【本編完結】人形と皇子

かずえ

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第九章 礼儀を知る人知らない人

116 日々、勉強  成人

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 とりあえず、行き止まりの部屋の人たちとの大事なお話は、一度終わりになった。ここに住んでいた人たちは、これからの生活を、自分で決めて自分で動く。そうしていいよって玉鶴たまつるが言ったら、皆ちゃんと動き出した。すごい。えらい。これからの事が上手くいくかは分からないけど、動き出せる人はすごいと思う。
 動き出せなかった人を見た事がある。椿つばきは迎えが来て、帰っていった。椿つばきの侍女だった坂寄さかきは、誰かに紹介された所で働いているみたいだ。その後、元気なのかとかは知らない。今まで思い出すこともなかったから。……元気かな? 今は二人とも、自分で考えて動けるようになっているといいんだけど。
 ここには、たくさんの人がいるから、これからあるじになる玉鶴や松吉だけで、全員の行き先を決めることは難しい。できない訳じゃないけれど、時間がかかるし大変。これからの自分のことを、自分で決められるように指示を出すのは正解な気がする。緋色ひいろもよくやる。人に仕事を、ぽんと任せちゃう。朱実あけみ殿下は、全部自分でしたい人だから、こういうのは苦手。緋色ひいろには仕事を渡すんだけどね。朱実あけみ殿下、緋色ひいろの他にも仕事を渡せる人が、たくさんできるといいな。

「住む場所や働き先が決まったら、全員、必ず私に連絡をするように伝えなさい」

 玉鶴たまつるが、松吉まつきち亀吉かめきちの護衛の香月かづきを呼んで言った。香月かづきは、はい、と返事をして、奥へ走っていった。玉鶴たまつるの護衛は、きらきらの着物の人の後をついて行ったまま、まだ戻ってきていない。おかしな事をしないように、ちゃんと見張りをしてるんだろう。玉鶴が、皆、私に連絡をするように、って伝えるのも流石だ。
 真中だった人と正一郎は、俺の下した罰をきちんと受けなかった。
俺は、こうしなさい、と言っただけで真中だった人を国に帰したし、見張りも付けず、後のことを調べたりもしなかった。それが、駄目だったんだと思う。だから、真中だった人と正一郎の罪が増えてしまった。
 これからは見張りを付けて、もっと厳しい罰を下さないといけない。ちょっと俺のせいでもあるから、よく考えないとなあ。玉鶴のやり方は、とても勉強になる。まあ、俺が罰を下すこととか、人の行き先を考えることなんてほとんど無いんだけどさ。緋色ひいろはあるだろうから、ちょっとでもお手伝いができたらいい。
 
 一度解散して、それぞれでご飯を食べることになった。
 デートだ、デート。
 正装の軍服を脱いで、温かいふわふわのくまの服を着る。その上にも、ふわふわの上着を羽織る。

「外は寒いから、ちゃんと着とけよ」
「うん」

 ちゃんと着るよ。俺は、寒いのはすごく苦手なので。
 多分、俺が育った場所や戦っ……仕事をしていた場所より、皇国や西国は寒い。
 ふわふわの服の上にふわふわの上着を重ねて着ると、大きくなった気がするから割と好き。上着を着ないでお出かけできる季節なら、緋色ひいろとお揃いの服がいいんだけど。

「デート!」
「おう。デートだな」

 常陸丸ひたちまる力丸りきまるとじいじが一緒にいても、緋色ひいろとの楽しいお出かけは全部デートだ。
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