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婚約破棄されたので給仕として新たな人生をスタートさせます!
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「マリアベル! お前との婚約を破棄する!」
「そんな……! お願いですアルバート様!」
「私はユリアを愛している。お前のような女にはもううんざりだ。ユリアと私の仲をねたんでユリアに散々嫌がらせをしたそうだな? お前という女はどこまで性根が腐っているのだ? 魔法も使えない穀潰しのお前に今まで情けをかけてやっていたというのに!」
「そのようなことはすべて言いがかりです!」
「この期に及んでまだそのような言い逃れを? 本当にお前はどうしようもない女だな!」
アルバートの隣で妹のユリアがほくそ笑んでいる。これ見よがしにアルバートの腕に腕を絡ませてぴたりと身を寄せている。
・
・
・
「マリアベル、妹のユリアと比べてお前は本当に出来が悪い。初級魔法ですら満足に使えんとはな」
「ユリアは何を着ても似合う。その点お前ときたら……。着られているドレスの方が可哀想になるくらいの不格好さだな。お前のようなものは舞踏会など今後一切行かなくてよい。我が家の恥さらしだ」
私はメイソン侯爵家の長女マリアベル。
幼い頃から妹のユリアに比べて出来が悪いと言われ虐げられてきた。
その上さらに今、婚約者までもを妹のユリアに奪われようとしている。
・
・
・
婚約破棄を宣言される数日前。父上の執務室にて。
「アルバートとの婚約は解消する」
「……?! どうしてですの?! 私はそのようなことを言われるようなことは何も!」
「お前よりもユリアのほうがアルバートにはふさわしい」
お父様が急にこんなことを言い出した理由は分かっている。妹のユリアがアルバートと自分を結婚させるように頼みこんだからだ。
「お父様! 私、アルバート様を愛しているの。どうか婚約破棄だけは……!」
涙を流して懇願する私を父上の背後から満足げに見つめるユリア。
「見苦しいですわよお姉さま。お姉さまは婚約者失格の烙印を押されたのです。アルバート様は私のことを愛していると言ってくださいました。この期に及んでまだ私とアルバート様の邪魔をするおつもりですの? 元々アルバート様のような素晴らしいお方がお姉さまの婚約者だなんておかしな話だったのよ」
父上はいかにもユリアの言う通りという風に頷いている。姉の婚約者に手を出した妹に対しての小言などもちろん一切ない。
ユリアが優越感にまみれたにたぁとした笑顔を浮かべて私の肩に手を置く。
「心配はいりませんわ、お姉さま。私がすぐにお姉さまにふさわしい、下級貴族の下品でいやらしくぶかっこうな新しい婚約者の方を見つけて差し上げますから」
・
・
・
再び婚約破棄の場。
アルバート様から正式に婚約破棄を告げられて途方に暮れた私は言った。
「……愛するアルバート様が私以外の方とご結婚されるのを近くで見ているなどとてもできそうにありません。私、この家を出させていただきます」
「あら、家を出るなんて、街で売女でもするおつもり? たしかにお姉さまにはふさわしい生き方かもしれませんわね!」
アルバートの隣にいたユリアがさも愉快そうに言う。二人の背後に座っていた父上がさらに続ける。
「そのような勝手をすると言うのであれば親子の縁は切らせてもらう。今後一切我が家の敷居をまたぐことは許さない」
私がはこれまで婚約者のアルバート様にふさわしい女性になろうと必死に頑張ってきた。
なのに妹のユリアにすべてを奪われるなんて……!
傷心のままごくわずかな荷物だけを持って私は邸を出た。
……もうこのまま死んでしまいたい……。
なーんてね!!!!!!!!!!!!
なわけあるかっつーの!!!!!!
あー笑い止まらん!!!!!!!!!
邸を出てしばらくしたところで私は大きく伸びをすると大声で声をあげて笑った。
ついに! ついにやったわ!
あの変態婚約者アルバートを妹のユリアに押しつけることができた!!!
お父様もユリアもご存知ないけれど、あの変態婚約者から私がどれだけ危ない目に遭ってきたことか。
二人きりの時に縄で体を縛られそうになって逃げだしたのは一度や二度じゃない。
これが本当に結婚でもさせられようものならと想像しただけで震えがくる。
アルバートはあの通り見た目はものすごくイケてるし、普段は貴族らしい穏やかさを装っているけれど、女性に対して普通でない趣味を持っている。
今はユリアに対してもまだ猫を被っているようだけど、いずれ化けの皮が剥がれるに違いない。そうなった時が見ものだわ。
ユリアったら鬼のような形相で私を睨みつけて罵倒するかもしれないわね。
あんなに堂々と婚約だの愛しているだの公表してしまって、蓋を開けたら変態貴族とイチャついてたきずもの令嬢なんて、ほんとざまぁみろ。
その瞬間のことを想像すると笑みが止まらない。
そうなった時にまたアルバートを私に押しつけられるのはうんざりだから、私は傷心を装ってさっさと城下街へと出ることにした。
ずっと虐げられ続けたあの家を出ることができた! 貴族の娘とは名ばかりで、毎日使用人たちと同じ下働きの日々。仕事をするのは嫌いじゃないし、使用人のみんなはいい人ばかりだったからそれ自体は苦痛ではなかったけれど、あのユリアに嫌がらせをされながらこき使われるのはもううんざりだった。
こうしてずっと自分一人の力で自由に生きてみたかった!
その願いが今やっと叶ったのだ! ありがとう婚約破棄!
初めて一人で自由に歩く城下町。ああなんて素敵なんでしょう!
私は身に着けていた宝石を売ってお金をつくり、手早く住まいを決めた。すぐに見つかったカフェの給仕の仕事にはあっという間になれて、楽しい毎日を送っている。
カフェガールって昔から憧れてたのよね♪
あー制服もものすごく可愛らしいわ、なんて幸せなの。
私の新たな人生がこうして幕を開けた。
「そんな……! お願いですアルバート様!」
「私はユリアを愛している。お前のような女にはもううんざりだ。ユリアと私の仲をねたんでユリアに散々嫌がらせをしたそうだな? お前という女はどこまで性根が腐っているのだ? 魔法も使えない穀潰しのお前に今まで情けをかけてやっていたというのに!」
「そのようなことはすべて言いがかりです!」
「この期に及んでまだそのような言い逃れを? 本当にお前はどうしようもない女だな!」
アルバートの隣で妹のユリアがほくそ笑んでいる。これ見よがしにアルバートの腕に腕を絡ませてぴたりと身を寄せている。
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「マリアベル、妹のユリアと比べてお前は本当に出来が悪い。初級魔法ですら満足に使えんとはな」
「ユリアは何を着ても似合う。その点お前ときたら……。着られているドレスの方が可哀想になるくらいの不格好さだな。お前のようなものは舞踏会など今後一切行かなくてよい。我が家の恥さらしだ」
私はメイソン侯爵家の長女マリアベル。
幼い頃から妹のユリアに比べて出来が悪いと言われ虐げられてきた。
その上さらに今、婚約者までもを妹のユリアに奪われようとしている。
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婚約破棄を宣言される数日前。父上の執務室にて。
「アルバートとの婚約は解消する」
「……?! どうしてですの?! 私はそのようなことを言われるようなことは何も!」
「お前よりもユリアのほうがアルバートにはふさわしい」
お父様が急にこんなことを言い出した理由は分かっている。妹のユリアがアルバートと自分を結婚させるように頼みこんだからだ。
「お父様! 私、アルバート様を愛しているの。どうか婚約破棄だけは……!」
涙を流して懇願する私を父上の背後から満足げに見つめるユリア。
「見苦しいですわよお姉さま。お姉さまは婚約者失格の烙印を押されたのです。アルバート様は私のことを愛していると言ってくださいました。この期に及んでまだ私とアルバート様の邪魔をするおつもりですの? 元々アルバート様のような素晴らしいお方がお姉さまの婚約者だなんておかしな話だったのよ」
父上はいかにもユリアの言う通りという風に頷いている。姉の婚約者に手を出した妹に対しての小言などもちろん一切ない。
ユリアが優越感にまみれたにたぁとした笑顔を浮かべて私の肩に手を置く。
「心配はいりませんわ、お姉さま。私がすぐにお姉さまにふさわしい、下級貴族の下品でいやらしくぶかっこうな新しい婚約者の方を見つけて差し上げますから」
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再び婚約破棄の場。
アルバート様から正式に婚約破棄を告げられて途方に暮れた私は言った。
「……愛するアルバート様が私以外の方とご結婚されるのを近くで見ているなどとてもできそうにありません。私、この家を出させていただきます」
「あら、家を出るなんて、街で売女でもするおつもり? たしかにお姉さまにはふさわしい生き方かもしれませんわね!」
アルバートの隣にいたユリアがさも愉快そうに言う。二人の背後に座っていた父上がさらに続ける。
「そのような勝手をすると言うのであれば親子の縁は切らせてもらう。今後一切我が家の敷居をまたぐことは許さない」
私がはこれまで婚約者のアルバート様にふさわしい女性になろうと必死に頑張ってきた。
なのに妹のユリアにすべてを奪われるなんて……!
傷心のままごくわずかな荷物だけを持って私は邸を出た。
……もうこのまま死んでしまいたい……。
なーんてね!!!!!!!!!!!!
なわけあるかっつーの!!!!!!
あー笑い止まらん!!!!!!!!!
邸を出てしばらくしたところで私は大きく伸びをすると大声で声をあげて笑った。
ついに! ついにやったわ!
あの変態婚約者アルバートを妹のユリアに押しつけることができた!!!
お父様もユリアもご存知ないけれど、あの変態婚約者から私がどれだけ危ない目に遭ってきたことか。
二人きりの時に縄で体を縛られそうになって逃げだしたのは一度や二度じゃない。
これが本当に結婚でもさせられようものならと想像しただけで震えがくる。
アルバートはあの通り見た目はものすごくイケてるし、普段は貴族らしい穏やかさを装っているけれど、女性に対して普通でない趣味を持っている。
今はユリアに対してもまだ猫を被っているようだけど、いずれ化けの皮が剥がれるに違いない。そうなった時が見ものだわ。
ユリアったら鬼のような形相で私を睨みつけて罵倒するかもしれないわね。
あんなに堂々と婚約だの愛しているだの公表してしまって、蓋を開けたら変態貴族とイチャついてたきずもの令嬢なんて、ほんとざまぁみろ。
その瞬間のことを想像すると笑みが止まらない。
そうなった時にまたアルバートを私に押しつけられるのはうんざりだから、私は傷心を装ってさっさと城下街へと出ることにした。
ずっと虐げられ続けたあの家を出ることができた! 貴族の娘とは名ばかりで、毎日使用人たちと同じ下働きの日々。仕事をするのは嫌いじゃないし、使用人のみんなはいい人ばかりだったからそれ自体は苦痛ではなかったけれど、あのユリアに嫌がらせをされながらこき使われるのはもううんざりだった。
こうしてずっと自分一人の力で自由に生きてみたかった!
その願いが今やっと叶ったのだ! ありがとう婚約破棄!
初めて一人で自由に歩く城下町。ああなんて素敵なんでしょう!
私は身に着けていた宝石を売ってお金をつくり、手早く住まいを決めた。すぐに見つかったカフェの給仕の仕事にはあっという間になれて、楽しい毎日を送っている。
カフェガールって昔から憧れてたのよね♪
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