聖女の力を姉に譲渡し国を出て行った元聖女は実は賢者でした~隣国の後宮で自重せずに生きていこうと思います~

高井繭来

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【65話】

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「で、どうやってカカンに入るのだ?また手形を作るのか?それではサイヒの手形がややこしくならないだろうか…?」

「いや、手形は問題ない。直接ローズ様の処へ【空間移動】で行く」

 力技極まりない。
 サイヒだから、としか言いようがない作戦だ。
 いや、これを作戦と呼べるのだろうか?

「さて、私が1人で行っても良いのだが…」

「私はサイヒと共に行くぞ!」

「ルーク様がいるなら護衛の俺も勿論行きます!」

 主従コンビが即座に反応した。
 想定の範囲内であろう。

「お兄様、私は…」

「旨い食事を作って待っていてくれ」

「はい、腕によりをかけて作らせて頂きます!」

 最近は皆でマロンの作る食事を食べる。
 王宮のシェフの立場がないが、マロンの作る料理の方が美味しいので仕方がない。
 随分と、宦官用の食堂のレシピの再現が進んでいる。
 わざわざ食堂でお昼を食べて研究しているらしい。
 空いている時間にはポーションのレシピの改良もしているようであるし。

 いったいマロンはどこに向かっているのであろうか…。
 だが美味しい料理も、特製ポーションも大変ルーク陣営には役に立っている。
 後方支援がいると言うのは大変助かるのだ。

「サイヒ僕は?」

『オグはなの~?』

「アンドュとオグリには違う仕事を任せたい。そちらは命にかかわることでは無いので安心してくれ。何かあってもアンドュとオグリなら何とか出来るだろうしな」

 そうアンドュアイスは優秀なのである。
 末っ子ポジションと言っても能力はサイヒに続く2番手だ。
 オグリがいるので空戦にも対応できる。
 王家の者としての振る舞いも完璧だ。
 そう完璧なのだ。
 
 サイヒと共にいるとすぐに乙女化するルークと比べると、大分威厳がある。
 中身は5歳児並みだと言うのに。

 それに危険な所に帝国の皇位継承権第1位と第2位を同時に連れて行く訳にはいかない。
 ソレくらいはサイヒも考えてあるのだ。
 1人なら連れて行っても良いと言う訳ではないが。

 ルークは自分の目の付く場所に置いておきたいし、それにクオンがついてくるのは想定内だ。
 それにルークなら少し眼を離しても大丈夫なように仕込みはしてある。
 サイヒの予想通りの組み分けとなった。

「では明日は午前中に各自業務を片付けて昼から行動に移る」

「うん、王族としての仕事すませないといけないしね~」

「2~3日分片付けておいた方が良いかサイヒ?」

「いや、1日分で充分だ。明日の内に方を付ける」

 サイヒの言葉にクオンが反応した。

「厄介な相手だと言っていなかったか?」

「厄介だが対処が出来んとは言ってないぞ?」

「ちなみに相手がナニか想定が出来ているのか?」

「まぁ予想の範囲内だな」

「で、1人で対処できると?」

「うむ、1人で半日で充分だな」

「お前1人で行け」

「連れないな、親友はもっと大事にした方が良いぞクオン」

「お前の親友をそろそろ辞めたいと思っている」

「つまりそろそろ心の友にと思っている訳だな」

「心の友になる気はない」

「そう言わずそろそろ心の友になろうではないか」

「お前が常識人になったら考えてやる」

「私の心友が冷たい…」

「ニュアンスが心友だったぞ!なるつもりは無いと言っただろう」

「ツンデレの落とし方を今度勉強するとしよう。マロン、ご指導ご鞭撻頼んだぞ」

「はい、お兄様♡」

「マロン様を巻き込むなっ!!」

 ガフッ、とハンカチで吐血を抑えて懐に直す。
 何時ハンカチを出したのか誰にも気づかせない早業。
 サイヒですら目で追うのがやっとであった。
 クオンは日々進化している…。

(恐ろしい男だクオン、流石は私の心友だ!)

 クオンはサイヒの中で心友確定らしい。 
 おそらく別の国の不憫も心友に格上げされているのだろう。
 
 :::

「クシュンッ」

「主殿風邪かえ?馬鹿は風邪をひかぬと言うのじゃが…?」

「サイヒの影響?主を貶めるのやめよーね!つーか今のくしゃみ凄い怖気が走ったんだけど!私の心の平穏を揺さぶる予感の噂された気がしたんだけど!!」

 フレイムアーチャは今日も平和である。
 まぁ今の所は、だが……。

 :::

「ではマロンはポーションを用意して貰って良いか?おそらくクオンの胃に物凄いダメージがある」

「承知しましたお兄様♡」

「簡単に片付く案件なのにクオンの胃にダメージがあるのか?」

 コテリ、とルークが小首を傾げる。
 とても可愛らしい。
 サイヒはこのままルークを攫って所かまわずマーキングがしたくなった。
 それを1ミリも表に出さずさらっと流す。

「私が片を付ける事は問題ないのだが、多分世界規模で大問題が起きている。そしてその事にクオンの胃が耐えれるとは思えないな」

「お前の俺の評価はどうなっているんだ!?」

「ルークの護衛をするだけあって、見目麗しく性格が良く腕もたつ胃の弱いパーフェクトな近衛兵で私の心友だが?」

「胃が弱くなった元凶がシレッと言うな!」

「早く慣れるんだな。他の皆は血など吐かないぞ?」

「私は天然にはなれん!」

「天然?確かに私は養殖ではないが?サイヒ、天然とはなんだ?」

「お野菜は天然物の方が美味しいですわ♪」

「オグリ~天然て何だろう~?」

『フジュンブツが無いってことなの!ルインちゃんが言ってたなの!』

「不純物?じゃぁ天然じゃないクオンは不純物だらけってことなのかな~?」

『クオン、フジュンブツだったのなの~?』

 あまりの周囲の天然さにクオンの胃がキリキリ痛む。
 吐血する前にモンラーンがティーカップに胃痛専用のポーションを注いでくれた。
 それを一気に飲み干す。
 胃痛が引く。
 マロンの作る胃痛ポーションの効果は絶大だ!

「そう言う訳で不純物クオン、明日のルークの護衛は任せたぞ」

「任せるなら余計な1言を入れるな!」

 作戦会議終了。
 クオンだけ胃を痛めて、揉める事も無く作戦会議は終結した。
 明日はカカンへ出発だ。

「さぁローズ様に入り込んだ不純物も取り除かないとな…」

 小さな声で呟き、ニヤリとサイヒが笑う。

「何か言ったかサイヒ?」

「何でもない。ソレより今日は夜空のデートは出来そうにないから、夜にルークお前の部屋にお邪魔させて貰うぞ」

 サイヒの甘い声に、ルークは頬をバラ色に染めてこっくりと首を縦に振った。
 その日の夜、ルークが散々サイヒに鳴かされたのはココだけの話しである。


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 サイヒは祖国に何かした奴にかなり怒っております。
 表面には出しませんが。
 その分凶暴性がルークへの性欲(?)となって表に出てきております。
 ちなみに2人はまだ最後までは致しておりません(;^ω^)
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