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第九章 礼儀を知る人知らない人
99 知らないのも駄目 成人
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じいやが、他の罪人を連れてきた。遅かったから、じいやが迎えに行ってくれたんだな、きっと。縛らなくてもちゃんと歩いてきたみたいだ。一番重そうな一人だけが、拘束されて一ノ瀬二人に運ばれてきた。口に布を巻かれているのに、うーうー言っている。うるさそうだなあ。
「あの人たちにもお茶とお菓子」
「はいよ」
力丸だけじゃなく才蔵も、西賀国の護衛たちも、すぐに動いて盆を罪人の所に運んでくれた。皆、すぐにお茶に手を伸ばしていた。
西中国の人達は、罪人が部屋に入ってきたことで怖がって、部屋の隅に後退りしてしまっている。
力丸に頼んで、うるさそうな人の口布と縄も外してやった。縄は、じいやがかけたのかな。上手だった。
「何という。何という扱いや」
口布を外したら、お茶を飲む前に話し始めた。他の人より太いからかな? 太いと、少しくらい食べ物や飲み物をもらえなくても、元気が無くならないのかな。声が掠れてもいない。
あ。この人、蕪木じゃん。八百屋の清さんに、ぶどうが盗まれたとか何とか言ってた人。鶴丸の領地の野菜や果物を一手に買い取って他の所に売ってくれていたけれど、鶴丸たちが売った値段よりだいぶ高い値段を付けていたんだ。産地も、西中国になっていた。話し合いをして、このまま任せられないって鶴丸が判断した。これからは、鶴丸たちが自分で野菜や果物を売るから取り引きはおしまいってことで話がついた。
その時、蕪木は、鶴丸や緋色や俺に無礼な事をしたけれど、髪の毛を切ると西中国のお城に報告に行けなくなるかもしれないからって、髪の毛は切らなかった。お城に報告をしてもらいたかったからね。見逃してあげたのに、報告してないの? それじゃ、何のために髪の毛を残したのか分かんないじゃん。
ん? でも今、髪の毛が他の人より短いな?
「この私が、こんな者どもと同じ場所に」
ま、いいや。うるさいし。
「髪の毛、切っちゃお」
「はいよ」
力丸はそろそろ、髪の毛切りの名人になるかもなあ。
「あ? ああああ!」
蕪木、流石に大きい声を出したら声が掠れてた。元気だから、もしかして一人だけ、何かもらってたのかとも思ったけど、そうでもなかったみたい。でも、やっぱり元気。目の前に落ちた自分の髪の毛に悲鳴を上げている。うるさい。とっくにあんまり無かったじゃん。
亀吉が、自分の耳を小さな手で塞いだのが見えた。賢い。そうしてたらいいよ。すぐ終わるから。
部屋の隅で震え出した西中国の人たちにも目を向ける。
「みんな切ればいいかな?」
「そうしろ」
緋色が言ったら、髪の毛切り名人の力丸だけじゃなくて、常陸丸やじいじも動いた。並んでいる人の髪の毛を、あっという間に切っていく。才蔵も上手だった。才蔵は、自分も髪の毛を短く切ったし、壱鷹や弐角も髪の毛を短く切ったばかりだから、上手な切り方が分かるのかもしれない。じいじは、ちょっと下手くそ。
じいやは、罪人に気を配りながら動かずに見ていた。罪人たちも、ちょっと震えている。ああ。罪人だから、そっちも切らなきゃいけない。髪の毛なんて、切ってもどうせ伸びてくるからあんまり意味ないって思ってたけど、こんなに悲鳴が上がるんだから、ちょっと意味はある気がした。
じいやは、髪の毛切りはあんまり好きじゃないんだよね? 正一郎の父の髪の毛を切る時、力丸と真剣にじゃんけんして勝ってたから。負けた方が切る役だったから、本気でじゃんけんして勝ったってことは、したくない証拠だ。
罪人の方は、切ってもあんまり大きな悲鳴は上がらなかった。仕方ないって感じだった。切られるだけのことをしたって分かってるんだな。うん、えらい。
「私は! ほんまに知らん! ほんまに知らんのや!」
正一郎と何人かが叫んだけど、知らない、ってのも駄目なんじゃない?
「あの人たちにもお茶とお菓子」
「はいよ」
力丸だけじゃなく才蔵も、西賀国の護衛たちも、すぐに動いて盆を罪人の所に運んでくれた。皆、すぐにお茶に手を伸ばしていた。
西中国の人達は、罪人が部屋に入ってきたことで怖がって、部屋の隅に後退りしてしまっている。
力丸に頼んで、うるさそうな人の口布と縄も外してやった。縄は、じいやがかけたのかな。上手だった。
「何という。何という扱いや」
口布を外したら、お茶を飲む前に話し始めた。他の人より太いからかな? 太いと、少しくらい食べ物や飲み物をもらえなくても、元気が無くならないのかな。声が掠れてもいない。
あ。この人、蕪木じゃん。八百屋の清さんに、ぶどうが盗まれたとか何とか言ってた人。鶴丸の領地の野菜や果物を一手に買い取って他の所に売ってくれていたけれど、鶴丸たちが売った値段よりだいぶ高い値段を付けていたんだ。産地も、西中国になっていた。話し合いをして、このまま任せられないって鶴丸が判断した。これからは、鶴丸たちが自分で野菜や果物を売るから取り引きはおしまいってことで話がついた。
その時、蕪木は、鶴丸や緋色や俺に無礼な事をしたけれど、髪の毛を切ると西中国のお城に報告に行けなくなるかもしれないからって、髪の毛は切らなかった。お城に報告をしてもらいたかったからね。見逃してあげたのに、報告してないの? それじゃ、何のために髪の毛を残したのか分かんないじゃん。
ん? でも今、髪の毛が他の人より短いな?
「この私が、こんな者どもと同じ場所に」
ま、いいや。うるさいし。
「髪の毛、切っちゃお」
「はいよ」
力丸はそろそろ、髪の毛切りの名人になるかもなあ。
「あ? ああああ!」
蕪木、流石に大きい声を出したら声が掠れてた。元気だから、もしかして一人だけ、何かもらってたのかとも思ったけど、そうでもなかったみたい。でも、やっぱり元気。目の前に落ちた自分の髪の毛に悲鳴を上げている。うるさい。とっくにあんまり無かったじゃん。
亀吉が、自分の耳を小さな手で塞いだのが見えた。賢い。そうしてたらいいよ。すぐ終わるから。
部屋の隅で震え出した西中国の人たちにも目を向ける。
「みんな切ればいいかな?」
「そうしろ」
緋色が言ったら、髪の毛切り名人の力丸だけじゃなくて、常陸丸やじいじも動いた。並んでいる人の髪の毛を、あっという間に切っていく。才蔵も上手だった。才蔵は、自分も髪の毛を短く切ったし、壱鷹や弐角も髪の毛を短く切ったばかりだから、上手な切り方が分かるのかもしれない。じいじは、ちょっと下手くそ。
じいやは、罪人に気を配りながら動かずに見ていた。罪人たちも、ちょっと震えている。ああ。罪人だから、そっちも切らなきゃいけない。髪の毛なんて、切ってもどうせ伸びてくるからあんまり意味ないって思ってたけど、こんなに悲鳴が上がるんだから、ちょっと意味はある気がした。
じいやは、髪の毛切りはあんまり好きじゃないんだよね? 正一郎の父の髪の毛を切る時、力丸と真剣にじゃんけんして勝ってたから。負けた方が切る役だったから、本気でじゃんけんして勝ったってことは、したくない証拠だ。
罪人の方は、切ってもあんまり大きな悲鳴は上がらなかった。仕方ないって感じだった。切られるだけのことをしたって分かってるんだな。うん、えらい。
「私は! ほんまに知らん! ほんまに知らんのや!」
正一郎と何人かが叫んだけど、知らない、ってのも駄目なんじゃない?
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