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第九章 礼儀を知る人知らない人
126 しゃぶしゃぶ係に立候補 成人
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「こうして、お好みの野菜をまずは鍋に入れて煮ます。その上で、こう、このように、お肉をその鍋に入れてしゃぶしゃぶと揺すりますと、あっという間に火が通るんですわ。お肉の色が変わったら、食べ頃にございます。良い具合やと思ったらお好きに取り出して、お好きなタレをつけてお召し上がりください。タレは、酸味の強いものから辛いもの、甘いものなど幾つか種類がございます。こちらも、お好みで。醤油が好みやと仰る方もいらっしゃいますし、薬味だけ付けて召し上がる方もいらっしゃいます。何でも、注文してくださればお持ちしますんで仰ってください。野菜も、良い具合や思ったらそれが食べ頃です。入れて温めるだけで、しゃきしゃきと召し上がるも良し。くたくたになるまで煮るも良し。何でも、お好みで召し上がって頂いたらよろしいんです。こちらのブリいう魚などは、このまま醤油とわさびを付けて生で頂いても大変に美味しい品でございますが、鍋でこう、しゃぶしゃぶと揺らすと少し火が通って、なんとも言えぬ食感と良い味わいになります。是非とも、生と半生と火が完全に通った品を食べ比べたりなどしてみてください」
おおお。
お肉の色が変わる。魚も。
すごい。これ、すごい。面白い。
俺、色々する。色々、食べ比べする。
お肉や魚をしゃぶしゃぶするための長いお箸を持つと、もう料理をしている気分だ。
お鍋の中の出汁がぐつぐつと煮え出すととてもいい匂いがして、その匂いだけで何だか美味しい。この美味しい匂いのついた野菜とお肉と魚。絶対美味しいよ。
着物の人が食べ方の見本を見せてくれている鍋の横に置いてあるもう一つの鍋に、力丸が野菜をあるだけ放り込んでいる。そんなに入れたらあふれない? 大丈夫?
あ、お肉は一緒に放り込んだら駄目だよ。
「力丸、違う。お肉はしゃぶしゃぶするんだって」
「ん? ああ。それじゃ一枚ずつしかできねえじゃん」
「一枚ずつ食べるんだから、一枚ずつでいいでしょ」
「一枚食べ終わったらすぐ次食べたいから、一枚食べてる間に次ができててほしい」
「じゃあ、俺が力丸の分もしゃぶしゃぶしてあげる」
そしたら、たくさんしゃぶしゃぶできるな。そうだ、緋色のも……。
「そう? じゃ頼……痛っ」
常陸丸が力丸の頭をぺしって叩いた。
「そんなこと頼んだら、成人が肉をしゃぶしゃぶするのに夢中になって、食うのを忘れるだろ。とりあえず、一枚ずつ自分で火を通して食え」
「まだるっこしい食べ物だなあ」
着物の人は、少しびっくりした顔をしてから、ふふ、と笑った。
「まずは皆様、私の言うたようにしてみてください。味わいの違いが分かって頂けると思いますよ」
する。俺、美味しいの作る。
おおお。
お肉の色が変わる。魚も。
すごい。これ、すごい。面白い。
俺、色々する。色々、食べ比べする。
お肉や魚をしゃぶしゃぶするための長いお箸を持つと、もう料理をしている気分だ。
お鍋の中の出汁がぐつぐつと煮え出すととてもいい匂いがして、その匂いだけで何だか美味しい。この美味しい匂いのついた野菜とお肉と魚。絶対美味しいよ。
着物の人が食べ方の見本を見せてくれている鍋の横に置いてあるもう一つの鍋に、力丸が野菜をあるだけ放り込んでいる。そんなに入れたらあふれない? 大丈夫?
あ、お肉は一緒に放り込んだら駄目だよ。
「力丸、違う。お肉はしゃぶしゃぶするんだって」
「ん? ああ。それじゃ一枚ずつしかできねえじゃん」
「一枚ずつ食べるんだから、一枚ずつでいいでしょ」
「一枚食べ終わったらすぐ次食べたいから、一枚食べてる間に次ができててほしい」
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する。俺、美味しいの作る。
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