【本編完結】人形と皇子

かずえ

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第八章 郷に入っては郷に従え

167 お手紙、自信あり  成人

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 封筒の表には、つる丸と松吉とかめ吉へ、と書いた。封筒の裏面に、成人よりと書く。書いた手紙を入れて糊をつけて封をした。

「…………」
「どうした?」

 封筒を手に考える。この後、どうやって届けるんだろ?
 俺が書いた朱実あけみ殿下への手紙は、緋色ひいろの書類のついでに誰かが届けてくれたり、護衛の仕事へ行く力丸りきまるが持って行ってくれたりする。反対も同じ。力丸りきまるが持って帰って来てくれたり、緋色ひいろ宛の書類のついでに届く時もある。近いから、自分で持って行く時もある。朱実あけみ殿下宛の書類置き場に置いて、そっと帰ってくる。その時は、ついでに書類も届けているから俺の仕事の一つだ。
 灯可とうかの家への、何日に行くよーとかって連絡は、気付いたら届いていた。知らなかったけど、先触れ係みたいな人がいて届けてくれているんだろうか。
 鶴丸つるまるの家は遠いけど、先触れ係は行ってくれるかな。

「これ、どうやって鶴丸つるまるのとこに届く?」
「ああ」

 緋色ひいろは、俺の封筒を見てちょっと笑った。

「何?」
「いや、住所を調べるのも面倒だしそれでいい。後で頼んでやる」
「住所?」
「住んでいる場所だな。ま、お前は気にするな。俺たちの書いた文書を外に出す時は、確実に届くよう人を使う」
「ん」

 届くのならそれでいいや。
 じゃあそれは緋色ひいろに渡して、次のお手紙を書こう。

「なんだ?まだ何かあるのか?」
「ん。いつもの」
「あ?まさか朱実あけみのか?」
「うん、そう」

 西の国に行く前にもらった手紙への返事を書かないとね。お返事は、帰ってきてから時間のある時でいいって書いてあった。今、時間あるから書こう。
 緋色ひいろが、鶴丸つるまるたちへの手紙を持って離れていった。出すの頼んでくれるのかな?ありがと。
 お返事を書く前に朱実あけみ殿下のお手紙を読み直しておかないと。元のお手紙と全然関係ないことを書いたら、お返事じゃなくなるからね。

『成人へ
拝復。夏の暑さが和らぎ気温が下がってきたが、体調は万全か。
間もなく西の国へ出立となるから、体調を崩さぬよう気をつけなさい。
今回の旅は仕事である。皇族としての自覚をしっかりと持ち行動しなさい。緋色を見習うと良いだろう。
では、気をつけて。
返事は、西の国から帰国し、時間のある時に書いたらよろしい。敬具。
朱実』
『朱実でん下へ
はいふく。あつくなくてさむくなくてちょうどいい気温です。雨がふっていても、頭は痛くないです。元気です。
西の国は楽しかったです。お仕事楽しかったです。緋色のまねをしました。できました。友だちもできました。もうすぐあそびに来てくれます。けい具。
成人より』

 ふふ。朱実あけみ殿下の真似をして書くと、格好良い手紙になる。俺、お手紙書くの上手になってきたんじゃない?
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