【本編完結】人形と皇子

かずえ

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第九章 礼儀を知る人知らない人

49 今日はここまで  緋色

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 想像よりも早くに呼び出しが来て、少し笑ってしまった。ちび達とほぼ同じだったか。楽しいことが多い程、体力が尽きるのが早くなるのは仕方ない所だ。
 起きたら、悔しがるだろうか。それとも、仕方ないとすぐに諦めるか。……今なら、悔しがるのだろうな。口には出さなくとも、きっと残念そうに眉を下げるのだろう。何もかもを、そういうものだと受け止めていた頃と違い、本当はこうしたかったという気持ちが透けて見えるのはなかなか良い。
 部屋に入り、座ったままぐらぐらと揺れている成人なるひとを抱き上げて背中をさすると、すぐに寝息が聞こえた。

「もうちょっと遊びたかったー」
「もう少しだけ遊べると思っていました。残念です」

 見可みかだけでなく、灯可とうかまで口を開いたことに驚く。共に部屋へと来た緋椀ひまりも、少し目を見開いていた。

「悪いな。今日はここまでだ。乙羽おとわ常陸丸ひたちまると部屋へ戻れ」
「私? 私は昼寝なんてしないわよ?」

 しても構わないんだが、そこら辺粘るよな、お前も。体力の無さは成人なるひとやちび達と似たり寄ったりのくせに、寝落ちしたり、諦めて昼寝しない分厄介なんだ。休み返上で仕事してたこと、忘れてるだろ。

乙羽おとわさま。私、末良すえよしと共に一休みしてから帰宅します。お互いに、一休み致しましょう」

 斑鹿乃むらかのが、末良すえよしを抱いたまま立ち上がった。流石、乙羽おとわの専属侍女。乙羽おとわの扱いに慣れている。そう? と乙羽おとわが呟く声に、にこりと笑顔を向けた。
 それから、深々と頭を下げる。

「皆さま、本日は息子の誕生日を祝ってくださり、ありがとうございました。楽しい時間でございました」

 深々と頭を下げた斑鹿乃むらかのに、朱音あかねを抱いた赤璃あかりが慌てて立ち上がって話しかけた。

「今日はたくさん話せて楽しかったわ。とても勉強になった。朱音あかね末良すえよしと遊べて楽しかったようだわ。斑鹿乃むらかの、良かったらまた会ってくれない?」
「皇太子妃殿下にそのようなお声をかけて頂くなど、恐れ多いことでございます」
「そんな畏まった話じゃないの。ただ、今日のように、少しだけ子ども達を遊ばせながらお話がしたいだけなの」
緋色ひいろ殿下と成人なるひとさまと乙羽おとわさまの許可が頂けますならば」

 離宮で、成人なるひと乙羽おとわも共にいるなら構わないってか。流石、元は二条に仕えるほどの貴族の端くれ。うまく言うものだ。迂闊に皇城に上がって、末良すえよし朱音あかねにひどく気に入られてしまったら俺も困る。あれは、うちの子なんだ。成人なるひとの大事なもの。乙羽おとわの大事なもの。

赤璃あかり、場所は必ずうちだ」
「それで充分よ」

 ならいい。
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