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【20話】
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「あと気になっていたのだが、サイヒは何故殿下の危機を知ることが出来たんだ?」
これはクオンが1番気になっていた事だった。
あまりにも都合よいタイミングでサイヒが現れたのも、クオンがサイヒを疑った原因でもあった。
「あぁ、虫の知らせと言うやつがあるだろう?私はそれが予知レベルで高いんだ」
「予知レベル!?」
それは最早”虫の知らせ”で片付けられない。
予知など世界に数人しかいない”預言者”でないと出来ないのだ。
「お前は預言者でもあるのか!?」
「いや、あくまで虫の知らせだぞ?預言者と違ってそこまではっきり予知は出来ない。ついでに自分がかかわらない事柄は一切予知できないからな」
確かにそう言うなら予知では無いのだろう。
しかしその言葉をそのまま受け取るのなら、サイヒは己に関係がある事なら預言者級の予知を行えると言うこととなる。
魔術に法術に予知。
もはや技のデパートだ。
ちなみにソレの全てを封じても肉体だけでS級の魔物と渡り合えることを、クオンは今は知らない。
「だから分かったのはルークが危険だと言うことと水が係り合うと言う事だけだった。なので私が知る中で最も水に詳しい者に話を聞くことにした」
「水属性の魔術師でも知り合いにいるのか?」
「いやウンディーネだ」
「………何?」
「だからウンディーネに聞いた」
辺りが沈黙した。
クオンが静止したのだ。
「クオンどうした?」
ルークが肩を揺さぶる。
「な、な、精霊と会話!?お前は精霊使いでは無いだろう!?」
「あぁ精霊使いではないぞ。契約はしていないからな。ただの友達だ」
「もう意味が分からない……」
「サイヒは凄いだろう!」
クオンは遠い眼をした。
そして何故かルークが誇らしげである。
「で、だ。ウンディーネに話を聞いたところ人魚の子供が人間に捕獲されたのだと言う。捕獲したものは人魚の子供に呪いをかけた。呪いを解く対価としてルークを殺すことを命じたそうだ。
なので私はウンディーネに人魚たちの魔力波長を教えて貰い、人魚の子供を救い呪いを【解呪】して【空間魔術】で海へ返した。その後にルークを救うためあの場所に移動したわけだ。後は水の中で人魚に【念話】で事の次第を説明しルークの身柄をこちらに渡して貰った。
人魚の子供を水槽に幽閉していた呪術師とその護衛のせいで2秒ほど時間をくってしまったのが悔やまれる」
「では、やはりあの一連の事件は誰かが係っていたと言う訳か…。間違いなく殿下を狙っている者が存在している訳だな」
「そう言うことだな。今回ルークの正体がしれたのは都合よかったな。これで大手を振ってルークを護れる」
サイヒが柔らかな微笑みを浮かべるとルークが頬をバラ色に染める。
(確かに強力な仲間を手に入れたんだが、このイチャつくのは止めれんのだろうか……)
乙女のようなルークにクオンはげんなりする。
これでも皇太子としては本当に有望なのだ。
主で幼馴染の知られざる一面を見せられてクオンは疲れ果てていた。
まさかこんな面があろうとは…。
いや、サイヒが無駄に漢前なのがいけないのかも知れない。
しかしクオンは有望だった。
めげずに自分の感情を殺して仕事に徹する事が出来る優秀な男なのだ。
「精霊に首謀者が誰かまでは聞けなかったのか?」
「直接手を出した呪術師たちは分かったが首謀者迄は分からないと言っていた。
呪術師に首謀者を吐かせようと思ったのだが、別の呪術師に”話せば死ぬ”呪いがかけられていてな。首謀者は何人もの呪術師を利用しているようだぞ?
その場で今回の呪術師の呪いを解除して吐かせても良かったが、しばらく泳がせてみようと思ってな。
おそらく獲物の主はかなりの大物のようだ。やるなら根こそぎやらんとな」
「確かにそれも有効な手だ」
「私のルークの命を狙ったんだ。簡単には許してやる気はないさ」
「サイヒ……」
(だから一々ときめくな!)
巨大な力を持った仲間を手に入れる事は出来たがクオンの胃はマッハでダメージを蓄積している。
胃薬が手放せなくなる日も近いだろう。
「お、そうだ。そろそろマロンの処に行かんとな。随分話し込んでしまったから少々待たせてしまったな」
「マロン?」
「マロン・スクワラル。第3皇太子妃だ」
「なっ!」
ルークの答えにクオンは言葉を詰まらせた。
「サイヒ!第3皇太子妃とも面識があるのか!?」
「うむ、木から落ちたところを助けたら懐かれた。以来午後からはマロンの作った菓子を囲み茶をしている」
「私も何度かおこぼれに預かったが中々の腕前であったな」
(アンタも行っているのかよ!?)
いや皇太子が皇太子妃の部屋を訪ねるのは間違ってはいないのだが。
オマケとして行くのは大いに間違っている気がする。
「今日はクオンを紹介しよう。ちょっと待ってくれ。今【認識阻害】の魔術を付与する物を探す」
サイヒが服をごそごそとあさり始めた。
そして無駄に勘の鋭いクオンはルークが冷たい眼で自分を見ていることに気が付いた。
(モノにまで嫉妬するのか!?心が狭すぎるぞ未来の皇帝!!)
「サイヒ、俺の付けているピアスに付与は出来るか?」
「あぁ、それで良いか」
すっ、とサイヒの腕が伸びてクオンのピアスに触れる。
ちなみにルークは視線で人が殺せそうな程の目つきをしている。
それでも顔が醜くならないのは神が与えたもうた美貌のお陰だろう。
美形はすわった目つきをしても美形である。
一瞬だけ触れて、すぐにサイヒは手を離した。
「出来たぞ」
「もう出来たのか!?」
あまりにも速すぎる。
並みの付与術師なら数十分はかかるだろう。
「簡単な術だからな」
クオンはサイヒの規格外の能力に最早感嘆するしかなかった。
魔術師としても
法術師としても
付与術師としても
あまりにもサイヒの能力は規格外だ。
その気になれば精霊使いにだってなれるであろう。
(こんな優秀が人材が他国に渡らなくて良かった。国同士の力のバランスを簡単に崩せる能力の持ち主だ…意味の分からん理由はともあれ、我が国に潜り込んでいた事を神に感謝せねばな……)
「さて、マロンの処に向かうか」
踵を返したサイヒにルークは何の疑問も持たずに付いていく。
クオンも1歩後ろに離れて付いていった。
そこでクオンはサイヒの誑しとしての性質をありありと見せつけれる事となる。
そしてクオンの胃は更にダメージを受ける事となるのだ。
誰でも良いからクオンに胃薬を差し入れして欲しいものだ。
これはクオンが1番気になっていた事だった。
あまりにも都合よいタイミングでサイヒが現れたのも、クオンがサイヒを疑った原因でもあった。
「あぁ、虫の知らせと言うやつがあるだろう?私はそれが予知レベルで高いんだ」
「予知レベル!?」
それは最早”虫の知らせ”で片付けられない。
予知など世界に数人しかいない”預言者”でないと出来ないのだ。
「お前は預言者でもあるのか!?」
「いや、あくまで虫の知らせだぞ?預言者と違ってそこまではっきり予知は出来ない。ついでに自分がかかわらない事柄は一切予知できないからな」
確かにそう言うなら予知では無いのだろう。
しかしその言葉をそのまま受け取るのなら、サイヒは己に関係がある事なら預言者級の予知を行えると言うこととなる。
魔術に法術に予知。
もはや技のデパートだ。
ちなみにソレの全てを封じても肉体だけでS級の魔物と渡り合えることを、クオンは今は知らない。
「だから分かったのはルークが危険だと言うことと水が係り合うと言う事だけだった。なので私が知る中で最も水に詳しい者に話を聞くことにした」
「水属性の魔術師でも知り合いにいるのか?」
「いやウンディーネだ」
「………何?」
「だからウンディーネに聞いた」
辺りが沈黙した。
クオンが静止したのだ。
「クオンどうした?」
ルークが肩を揺さぶる。
「な、な、精霊と会話!?お前は精霊使いでは無いだろう!?」
「あぁ精霊使いではないぞ。契約はしていないからな。ただの友達だ」
「もう意味が分からない……」
「サイヒは凄いだろう!」
クオンは遠い眼をした。
そして何故かルークが誇らしげである。
「で、だ。ウンディーネに話を聞いたところ人魚の子供が人間に捕獲されたのだと言う。捕獲したものは人魚の子供に呪いをかけた。呪いを解く対価としてルークを殺すことを命じたそうだ。
なので私はウンディーネに人魚たちの魔力波長を教えて貰い、人魚の子供を救い呪いを【解呪】して【空間魔術】で海へ返した。その後にルークを救うためあの場所に移動したわけだ。後は水の中で人魚に【念話】で事の次第を説明しルークの身柄をこちらに渡して貰った。
人魚の子供を水槽に幽閉していた呪術師とその護衛のせいで2秒ほど時間をくってしまったのが悔やまれる」
「では、やはりあの一連の事件は誰かが係っていたと言う訳か…。間違いなく殿下を狙っている者が存在している訳だな」
「そう言うことだな。今回ルークの正体がしれたのは都合よかったな。これで大手を振ってルークを護れる」
サイヒが柔らかな微笑みを浮かべるとルークが頬をバラ色に染める。
(確かに強力な仲間を手に入れたんだが、このイチャつくのは止めれんのだろうか……)
乙女のようなルークにクオンはげんなりする。
これでも皇太子としては本当に有望なのだ。
主で幼馴染の知られざる一面を見せられてクオンは疲れ果てていた。
まさかこんな面があろうとは…。
いや、サイヒが無駄に漢前なのがいけないのかも知れない。
しかしクオンは有望だった。
めげずに自分の感情を殺して仕事に徹する事が出来る優秀な男なのだ。
「精霊に首謀者が誰かまでは聞けなかったのか?」
「直接手を出した呪術師たちは分かったが首謀者迄は分からないと言っていた。
呪術師に首謀者を吐かせようと思ったのだが、別の呪術師に”話せば死ぬ”呪いがかけられていてな。首謀者は何人もの呪術師を利用しているようだぞ?
その場で今回の呪術師の呪いを解除して吐かせても良かったが、しばらく泳がせてみようと思ってな。
おそらく獲物の主はかなりの大物のようだ。やるなら根こそぎやらんとな」
「確かにそれも有効な手だ」
「私のルークの命を狙ったんだ。簡単には許してやる気はないさ」
「サイヒ……」
(だから一々ときめくな!)
巨大な力を持った仲間を手に入れる事は出来たがクオンの胃はマッハでダメージを蓄積している。
胃薬が手放せなくなる日も近いだろう。
「お、そうだ。そろそろマロンの処に行かんとな。随分話し込んでしまったから少々待たせてしまったな」
「マロン?」
「マロン・スクワラル。第3皇太子妃だ」
「なっ!」
ルークの答えにクオンは言葉を詰まらせた。
「サイヒ!第3皇太子妃とも面識があるのか!?」
「うむ、木から落ちたところを助けたら懐かれた。以来午後からはマロンの作った菓子を囲み茶をしている」
「私も何度かおこぼれに預かったが中々の腕前であったな」
(アンタも行っているのかよ!?)
いや皇太子が皇太子妃の部屋を訪ねるのは間違ってはいないのだが。
オマケとして行くのは大いに間違っている気がする。
「今日はクオンを紹介しよう。ちょっと待ってくれ。今【認識阻害】の魔術を付与する物を探す」
サイヒが服をごそごそとあさり始めた。
そして無駄に勘の鋭いクオンはルークが冷たい眼で自分を見ていることに気が付いた。
(モノにまで嫉妬するのか!?心が狭すぎるぞ未来の皇帝!!)
「サイヒ、俺の付けているピアスに付与は出来るか?」
「あぁ、それで良いか」
すっ、とサイヒの腕が伸びてクオンのピアスに触れる。
ちなみにルークは視線で人が殺せそうな程の目つきをしている。
それでも顔が醜くならないのは神が与えたもうた美貌のお陰だろう。
美形はすわった目つきをしても美形である。
一瞬だけ触れて、すぐにサイヒは手を離した。
「出来たぞ」
「もう出来たのか!?」
あまりにも速すぎる。
並みの付与術師なら数十分はかかるだろう。
「簡単な術だからな」
クオンはサイヒの規格外の能力に最早感嘆するしかなかった。
魔術師としても
法術師としても
付与術師としても
あまりにもサイヒの能力は規格外だ。
その気になれば精霊使いにだってなれるであろう。
(こんな優秀が人材が他国に渡らなくて良かった。国同士の力のバランスを簡単に崩せる能力の持ち主だ…意味の分からん理由はともあれ、我が国に潜り込んでいた事を神に感謝せねばな……)
「さて、マロンの処に向かうか」
踵を返したサイヒにルークは何の疑問も持たずに付いていく。
クオンも1歩後ろに離れて付いていった。
そこでクオンはサイヒの誑しとしての性質をありありと見せつけれる事となる。
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