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【47話】
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まだ冷蔵ボックスから出されたばかりの、冷えたレアチーズケーキにフォークを入れる、
1口大に切って、サイヒはソレを口に含んだ。
ヒンヤリとした甘酸っぱさが口内に広がる。
かけられていたブルーベリーソースもアクセントになっており、とても美味しい。
「冷えた菓子が食べられるのは富のある者の特権だな」
「庶民の家には冷房ボックスありませんものね」
「マロンは実家にもあったのか?」
「はいお兄様。このレシピも実家で覚えてきました」
「ふむ、パティシエでも雇っていたのか?」
「いえ、お母さまから習いましたの」
「ほう、マロンの母か。成程、料理の腕は母仕込みか。マロンの父も良い妻を娶ったものだ」
その言葉にルークが反応した。
「サイヒは料理が上手い女性が好みなのか?」
「そりゃ胃袋を掴まれたら浮気する気にもならんな」
「お母さまも男の胃袋を掴むのが1番大事と言っておりましたわ」
「マロン」
「はい、何でしょうルーク様?」
ルークは頬を上気させモジモジしている。
「その、私に…菓子の作り方を、教えて欲しい……」
(何故そうなる!?)
胃がズキリと痛んだクオンはティーポーションを口に含む。
「任せて下さいルーク様!お兄様の好みは把握しておりますわ。頑張ってお兄様の胃袋掴んじゃいましょうね!!」
「有難うマロン。頑張って私はサイヒの胃袋を掴んでみせる!」
「その意気ですわ!」
「うむ、ルークの手作り菓子か。興味あるな。ちなみに私は胃袋を掴まれたらイチコロなタイプだぞ」
「覚悟しておけサイヒ」
「楽しみにしておこう」
ニヤリと笑うサイヒの笑顔にルークは顔を赤くする。
相変わらずサイヒは無駄に色気を垂れ流している。
(この会話が変だと思う俺が、俺がおかしいのか!?)
(((((いえ、貴方は間違ってません!頑張ってくださいいコーン様!!)))))
天然3人の中に置いてまともなクオンは会話で胃に割を食うことが多い。
だがクオンと同じ気持ちの従者たちは心の中でクオンを応援していた。
「そう言えば妻で思い出しましたが、陛下がリリー・オブ・ザ・ヴァリーをルーク様の妃にしたいそうですよ」
ブッ!
クオンがティーポーションを吹き出した。
「コーン、食べ物大切にしなければならんぞ。いや、この場合は飲み物をと言うべきか?」
「ちょ、そう言いう問題ではない!陛下がリリーをルーク様の妃に!?」
サイヒの何処かずれた突っ込みに脊髄反射で返事を返す。
「はいコーン様。閲覧席で言っておりましたわ」
「まぁ、もうリリー・オブ・ザ・ヴァリーが現れる事は無いから大丈夫だろう」
「そう言うものなのか?」
「そう言うものだルーク」
(いや、絶対そう言うもので片付けていい話じゃない!!)
「そう言えばサイヒは髪と瞳の色を姉と同じ色にしたのは何故だ?色が違えば聖女と姉妹とバレなかったのではないか?」
「私も気になってましたお兄様」
「あぁアレには理由があってな。染粉を使うのは面倒臭いし、魔術は禁止だったので遺伝子を少し弄った」
「「「遺伝子?」」」
「私の父上は黒髪に同色の黒色の瞳、母上は空色の髪に翡翠の瞳なんだ。私の色は髪は父似で瞳は先祖返り、になる。なので劣性遺伝だが私の遺伝子に組み込まれている、母の髪色と瞳の色を強く出して色を変えていたんだ」
「遺伝子と言うのは良く分からないが、つまり元々その色の要素がサイヒに有ったと言う事か?」
「理解が速くて助かる。大体そんなものだ。まぁそんな訳でリリー・オブ・ザ・ヴァリーが再び現れる事は無いからその件に関して問題はない」
「ちょっと待て…今、聖女様の妹と言ったか?」
「あぁカカンの聖女は私の姉上だ」
「ちなみにお姉様が聖女になる前はお兄様が聖女をしていたそうですわ」
「な、サイヒが、聖女っ!?」
「今は違うぞ。聖女としての法力は姉上に譲渡してきた。今のカカンの聖女は紛れもなく姉上だ。まぁ譲渡した法力は0.5%程だから特に困った事もないがな」
「聖女の力を譲渡?たった0.5%?」
もうクオンの頭では情報の処理が追い付かない。
「で、カカンの王太子様はお兄様の元婚約者ですの」
「王太子の元婚約者ぁっ!?」
次から次にサイヒのとんでもない情報が出てくる。
王太子の婚約者と言う事はサイヒが聖女であったことを除いても、それなりの地位の家に生まれた事を意味する。
「サイヒ、お前のカカンでの実家は爵位持ちか?」
「あぁ、母方の祖父がが宰相をしていた公爵家の生まれだぞ。ちなみに父方は大聖女の血筋だ」
遂にクオンが頭を抱えた。
聖女でなくても他国の公爵位の家の令嬢を妃に貰うには、ある程度国の権力や政治的な話しなどが関わってくる。
しかも大聖女の血筋。
大陸の文明を一気に発展させた”異世界の大聖女”。
下手をすれば国の王よりもその立場は上である。
ただの宦官が、蓋を開ければ非常識のデパートだ。
爵位があるだけでも面倒臭いのに、姉は当代の聖女で王太子の婚約者。
つまりサイヒは王族と連なる家の出と言う事となる。
妃に貰うとしても簡単にはいかないだろう。
(なんと、面倒臭い………)
ぐったりと項垂れるクオンを従者たちは応援していた。
(((((頑張ってくださいコーン様!貴方の突っ込みが無いとこの空間はカオスになってしまいます!!私たちに3人への突っ込みは無理なのですっ!!!)))))
ある意味、従者たちもいっぱいいっぱいのようだ。
お嬢様は愛らしいが、突っ込みをしろと言えば無理な話だ。
ちょっと前までは少し天然ぐらいだったマロンは、サイヒが現れて、更にはルークも含まれて、どんどん掛け算をするように天然が加速していった。
皆が美形なので大変に眼福な空間ではあるが、ほっこり感が守られているのはクオンの存在が大きい。
頼むからクオンだけは天然の仲間入りはしないでくれ、と皆は思うのだった。
1口大に切って、サイヒはソレを口に含んだ。
ヒンヤリとした甘酸っぱさが口内に広がる。
かけられていたブルーベリーソースもアクセントになっており、とても美味しい。
「冷えた菓子が食べられるのは富のある者の特権だな」
「庶民の家には冷房ボックスありませんものね」
「マロンは実家にもあったのか?」
「はいお兄様。このレシピも実家で覚えてきました」
「ふむ、パティシエでも雇っていたのか?」
「いえ、お母さまから習いましたの」
「ほう、マロンの母か。成程、料理の腕は母仕込みか。マロンの父も良い妻を娶ったものだ」
その言葉にルークが反応した。
「サイヒは料理が上手い女性が好みなのか?」
「そりゃ胃袋を掴まれたら浮気する気にもならんな」
「お母さまも男の胃袋を掴むのが1番大事と言っておりましたわ」
「マロン」
「はい、何でしょうルーク様?」
ルークは頬を上気させモジモジしている。
「その、私に…菓子の作り方を、教えて欲しい……」
(何故そうなる!?)
胃がズキリと痛んだクオンはティーポーションを口に含む。
「任せて下さいルーク様!お兄様の好みは把握しておりますわ。頑張ってお兄様の胃袋掴んじゃいましょうね!!」
「有難うマロン。頑張って私はサイヒの胃袋を掴んでみせる!」
「その意気ですわ!」
「うむ、ルークの手作り菓子か。興味あるな。ちなみに私は胃袋を掴まれたらイチコロなタイプだぞ」
「覚悟しておけサイヒ」
「楽しみにしておこう」
ニヤリと笑うサイヒの笑顔にルークは顔を赤くする。
相変わらずサイヒは無駄に色気を垂れ流している。
(この会話が変だと思う俺が、俺がおかしいのか!?)
(((((いえ、貴方は間違ってません!頑張ってくださいいコーン様!!)))))
天然3人の中に置いてまともなクオンは会話で胃に割を食うことが多い。
だがクオンと同じ気持ちの従者たちは心の中でクオンを応援していた。
「そう言えば妻で思い出しましたが、陛下がリリー・オブ・ザ・ヴァリーをルーク様の妃にしたいそうですよ」
ブッ!
クオンがティーポーションを吹き出した。
「コーン、食べ物大切にしなければならんぞ。いや、この場合は飲み物をと言うべきか?」
「ちょ、そう言いう問題ではない!陛下がリリーをルーク様の妃に!?」
サイヒの何処かずれた突っ込みに脊髄反射で返事を返す。
「はいコーン様。閲覧席で言っておりましたわ」
「まぁ、もうリリー・オブ・ザ・ヴァリーが現れる事は無いから大丈夫だろう」
「そう言うものなのか?」
「そう言うものだルーク」
(いや、絶対そう言うもので片付けていい話じゃない!!)
「そう言えばサイヒは髪と瞳の色を姉と同じ色にしたのは何故だ?色が違えば聖女と姉妹とバレなかったのではないか?」
「私も気になってましたお兄様」
「あぁアレには理由があってな。染粉を使うのは面倒臭いし、魔術は禁止だったので遺伝子を少し弄った」
「「「遺伝子?」」」
「私の父上は黒髪に同色の黒色の瞳、母上は空色の髪に翡翠の瞳なんだ。私の色は髪は父似で瞳は先祖返り、になる。なので劣性遺伝だが私の遺伝子に組み込まれている、母の髪色と瞳の色を強く出して色を変えていたんだ」
「遺伝子と言うのは良く分からないが、つまり元々その色の要素がサイヒに有ったと言う事か?」
「理解が速くて助かる。大体そんなものだ。まぁそんな訳でリリー・オブ・ザ・ヴァリーが再び現れる事は無いからその件に関して問題はない」
「ちょっと待て…今、聖女様の妹と言ったか?」
「あぁカカンの聖女は私の姉上だ」
「ちなみにお姉様が聖女になる前はお兄様が聖女をしていたそうですわ」
「な、サイヒが、聖女っ!?」
「今は違うぞ。聖女としての法力は姉上に譲渡してきた。今のカカンの聖女は紛れもなく姉上だ。まぁ譲渡した法力は0.5%程だから特に困った事もないがな」
「聖女の力を譲渡?たった0.5%?」
もうクオンの頭では情報の処理が追い付かない。
「で、カカンの王太子様はお兄様の元婚約者ですの」
「王太子の元婚約者ぁっ!?」
次から次にサイヒのとんでもない情報が出てくる。
王太子の婚約者と言う事はサイヒが聖女であったことを除いても、それなりの地位の家に生まれた事を意味する。
「サイヒ、お前のカカンでの実家は爵位持ちか?」
「あぁ、母方の祖父がが宰相をしていた公爵家の生まれだぞ。ちなみに父方は大聖女の血筋だ」
遂にクオンが頭を抱えた。
聖女でなくても他国の公爵位の家の令嬢を妃に貰うには、ある程度国の権力や政治的な話しなどが関わってくる。
しかも大聖女の血筋。
大陸の文明を一気に発展させた”異世界の大聖女”。
下手をすれば国の王よりもその立場は上である。
ただの宦官が、蓋を開ければ非常識のデパートだ。
爵位があるだけでも面倒臭いのに、姉は当代の聖女で王太子の婚約者。
つまりサイヒは王族と連なる家の出と言う事となる。
妃に貰うとしても簡単にはいかないだろう。
(なんと、面倒臭い………)
ぐったりと項垂れるクオンを従者たちは応援していた。
(((((頑張ってくださいコーン様!貴方の突っ込みが無いとこの空間はカオスになってしまいます!!私たちに3人への突っ込みは無理なのですっ!!!)))))
ある意味、従者たちもいっぱいいっぱいのようだ。
お嬢様は愛らしいが、突っ込みをしろと言えば無理な話だ。
ちょっと前までは少し天然ぐらいだったマロンは、サイヒが現れて、更にはルークも含まれて、どんどん掛け算をするように天然が加速していった。
皆が美形なので大変に眼福な空間ではあるが、ほっこり感が守られているのはクオンの存在が大きい。
頼むからクオンだけは天然の仲間入りはしないでくれ、と皆は思うのだった。
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