聖女の力を姉に譲渡し国を出て行った元聖女は実は賢者でした~隣国の後宮で自重せずに生きていこうと思います~

高井繭来

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そして全能神は愉快犯となった

【143話】

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「マロンの菓子が食べたい………」

 珍しく涙目になっているサイヒである。
 ルークが見たなら野獣と化すだろう。
 実際ルークの下半身は野獣になりそうであった。
 それ程にレアなのだ、サイヒの涙目は。
 だが理由は馬鹿馬鹿しい。
 サロンでサイヒがクオンに睨みつけられており、項垂れている。

「クオン、反省した。だからマロンの菓子を!もう3日も食べていないのだぞ?いい加減中毒症状が起きる!!」

「で、空色の髪の暗行御史について情報は?」

「そ、それは…知らん………」

 サイヒが首を背けた。
 これだけは認める気がないらしい。
 正体などもうとうに全員が分かっているのだが。
 全員が分かっていることをサイヒも分かっているのだが。
 全員が分かっていることをサイヒも分かっているのをクオンも分かっているのだが。
 全員が分かっていることをサイヒも分かっているのをクオンも分かっているのをサイヒも分かっているのだが。

 全能神は意外と頑固なのである。

 下町に降りる楽しみを取られるのだけは嫌なのだ。

「じゃぁ今日も菓子抜きだな」

「鬼ィィィィィ!この〇惨ーーーーーっ!!アニメが10月から始まるな!今から楽しみだな!派手柱の活躍が見れるな!ちなみに映画は8回見た!煉〇さん最高!!私の押しは雷の黄色い子だぞ!クオンは誰だ?
さぁさぁだから皆で楽しくお話をしながらお茶をしよう!マロンの菓子を解禁しよう!
ワール〇トリガーも始まるぞ!私はクー〇ー派だぞ!ヒュー〇トンとアマト〇チャーナとオッ〇ムも好きだぞ!」

「良く分からない電波を全能神が受信するな!」

「はっ、今私は何を!?」

「良く分からない電波を受信してましたわお兄様」

「ま、マロン!そのワゴンの上に乗っているのは!?」

「お兄様ピスタチオが食べたいと仰ってたでしょ?ピスタチオムースですよ♡」

「マロンさん、サイヒを甘やかしては駄目ですよ…」

「ふふ、もうお許しになってあげてクオンさん。それにトワとセツナもお兄様とお茶をしたいと言っているの。特にセツナがお兄様とお茶したいって駄々を捏ねるんですもの」

「ふぅ、仕方ないですね……」

「さすがはマロンの娘、セツナは話が分かるな」

「娘に手を出すなよサイヒ!」

「お前は私を何だと思っているのだクオン!」

「誑かしの獣だ」

「ルーク、お前からもクオンに何か言って…」

「セツナがライバル?まだ5歳とは言えクオンとマロンの子供…スペックは文句なしだ…今のうちにサイヒが私のモノであると分からせねば!!」

「いや、5歳児にライバル心を抱くなルーク…」

 思わずサイヒが突っ込みを入れた。
 この日はマロンとセツナのおかげでようやくサイヒは菓子にありつけたのだった。

 ただサイヒの隣の席をルークとセツナの取り合いで大変であったことだけここに述べておこう。
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