聖女の力を姉に譲渡し国を出て行った元聖女は実は賢者でした~隣国の後宮で自重せずに生きていこうと思います~

高井繭来

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そして全能神は愉快犯となった

【閑話 クオン&マロンSide】

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 クオンとマロンの朝は早い。
 クオンは唯一自分の時間が使える早朝に鍛錬を日課にしている。
 真面目な男である。
 既に人間の域は越えた強さを兼ね備えて、まだ足りないらしい。
 密かにライバルと思っているのはサイヒ。
 やはり主の剣と盾は自分でありたい。
 主の伴侶であってもそれは変わらない。
 若干目標が高すぎるが、ソレを諦めないクオンがマロンは好きである。

(クオンさんのお兄様に向ける感情は複雑ですわ。でも応援してあげたい…こればかりはお兄様より優先してしまうのですのよね。
伴侶と言うのは不思議ですわ。お腹を痛めた子に愛情が一心にかけられることは理解できますが、血のつながりが無くても伴侶のクオンさんが1番大切。
クオンさんは私が自分よりお兄様の優先順位が上だと思っているみたいですけど…そう言う勘違いをしてしまう武骨なとこも含めて本当に可愛いですわ)

 寝室の窓から地上を眺めてマロンは微笑む。
 夫の鍛錬を確認するのがマロンのその日1番目の仕事。
 誰も居ないところ、心の中ではマロンはクオンに対してデレデレに惚気ているのである。
 表に出さないのでお兄様(と書いて全能神と読む)命だと思われているが。
 実は物凄くクオンに惚れ切っているのだ。
 その愛の深さは全能神と魔王の夫婦の結びつきに負けはしない。

「今日は何のお茶を淹れましょうか?」

 朝はクオンが胃を気にせずにお茶を楽しめる唯一の時間だ。
 仕事が始まるとクオンの胃はマッハでやられる。
 主に全能神のせいで。
 だがマロンもソレを止める事は出来ない。
 クオンを愛しているがお兄様もやっぱり大好きなのだ。
 生涯をかけて仕える覚悟がある。
 なので朝のこの時間だけは夫婦の甘い時間を過ごす。

(お茶、何にしましょうかしら?ジャーマン・カモミール、ペパーミント、レモングラス?う~ん今日はジャーマン・カモミールの気分ですわ。
合わせえるのはパンにサラダにフルーツヨーグルト、軽めの朝食の方が頭が回りますものね。血糖値を上げて脳を起こさないと。クオンさんは鍛錬のし過ぎですぐに低血糖症上起こす嫌いがありますものね。
胃に優しくするため敢えてジャムは少量で。パンはバゲットにしましょう)

 脂っこいものは他の食べ物の消化を邪魔をする。ジャムの糖分も、パンの炭水化物より先に消化吸収するので少なめに。
 食パンは中にバターなどの油脂、イーストを膨らませるための砂糖が最初から入っているので、バターロールなどは時間が経って、冷たくなっても固くならないようにするための、生クリームなどが入ってることがあるので胃には優しくない。
 消化のよいパンならば、油脂や砂糖を極力使っていない、フランスパン、バゲット、バタールなど、カサカサしたパンなどが良い。
 そういうパンになら、バターやジャムを少々付けても、消化を邪魔することはない。

 ☆ジャーマンカモミール☆
 作用:健胃、抗炎症、駆風、 鎮静、発汗、利尿
 胃のトラブルにおすすめナンバー1のハーブ。胃の調子を整えて炎症を鎮め、胃痛や胃炎、胃潰瘍などの胃のトラブルをやわらげる。吐き気や食べ過ぎ、食欲がない時にもおすすめ。

「ハーブも余ってますし、汗を流すための湯にハーブを入れちゃいましょう♡」

 ☆ハーブバス☆
 ストレスが原因の胃腸の不調には、ハーブバスでリラックスするのもおすすめ。
 上記のお好きなハーブを使用し、飲む時より2~3倍の濃いめのハーブティーを作って、バスタブのぬるめのお湯に注いで入浴する。
 使用するハーブはドライでもフレッシュでもよく、ハーブの分量や濃さは、お好みで。

 全く持って甲斐甲斐しい妻である。
 その上容姿まで可憐で、クオンはマロンを手に入れた事で一生分の運を使い果たしたかもしれない。
 それでもお釣りが来るとは全能神の談である。
 全能神は己の専属侍女にとても甘いのだ。

 クオンの鍛錬が終わるまであと1時間。
 その間にマロンは頭の中で済ませた工程の用事を済ませるのだった。

 今日も良い1日の始まりになりそうである。
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