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第十章 されど幸せな日々
46 もう一人の行方 西賀国役人
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「遅かったな。どっかで昼ご飯もろて来たんか?」
やっと全員届け終えて城へ戻ると、会う人ごとにそう言われた。
「そんな訳あるか。お腹ぺこぺこや」
「え? 昼ご飯まだなん? 残ってたかな? どこまで行ってきたん?」
「げ。もう昼残っとらん? ここに戻ってきて食べるって朝に言うといたんやけど。あー、でも、すぐ戻れる思てたから遅なるとは言うとらんな。うわあ、しもた。店のある方へ行って食ってくりゃ良かったかな。あー、でも、あんまり金を持っていっとらんかったからなー。行ったんは、ほら、予定通りのとこやで。果実の畑んとこと積み木の工場んとこと、その先の木材の加工場」
「はは。それでこんな時間になる訳ないやん。どんだけ寄り道したんや」
「途中で獣でも出て、退治してきたんか?」
特に仲の良い相手と詳しく話しとったら、近くで聞いとった別の者も口を挟んできた。
「そんな訳あるか。西中国の人ら、すごい歩くんが苦手やったみたいでな。まあ、進まんかった。ほんまに、進まんかった」
「はは。そうか。お疲れさん」
「大変やったな」
現金なもんで、そうやって労われると、もうちょい頑張ろかと思えてくる。
「とりあえず、なんか食べてき」
「厨房行けば、なんかもらえるやろ」
「あ、そやな」
残りのもう一人を連れて行くんは、ご飯の後でもええやろ。どうせまた進まん。
厨房には、しっかり一人分の食事が残されとった。ああ、ありがとう。腹減った。
え? 汁や煮物の温め直しをするから待てって? ええよ、ええよ、そんなん。このままでええ。
え? あかん? どうせなら美味しいものを?
ああ、はいはい。
「そういや、西中国から連れてこられたうちの一人は、放免、いうことになったらしいですよ」
「へ?」
「あれ? 聞いとりませんか?」
「ああ。今、帰ったとこやしな。使いも来んかった」
「そうでしたか。まあ、なんや、その、放免する事にしたけど、何の手持ちもない人やからって、あんまり使てない小屋を片付けて置いてやったらしいです。凍えてしもたら事やでって、火鉢も置いて」
「へええ」
そういう指示を出すんは千代さまやな、きっと。何があったか知らんが、優しいあの人が、放免やのなんやの言うてほんまに放り出せる訳がない。
「そんで、まあ、なんかしてもなんもせんでもお腹が空くやろで、食べ物欲しいって頭を下げてきたら、なんか上げてほしいって、ち、奥様が」
「なるほど」
放免できん人やなあ。
「そんで、言うてきたんか? その人。腹減ったって」
「いや。厨房には来とらんみたいです」
「そうかー」
ご飯を食べたら様子を見に行くか。
まあ、ちょっとだけ。
やっと全員届け終えて城へ戻ると、会う人ごとにそう言われた。
「そんな訳あるか。お腹ぺこぺこや」
「え? 昼ご飯まだなん? 残ってたかな? どこまで行ってきたん?」
「げ。もう昼残っとらん? ここに戻ってきて食べるって朝に言うといたんやけど。あー、でも、すぐ戻れる思てたから遅なるとは言うとらんな。うわあ、しもた。店のある方へ行って食ってくりゃ良かったかな。あー、でも、あんまり金を持っていっとらんかったからなー。行ったんは、ほら、予定通りのとこやで。果実の畑んとこと積み木の工場んとこと、その先の木材の加工場」
「はは。それでこんな時間になる訳ないやん。どんだけ寄り道したんや」
「途中で獣でも出て、退治してきたんか?」
特に仲の良い相手と詳しく話しとったら、近くで聞いとった別の者も口を挟んできた。
「そんな訳あるか。西中国の人ら、すごい歩くんが苦手やったみたいでな。まあ、進まんかった。ほんまに、進まんかった」
「はは。そうか。お疲れさん」
「大変やったな」
現金なもんで、そうやって労われると、もうちょい頑張ろかと思えてくる。
「とりあえず、なんか食べてき」
「厨房行けば、なんかもらえるやろ」
「あ、そやな」
残りのもう一人を連れて行くんは、ご飯の後でもええやろ。どうせまた進まん。
厨房には、しっかり一人分の食事が残されとった。ああ、ありがとう。腹減った。
え? 汁や煮物の温め直しをするから待てって? ええよ、ええよ、そんなん。このままでええ。
え? あかん? どうせなら美味しいものを?
ああ、はいはい。
「そういや、西中国から連れてこられたうちの一人は、放免、いうことになったらしいですよ」
「へ?」
「あれ? 聞いとりませんか?」
「ああ。今、帰ったとこやしな。使いも来んかった」
「そうでしたか。まあ、なんや、その、放免する事にしたけど、何の手持ちもない人やからって、あんまり使てない小屋を片付けて置いてやったらしいです。凍えてしもたら事やでって、火鉢も置いて」
「へええ」
そういう指示を出すんは千代さまやな、きっと。何があったか知らんが、優しいあの人が、放免やのなんやの言うてほんまに放り出せる訳がない。
「そんで、まあ、なんかしてもなんもせんでもお腹が空くやろで、食べ物欲しいって頭を下げてきたら、なんか上げてほしいって、ち、奥様が」
「なるほど」
放免できん人やなあ。
「そんで、言うてきたんか? その人。腹減ったって」
「いや。厨房には来とらんみたいです」
「そうかー」
ご飯を食べたら様子を見に行くか。
まあ、ちょっとだけ。
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