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第十章 されど幸せな日々
9 ご褒美 成人
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「どうした」
お風呂上がり、緋色の髪の毛に美容液を馴染ませていたら、緋色が言った。
「なにー?」
今、俺のこと見えてないよね? 俺、いつも通りに美容液を手に出して、緋色の髪の毛を撫でているだけだよ。片手で瓶を掴んで、手のひらにひょいとひっくり返して出す時に出し過ぎたなー、ってちょっと思ってただけだ。うん。
「どうもしてないのか?」
「わ」
まだ美容液をつけ終わっていないってのに、くるってひっくり返った緋色に捕まってしまった。
「まだ終わってないのにー」
「そうか」
「そうだよ」
緋色は、まだ美容液のついていた俺の手を、置いてあった濡れ手拭いで拭いてしまう。
「もー」
半分だけつやつやになって、格好悪くなってもしらないからね。
…………。
まあ、その、緋色が格好悪くなることなんて無いんだけど。
「言ってみろ」
なにを?
「何も無いのか」
なんだろなあ。
んー。
「手が、足りなくて……」
今日の俺は役立たずで。
よく考えたら、こっちの国に来てからあんまりお仕事できていないような。あっちの家ならさ。お茶出ししたり、掃除や洗濯の手伝いもできてたんだけど。色々、する事あって忙しかったんだけど。
「そうか」
緋色の腕の中は気持ちいい。今日の俺はご褒美をもらえるようなことを何もしていないのに、ご褒美をもらっている気分。
「あぁ」
緋色が息を吐いた。
これは、ため息じゃないやつ。
「俺への褒美だ」
すり、と俺の頬に頬をくっ付けて、それからちゅー。
「ご褒美?」
「ああ」
「これが? 緋色の?」
俺へのご褒美じゃなく?
あ、いや、俺はご褒美をもらえるような事は何にもしてないんだけどね。
「ああ」
そう? 緋色はさ、きっと今日も頑張ったんだろうから、これがご褒美だって言うんならご褒美があって良かった。
うん。
緋色はさ、いつもお仕事、頑張ってるから。どんなお仕事してるのかとか、ちゃんと知ってる訳じゃないけど、頑張っていることを俺は知っている。
お仕事嫌だ、とか休む、とかいつも言うけどさ。ちゃんと休める時しか休まないし、任されたお仕事をやらなかった事もないよね。朱実殿下も、お手紙の中で言っていた。朱実殿下が任せた仕事が間に合わなかったり、できなかった事がないんだって。だから、緋色のことを頼りにしてるんだって。
そんな緋色だからさ。ご褒美があってもいいと思うよ。でもさー、俺はさー。
「はあ」
思わず息を吐く。駄目だな。これはため息だ。緋色の腕の中でため息なんて、駄目だ。
「ここに居るだけで、お前は立派に仕事をしてるんだがな」
「ん?」
なに?
「いや? 帰りたいか?」
「んー? んん?」
あっちの家の方がお仕事もできるし、掃除も洗濯も手伝えて、暮らしやすいけど、でも。
一番したいのは緋色と居ることだから。
「緋色が帰るなら帰る」
「そうか」
緋色は、くくって笑った。
「俺は、お前が本当に帰りたいなら帰るぞ?」
「ええー?」
俺は緋色に合わせるし、緋色は俺に合わせるの?
それ、いつまでも答えが出ないやつだ。
「どーするの?」
「どっちでも」
緋色は本当は、緋色じゃないとできない仕事があるから、どっちでもじゃない。分かってる。
でも、一緒にいたい気持ちが一緒だから、嬉しい。
お風呂上がり、緋色の髪の毛に美容液を馴染ませていたら、緋色が言った。
「なにー?」
今、俺のこと見えてないよね? 俺、いつも通りに美容液を手に出して、緋色の髪の毛を撫でているだけだよ。片手で瓶を掴んで、手のひらにひょいとひっくり返して出す時に出し過ぎたなー、ってちょっと思ってただけだ。うん。
「どうもしてないのか?」
「わ」
まだ美容液をつけ終わっていないってのに、くるってひっくり返った緋色に捕まってしまった。
「まだ終わってないのにー」
「そうか」
「そうだよ」
緋色は、まだ美容液のついていた俺の手を、置いてあった濡れ手拭いで拭いてしまう。
「もー」
半分だけつやつやになって、格好悪くなってもしらないからね。
…………。
まあ、その、緋色が格好悪くなることなんて無いんだけど。
「言ってみろ」
なにを?
「何も無いのか」
なんだろなあ。
んー。
「手が、足りなくて……」
今日の俺は役立たずで。
よく考えたら、こっちの国に来てからあんまりお仕事できていないような。あっちの家ならさ。お茶出ししたり、掃除や洗濯の手伝いもできてたんだけど。色々、する事あって忙しかったんだけど。
「そうか」
緋色の腕の中は気持ちいい。今日の俺はご褒美をもらえるようなことを何もしていないのに、ご褒美をもらっている気分。
「あぁ」
緋色が息を吐いた。
これは、ため息じゃないやつ。
「俺への褒美だ」
すり、と俺の頬に頬をくっ付けて、それからちゅー。
「ご褒美?」
「ああ」
「これが? 緋色の?」
俺へのご褒美じゃなく?
あ、いや、俺はご褒美をもらえるような事は何にもしてないんだけどね。
「ああ」
そう? 緋色はさ、きっと今日も頑張ったんだろうから、これがご褒美だって言うんならご褒美があって良かった。
うん。
緋色はさ、いつもお仕事、頑張ってるから。どんなお仕事してるのかとか、ちゃんと知ってる訳じゃないけど、頑張っていることを俺は知っている。
お仕事嫌だ、とか休む、とかいつも言うけどさ。ちゃんと休める時しか休まないし、任されたお仕事をやらなかった事もないよね。朱実殿下も、お手紙の中で言っていた。朱実殿下が任せた仕事が間に合わなかったり、できなかった事がないんだって。だから、緋色のことを頼りにしてるんだって。
そんな緋色だからさ。ご褒美があってもいいと思うよ。でもさー、俺はさー。
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「ん?」
なに?
「いや? 帰りたいか?」
「んー? んん?」
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それ、いつまでも答えが出ないやつだ。
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緋色は本当は、緋色じゃないとできない仕事があるから、どっちでもじゃない。分かってる。
でも、一緒にいたい気持ちが一緒だから、嬉しい。
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