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魔法学園での日々
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翌日から魔法学園の二年生に編入した私の新たな日々が始まった。
住まいを魔法学園の寮に移し、平日は朝から晩まで魔法の理論と実技を学ぶ。
特待生として奨学金が給付されるから毎日暮らす最低限のお金はあったけれど、蓄えをつくるためにも週末は今まで働いていたカフェで引き続き給仕として働き続けることにした。
魔法学園に通っているのは貴族の子女がほとんどだから休日にバイトなどしているのは私くらいのもので、周りからは奇異の目で見られている。
そんな私を心配してか、週末ごとにルーク様からドレスやら鞄やら本やらが大量に届くようになった。
「ルーク様、あの、お気持ちはありがたいのですが、このような贈り物は……」
「もしかして、気に入らなかったかな?」
「いえ、決してそういうわけでは……。ですが私には勿体ないお品ばかりです。私に対して過度な施しは不要です」
ルーク様があれこれと世話を焼いてくれるので恐縮した私は言った。
「私は街育ちの雑草みたいな女ですし、必要なものは本くらいなものでドレスも鞄も必要ありませんから」
ルーク様が私の言葉にぷっと吹き出す。
「自分のことを『雑草みたいな女』なんて言う子には初めて出会ったよ」
自分では大真面目に言ったつもりなのだけどそうやって笑われるとなんだか恥ずかしくなってくる。
「本当に気にしなくていいんだよ。俺がしたくてしていることだ。光魔法保持者は国の宝だし学園に君を連れてきたのは俺だからね。ちょっとおせっかいをするくらいのことはどうか許してもらえないかな?」
そう言ってルーク様がいつもの優しい笑顔を浮かべる。どうにも調子が狂う。この笑顔はずるい。
「と、とにかく、私はこれから魔法の訓練に集中したいのです。ですから贈り物は不要です。必要なものがあればお休みの日にまたカフェで働いて稼ぎますから!」
「ふふ、たしかにカフェで働く君の姿がまた見られるなんてそれもいいかもしれないな」
何を言っても笑顔で返されてしまう。
王宮育ちのルーク様にとって邸でこき使われながら雑草のように育った私は物珍しい存在なのだろう。
「とにかく特別扱いはやめてください。そういうのは嫌なんです」
「わかったわかった。君がそう言うならそうするよ」
本当にわかったのだろうか? と思うようなルーク様の様子だったけれど私はそうして自室へと戻った。
・
・
・
今晩は魔法学園主催のパーティが学園の講堂で開かれる。
きちんと化粧をしてまともなドレスを着るなんて初めてのことだ。
先ほどはルーク様にああ言ったものの、まともなドレス一着持っていなかった私だからルークから贈られたドレスやアクセサリがあってよかったと改めて思った。
華美に着飾るのは好きではないのだけれど、仕方がない。アイメイクをしてリップを塗る。鏡の中には今まで見たことのなかった自分がいた。
ルーク様が送ってくれたネイビーのドレスは派手過ぎずとても好みのデザインだった。
出掛ける前にもう一度全身を鏡で映してみる。
「……似合っているのかいないのか、よくわからないわ」
まあいいか、と私は諦めてそのまま会場へと向かった。
会場へ着くとみんなの視線が私に集中した。
……やっぱり変かしら?
私を見つけたルーク様が急ぎ足でかけよってくる。
「エマ? ものすごく綺麗だよ! ドレスがよく似合っている。俺が選んだだけのことはあるなぁ」
「ルーク様が選んだですって?」
ルーク様の言葉を聞いたイザベラが私を睨みつけた。
「エマはドレスを一枚も持っていなかったからね。僕がプレゼントしたんだ」
「まーあさすがルーク様。お心遣いが違いますわ。まあわたくしでしたら恐れ多くてルーク様からのドレスなんてとても腕を通せそうにありませんけども。やっぱり街育ちの方は生命力が違いますわね」
「イザベラはドレスなんて山のように持っているじゃないか」
ルーク様がぴしゃりと言う。無言で見つめてくるイザベラの刺すような視線が痛かった。
「君が光魔法所持者のエマか?」
そう話しかけてきたのはメガネをかけた黒髪の男の子だった。
「僕はフェリクス・フォークナー。フォークナー侯爵家の長男だ」
「フェリクスは入学試験トップの成績だったんだよ」
そうルーク様が言う。なるほどいかにも頭が良さそう。
「エマです。よろしくお願いします」
「こちらこそよろしく」
なにやら警戒されているような気がするけど気のせいだろうか。これからこの魔法学園でうまくやっていけるのか少々不安になる。
とにかく私が婚約破棄されて逃亡した侯爵令嬢であることはこれからも隠して過ごさなきゃ。
「大変です!」
みんながパーティを楽しんでいたところへ急な使者が飛び込んできた。
住まいを魔法学園の寮に移し、平日は朝から晩まで魔法の理論と実技を学ぶ。
特待生として奨学金が給付されるから毎日暮らす最低限のお金はあったけれど、蓄えをつくるためにも週末は今まで働いていたカフェで引き続き給仕として働き続けることにした。
魔法学園に通っているのは貴族の子女がほとんどだから休日にバイトなどしているのは私くらいのもので、周りからは奇異の目で見られている。
そんな私を心配してか、週末ごとにルーク様からドレスやら鞄やら本やらが大量に届くようになった。
「ルーク様、あの、お気持ちはありがたいのですが、このような贈り物は……」
「もしかして、気に入らなかったかな?」
「いえ、決してそういうわけでは……。ですが私には勿体ないお品ばかりです。私に対して過度な施しは不要です」
ルーク様があれこれと世話を焼いてくれるので恐縮した私は言った。
「私は街育ちの雑草みたいな女ですし、必要なものは本くらいなものでドレスも鞄も必要ありませんから」
ルーク様が私の言葉にぷっと吹き出す。
「自分のことを『雑草みたいな女』なんて言う子には初めて出会ったよ」
自分では大真面目に言ったつもりなのだけどそうやって笑われるとなんだか恥ずかしくなってくる。
「本当に気にしなくていいんだよ。俺がしたくてしていることだ。光魔法保持者は国の宝だし学園に君を連れてきたのは俺だからね。ちょっとおせっかいをするくらいのことはどうか許してもらえないかな?」
そう言ってルーク様がいつもの優しい笑顔を浮かべる。どうにも調子が狂う。この笑顔はずるい。
「と、とにかく、私はこれから魔法の訓練に集中したいのです。ですから贈り物は不要です。必要なものがあればお休みの日にまたカフェで働いて稼ぎますから!」
「ふふ、たしかにカフェで働く君の姿がまた見られるなんてそれもいいかもしれないな」
何を言っても笑顔で返されてしまう。
王宮育ちのルーク様にとって邸でこき使われながら雑草のように育った私は物珍しい存在なのだろう。
「とにかく特別扱いはやめてください。そういうのは嫌なんです」
「わかったわかった。君がそう言うならそうするよ」
本当にわかったのだろうか? と思うようなルーク様の様子だったけれど私はそうして自室へと戻った。
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今晩は魔法学園主催のパーティが学園の講堂で開かれる。
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先ほどはルーク様にああ言ったものの、まともなドレス一着持っていなかった私だからルークから贈られたドレスやアクセサリがあってよかったと改めて思った。
華美に着飾るのは好きではないのだけれど、仕方がない。アイメイクをしてリップを塗る。鏡の中には今まで見たことのなかった自分がいた。
ルーク様が送ってくれたネイビーのドレスは派手過ぎずとても好みのデザインだった。
出掛ける前にもう一度全身を鏡で映してみる。
「……似合っているのかいないのか、よくわからないわ」
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……やっぱり変かしら?
私を見つけたルーク様が急ぎ足でかけよってくる。
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「ルーク様が選んだですって?」
ルーク様の言葉を聞いたイザベラが私を睨みつけた。
「エマはドレスを一枚も持っていなかったからね。僕がプレゼントしたんだ」
「まーあさすがルーク様。お心遣いが違いますわ。まあわたくしでしたら恐れ多くてルーク様からのドレスなんてとても腕を通せそうにありませんけども。やっぱり街育ちの方は生命力が違いますわね」
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そうルーク様が言う。なるほどいかにも頭が良さそう。
「エマです。よろしくお願いします」
「こちらこそよろしく」
なにやら警戒されているような気がするけど気のせいだろうか。これからこの魔法学園でうまくやっていけるのか少々不安になる。
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