聖女の力を姉に譲渡し国を出て行った元聖女は実は賢者でした~隣国の後宮で自重せずに生きていこうと思います~

高井繭来

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そして全能神は愉快犯となった

【165話】

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 無限城(旅館)から一切石まではかなりの距離がある。
 正直サイヒの【転移】で一瞬で渡れるのだが、それでは旅の醍醐味が無い。
 移動とて旅の醍醐味。
 なので今回は龍車を使う所となった。

 『獣車』ではなく『龍車』なあたり流石は最高神である。

 最高級のドラゴンの背に乗るのだ。
 乗り心地も最高。
 そうなるようブリーダーたちが育てたドラゴンだ。
 今回のドラゴンはチャンピオンドラゴンだ。
 3代遡って祖父の代からチャンピオンの血統なのだとか。

 そんなドラゴンの背に乗る龍車での旅なのである。

「ルーク、しっかり私の腰にしがみ付いておけよ」

「サイヒに抱き着く…何だか照れるな………」

 いや、何時もそれ以上の事をしているぞ。
 これが乙女心と言うやつだ。

 そして龍車は風を切って空に舞った。

 :::

「本当に石が切れている!」

 目をキラキラさせるのはルークだ。
 反対に伺うように石を見るサイヒ。

 石を真っ二つにするなどサイヒには容易い。

 だが一切石には魔力の波動は感じられなかった。
 勿論神力もだ。
 つまり誰かが本当に刀で切りつけた事を意味する。

「面白い」

 ニヤリとサイヒが笑う。
 是非とも己も試してみたい。
 その際には、魔力も法力も信力も闘気も使わなくてもこんな小さな石では余波で大地が果てるので、小山を相手にしないといけないだろうが。
 是非やってみようとサイヒは思ったのだった。

「何だか嬉しそうだなサイヒ」

「あぁ、旅行が思いのほか楽しい。2人きりの時間と言うのも良いものだな」

「サイヒ………♡」

 キュン、と胸を高鳴らせるルーク。
 バカップル他所でやれ、と誰しもが思うだろう。
 幸い本日は他の客は居なかった。
 いちゃつき放題である。

 だが例えこの場居誰かが居たとしても、他所でやれ、とは思わないだろう。

 そう思うにはこの2人の美貌は天元突破していて、2人並ぶと尊さに目がやられそうである。
 きっと皆手を合わせるに違いない。
 美形、得である。

「ではコスプレをしに行こう。この先に店があるらしい」

「私もワイルドになるぞ、サイヒ!」

「ふふふ楽しみだ」

 そして2人は男女別れて着替えをしに店に入った。
 
 ちなみにサイヒは男部屋の方を勧められたのは些細な事なのである。
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