【本編完結】人形と皇子

かずえ

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第九章 礼儀を知る人知らない人

79 じいじ達はお留守番  成人

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「あのね。ぱんってして、どーんってした」

 亀吉かめきちが、竹光たけみつの膝の上で手や足を振り回してお話している。うふふ、と口に手を当てて笑う。可愛い。

「しゅごかった」
「ええなあ。ええなあ。じいじも行きたかったなあ」
「あしたいく?」
「明日かあ。明日も来るかなあ」
「ものの分からぬ獣やあるまいし、そんな毎日来やせんでしょ」

 竹光たけみつの横に座った玉鶴たまつるが答えた。
 視察を終えて、屋敷に帰ってきた。賊をたくさん捕まえたから、皆はまだまだ忙しい。亀吉かめきちと俺は、先に屋敷に入ってひと休み。外は寒かったしね。そのついでに、領主と奥さまにご報告をしている。

「来んかあ」
「まあ、ちまちま来とりましたけどね」
「来るやん」
「こんだけ大量に来たんがみーんな捕まったら、流石に一回お休みするんちゃいます? 全員捕まえたんですか、成人なるひと殿下?」

 玉鶴たまつるは、のんびりと俺に聞いた。緋見呼ひみこさまみたいな人だな、って最初に挨拶した時に思った。顔とかは緋見呼ひみこさまに全然似てないんだけど、何か似てる。玉鶴たまつる鶴丸つるまるのお母さんだから、鶴丸つるまるとそっくりな美人。顔は緋見呼ひみこさまとは全然違う。けど、よく分かんないけど、なんか、こう、何となく似てる。全然違うのに似てる? うーん?
 ま、いっか。

「一人だけ逃がした、って言ってた」
「あああ。そうかあ。やっぱりじいじも、今日行きたかったなあ」

 竹光たけみつは、亀吉かめきちを高く持ち上げて揺らしながら言った。亀吉かめきちが、きゃきゃきゃと声を上げた。
 竹光たけみつの残念な気持ち、分かる。もう、しばらく賊は来ないかもしれないもんね。たくさん捕まえたし。逃がした一人は、じいやが追いかけていった。
 村人は避難させといたから、皆、思いきり暴れてたなあ。楽しかったって言ってた。飛び道具とか持ってなかったから、案外簡単だったって。あちらも、人を殺したりとか、そんなつもりは無かったんだろう。人を殺したら駄目、だからね。

「じゃんけん、負けたんでしょう?」
玉鶴たまつる。何でそれを」
「何で知らんと思ったんです?」

 竹光たけみつ鶴丸つるまる、どっちが視察に行くかっていつまでも言い合いしてたから、じゃんけんしたら? って教えてあげた。そりゃいいって始まった二人のじゃんけんも、なかなか勝負がつかずに時間かかったけど。

「わしも行きたかったのう」

 じいじもじゃんけん、力丸りきまるに負けたからね。戦ったらじいじが強いけど、じゃんけんは力丸りきまるが強かった。

利胤としたね殿。残念やったなあ」
「本当に、残念じゃった。竹光たけみつ殿、後で存分に手合わせ致そう」
「そうやな。そうしましょう、利胤としたね殿。わしらにも楽しみがないとやってられませんでなあ」
亀吉かめきちが膝におるのが、充分なご褒美でございましょう? ちゃきちゃき仕事致しますよ、殿」

 玉鶴たまつるも、じゃんけん強そう。
 

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