寄りは動けない?年寄りって、年齢が上の人って意味だっけ?
俺は隣のじいやをじいっと見た。
「む?どうされましたか?」
うん、動けなくないな。
「年寄りは速くて強いです」
「ぶっは、ははは。違いねえ。その認識も、偏ってるけども」
頷きながら言うと、力丸が吹き出した。ん?偏ってるって何?じいじもじいやも速いよ?
俯いた鶴丸と松吉から、ひぃひぃと小さく音が漏れてくる。
「もー。うるさいから罰が考えられないじゃん」
「わりぃわりぃ。頑張ってたのな」
そうだよ。俺に無礼だったんだから、俺が考えないといけない。
「偽物の髪の毛切ったって、また偽物付けたらいいだけだしさ」
「あ、いや、そ、そのような……」
「鋭いな、成人……殿下」
ん?あ、そうか。うちの人以外の人がいる時は、力丸でも俺にこうして礼を取る。じゃああの人、めちゃくちゃ駄目じゃん。
「真中の目上って?」
「今この城の中では、緋色殿下と成人さま、九鬼家の当主一家だけですね」
「うーん。礼を取る相手が少ないのかー。だからやり方忘れちゃった?」
「忘れねえだろー」
力丸がぼそって呟いたけど、忘れちゃったのかもしれないよ?ほら、年寄り?だしさ。
「じゃあ、忘れないように、皆に礼を取るように、ええっと、目上の反対だから、め、め、目下!そう、目下になるのを罰にしよう」
「は?」
「ふむ。身分を下げるのですな」
「それで目下になる?」
「ええ。素晴らしい罰かと思われます」
「そう?」
へへ。素晴らしいって言われた。
「な、な、成人殿下に、そ、そ、そのようなけ、権利は」
「ありますね」
「あるだろ」
あるよね?俺、目上だし?
「どのくらい下げますか」
「え?どのくらい?うーん。それ分かんないから鶴丸にお願いしてもいい?まずは今、鶴丸より下ね」
「な、な、なにを」
「え?あ、はい」
鶴丸は、にこにこしていた顔を一気に引き締めた。
「真中大一郎。度重なる成人殿下への不敬により、西中国領主の地位を解任いたす。速やかに領主交代の手続きを取られよ。その後、前領主との肩書きを名乗ることも許さぬ。誰にでも礼を取れる身分に下げよとの成人殿下のご用命であるため、名字も剥奪する。上様へも仔細報告致し、すぐに、夜を過ごす部屋も移るよう達しを出す故、見張りの者とその場にて待て」
おおお。鶴丸、格好良い!
「うん。無礼討ち。真中は俺に無礼」
胸を張って言ってから、ちょっと不安になった。
「無礼?だよね?」
緋色が近くにいなくても、俺だけでも包拳礼するんだよね?鶴丸と松吉、俺を見たらすぐにしてたし。今、真中の護衛たちも俺にしてるし。
「無礼ですよ」
「もう無礼の塊だな」
無礼の塊。何それ、面白い。
「くふふ」
楽しくなって笑っちゃった。
鶴丸と松吉が、また俯いて震え出した。
ん?放っといていいの?そう?
「ええっと、無礼の塊だから、ええっと」
どうしようかな。
俺だけの時は包拳礼しなくていいんじゃない?って思ってたけど、それじゃ駄目だって教えてもらったからなあ。俺にしないってことは、緋色のことを大事に思ってないってことになるんだって。それは駄目だ。緋色は大事。だから、俺にもちゃんとしてもらわないと困る。
「無礼の塊は」
「いま!」
真中が叫んだ。
「今、手をこれ、このように縛られとっては礼を取ることもできしません!」
あ、うん。まあそうね。でも。
「縛られてなくてもしてなかったけど」
「そ、そ、それは、その、急なことで、間に合わず」
「他の人、してたし」
「こ、こ、この年寄りは、若者と同じようには動けません。それを何の容赦もなくこのようにいきなり、大切な大切な髪を」
年寄りは動けない?年寄りって、年齢が上の人って意味だっけ?
俺は隣のじいやをじいっと見た。
「む?どうされましたか?」
うん、動けなくないな。
「年寄りは速くて強いです」
「ぶっは、ははは。違いねえ。その認識も、偏ってるけども」
頷きながら言うと、力丸が吹き出した。ん?偏ってるって何?じいじもじいやも速いよ?
俯いた鶴丸と松吉から、ひぃひぃと小さく音が漏れてくる。
「もー。うるさいから罰が考えられないじゃん」
「わりぃわりぃ。頑張ってたのな」
そうだよ。俺に無礼だったんだから、俺が考えないといけない。
「偽物の髪の毛切ったって、また偽物付けたらいいだけだしさ」
「あ、いや、そ、そのような……」
「鋭いな、成人……殿下」
ん?あ、そうか。うちの人以外の人がいる時は、力丸でも俺にこうして礼を取る。じゃああの人、めちゃくちゃ駄目じゃん。
「真中の目上って?」
「今この城の中では、緋色殿下と成人さま、九鬼家の当主一家だけですね」
「うーん。礼を取る相手が少ないのかー。だからやり方忘れちゃった?」
「忘れねえだろー」
力丸がぼそって呟いたけど、忘れちゃったのかもしれないよ?ほら、年寄り?だしさ。
「じゃあ、忘れないように、皆に礼を取るように、ええっと、目上の反対だから、め、め、目下!そう、目下になるのを罰にしよう」
「は?」
「ふむ。身分を下げるのですな」
「それで目下になる?」
「ええ。素晴らしい罰かと思われます」
「そう?」
へへ。素晴らしいって言われた。
「な、な、成人殿下に、そ、そ、そのようなけ、権利は」
「ありますね」
「あるだろ」
あるよね?俺、目上だし?
「どのくらい下げますか」
「え?どのくらい?うーん。それ分かんないから鶴丸にお願いしてもいい?まずは今、鶴丸より下ね」
「な、な、なにを」
「え?あ、はい」
鶴丸は、にこにこしていた顔を一気に引き締めた。
「真中大一郎。度重なる成人殿下への不敬により、西中国領主の地位を解任いたす。速やかに領主交代の手続きを取られよ。その後、前領主との肩書きを名乗ることも許さぬ。誰にでも礼を取れる身分に下げよとの成人殿下のご用命であるため、名字も剥奪する。上様へも仔細報告致し、すぐに、夜を過ごす部屋も移るよう達しを出す故、見張りの者とその場にて待て」
おおお。鶴丸、格好良い!
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