聖女の力を姉に譲渡し国を出て行った元聖女は実は賢者でした~隣国の後宮で自重せずに生きていこうと思います~

高井繭来

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そして全能神は愉快犯となった

【164話】

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 1組の布団でしっかりと寝て、元気万全の全能神と魔王である。

 朝ごはんのビュッフェが美味しい。
 使っているスパイスや調味料が違うのか、天界で食べる料理とは何か根本的に味が違う。
 美味しいので問題はない。
 地元で食べれないものを食べるのも旅の醍醐味であるのだし。

 それにしても朝から豪華なメニューラインナップだ。

 朝からステーキを食べる者がいるのだろうか?
 いや、サイヒは食べるが。
 肉を食べエネルギーを補うのだ。
 昨夜消費した分のエネルギーを。

 ライブキッチンで焼いてくれるのも嬉しい所だ。

 流し目をしたら分厚いステーキを焼いてくれた。
 美貌の持ち主は得である。

 そして新鮮な魚から天婦羅。
 そういえば漫画に出てくる猪頭も天婦羅が好きであった。
 サクサク衣、確かに美味しい。

 タンパク質でエネルギーを補うサイヒに対して、ルークは糖質でカロリーを補う派だ。
 炭水化物と甘いものが好きである。
 皇太子時代の名残か、消化に優しいものを好む傾向がある。
 今もうどんをすすっている。

 だが”すする”と言う行為は神話時代のジャパニーズスタイルらしい。

 上手くうどんがすすれないルーク。
 正直言って大層可愛い。
 麺1つにそこまで手間取るとか何処のお子様であろうか?

 いや、ルークも朝から浴衣でレストラン内に色気を垂れ流しているので、決してお子様とは言えないが。

 男の視線の方が多いのは仕方ない。
 ルークは染色体XYのDNAレベルでの男だが、サイヒの雄度が上回っているので、どうしても雌の色香が立ち込める。
 そして美貌の持ち主が得なのもルークも同じで。

 柔らかな笑顔でパフェが作られるところを見ている。

 甘味のライブキッチンである。
 パフェの大きさが他の客とはダンチだがルークは気付いていない。
 ニコニコと笑って「大きなパフェになってしまったらしい」とサイヒに伝言する。
 残念であったライブキッチンの若きにぃちゃん。
 君のアプローチはルークには伝わっていない。

「今日は”一刀石”に行くぞ。チェックアウト前に土産を買わないとな」

「………サイヒ、何かお揃いのモノを買いたい、のだが」

 もごもごとルークが言う。
 昨晩もっと恥ずかしいことをしたのに、何故にお揃いのモノを持つのに照れるのか?
 乙女心は難しい、サイヒは思った。

「”一刀石”の近場でコスプレをさせてくれる店があるそうなのでソコに寄ろう。ルークの風柱、楽しみにしているぞ?ワイルドに仕上げるのだろう?」

「うむ、サイヒが惚れなおすくらい男らしくなる!」

「では私もルークが惚れなおしてくれるくらい美しくなろう」

 ルークの唇の端についたクリームをサイヒは指で掬い、その指を赤い舌が舐めとった。

 ガタガタガタガタッ

 何故かレストラン中の客が小刻みに動く。
 見てはならないものを見た気がしたもので。
 一般客にも迷惑もかける、はた迷惑なフェロモン垂れ流し全能神である。

「サイヒ、あまり色気を振りまくな…周りがサイヒを見ていて嫉妬で狂いそうだ………」

「ふふ、嫉妬に狂うルークか、それはさぞや美味しそうであるな」

「う”う”う”う”~~~~」

「どうしたルーク?」

「何時になったらサイヒに勝てるか悩んでいるところだ」

「そうかそうか、その日を楽しみにしておこう」

 ニコニコ笑うサイヒに真っ赤なルーク。

 傍から覗き見していた他の客たちは、その様子を見て「あの美人の男があの男前すぎる性別不詳の人物に勝てる日日はこないんだろうなぁ」と心を1つにさせたのだった。
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