聖女の力を姉に譲渡し国を出て行った元聖女は実は賢者でした~隣国の後宮で自重せずに生きていこうと思います~

高井繭来

文字の大きさ
275 / 297
2章

【247話】

しおりを挟む
 《全知全能》とは
 あらゆることを知り、あらゆることを成すことができる能力。
『全』てを『知』り『全』てを『能』う(出来る)。
 現実においてはアブラハムの宗教の神や、各神話における最高神(ゼウスなど)が所持しているとされることが多い。

「じゃぁ何でも出来る、てわけ?」

 コテン、とユラが首を傾げる。
 それだけで真っ赤になった【全知全能】にミヤハルと鈴蘭は心の中で溜息をついた。

((コイツ、チョロい上に初心すぎだろ………))

 血縁関係のせいかミヤハルと鈴蘭の思考は似ている。
 ユラ?
 あれは腐っているので同じ分野に入れてはならない。
 しかも天然を患っている。
 聡明と言えるミヤハルや鈴蘭と同じカテゴリーに入れてはいけないのだ。

「いや、何でも出来るは語弊があるはずだユラさん」

 鈴蘭の言葉に【全知全能】が鋭い眼差しで睨む。
 鈴蘭にはどこ吹く風だ。
 【全知全能】も何でも出来る訳では無い、と言う事が己で分かっているから余計に腹立たしいのだろう。

「全能の逆説と言うものがある。全能の逆説とは、論理学・哲学・神学等において、全能と論理学的不可能との関係を扱った問題だ。
この逆説は全能者の論理学的矛盾を示しており、極端な例で言えば、全能者は自分自身を《永遠にいかなる意味でも存在しない》ようにすることはできない。
他の例で言えば、全能者は「四角い円」や「7+5=75」を成立させることができるように見えるが、それらは論理学的不可能であり、全能者は矛盾している。
全能者はどんなことでもなし得る、と考えることは論理学的に正しくない。
もし全能が《論理学を超越した能力》である、または《神(全能者)の論理》であると言うなら、全能とは、「四角い丸」のような形をも作成できる《非論理学的能力》だ。
この場合、全能についての主張・議論等から論理学を切り捨てることになる。
しばしば、この逆説はアブラハムの宗教に於ける神の語をもって記述されるが、全能者をそれと限る必要はない。
中世以降、哲学者らは様々な方法でこの逆説を書いてきた。古典的な例として、
※全能者は《重すぎて何者にも持ち上げられない石》を作ることができるか
という表現も知られている(訳注: そのような石を作れないなら全能ではない、作れるならその石を持ち上げられないのでやはり全能ではないことになる)。この表現にはわずかながら不備があるが、有名でもあり、この逆説が分析されてきた様々な方法を描写するのに都合がよい。
全能の逆説を厳密に分析するためには、全能性の精密な定義が必要である。
全能性の定義は文化や宗教によって異なり、哲学者同士でも異なる。
通常の定義は「なんでもできる」 all-powerfull であるが、これでは力不足である。
例えば、全能性を《いかなる論理の枠組にも束縛されずに動けること》と定義してしまえば、この逆説は成立させようがない。
この問題に対する近現代の取り組みは、意味論の研究、即ち言語--従って哲学も--全能性そのものを有意味に記述することができるのだろうか、という点を含んでいる。
しかし、はじめから全能者がすべてのことができると定義すれば、この文に左右されずその石を持ち上げられないことも、一つの能力になる、と言う訳だ」

「うん、分からない!」

 ソコは自信ありげに言う所では無いのでは、とミヤハルはユラに対して思った。

「まぁ仮にも【全知全能】ならそれに近い能力は持っているのだろう?能力的には闘いより守備、保護、発展により散らかを注いでくれたら助かるものだな。
神を殺して終わりではない。
その後、人の住める文化を生み出して生きていかなければならない。それに関しては【全知全能】の能力は不可欠だ。
【全知全能】は決して切ってい良い人物ではない。『神狩り』に入らずとも手を貸してくれるだけでも御の字だ。協力のほどを感謝する」

「ふん、それなりに話の分かる奴がいるみたいだな。それに【復元】より年下のようだし、まぁお前は認めてやろう」

 【全知全能】が初めて他人を認めた瞬間だった。
 年上好きのユラの恋愛のストライクゾーンに入っていないことも認める大きな1つの要因であろう。

 こうして紆余曲折のうえ、【全知全能】はチームに入らずとも強大な協力者として、チームのメンバーから大歓迎をされるのであった。
しおりを挟む
感想 1,137

あなたにおすすめの小説

存在感のない聖女が姿を消した後 [完]

風龍佳乃
恋愛
聖女であるディアターナは 永く仕えた国を捨てた。 何故って? それは新たに現れた聖女が ヒロインだったから。 ディアターナは いつの日からか新聖女と比べられ 人々の心が離れていった事を悟った。 もう私の役目は終わったわ… 神託を受けたディアターナは 手紙を残して消えた。 残された国は天災に見舞われ てしまった。 しかし聖女は戻る事はなかった。 ディアターナは西帝国にて 初代聖女のコリーアンナに出会い 運命を切り開いて 自分自身の幸せをみつけるのだった。

〈完結〉【書籍化&コミカライズ・取り下げ予定】毒を飲めと言われたので飲みました。

ごろごろみかん。
恋愛
王妃シャリゼは、稀代の毒婦、と呼ばれている。 国中から批判された嫌われ者の王妃が、やっと処刑された。 悪は倒れ、国には平和が戻る……はずだった。

冤罪で殺された聖女、生まれ変わって自由に生きる

みおな
恋愛
聖女。 女神から選ばれし、世界にたった一人の存在。 本来なら、誰からも尊ばれ大切に扱われる存在である聖女ルディアは、婚約者である王太子から冤罪をかけられ処刑されてしまう。 愛し子の死に、女神はルディアの時間を巻き戻す。 記憶を持ったまま聖女認定の前に戻ったルディアは、聖女にならず自由に生きる道を選択する。

好きな人に『その気持ちが迷惑だ』と言われたので、姿を消します【完結済み】

皇 翼
恋愛
「正直、貴女のその気持ちは迷惑なのですよ……この場だから言いますが、既に想い人が居るんです。諦めて頂けませんか?」 「っ――――!!」 「賢い貴女の事だ。地位も身分も財力も何もかもが貴女にとっては高嶺の花だと元々分かっていたのでしょう?そんな感情を持っているだけ時間が無駄だと思いませんか?」 クロエの気持ちなどお構いなしに、言葉は続けられる。既に想い人がいる。気持ちが迷惑。諦めろ。時間の無駄。彼は止まらず話し続ける。彼が口を開く度に、まるで弾丸のように心を抉っていった。 ****** ・執筆時間空けてしまった間に途中過程が気に食わなくなったので、設定などを少し変えて改稿しています。

お嬢様はお亡くなりになりました。

豆狸
恋愛
「お嬢様は……十日前にお亡くなりになりました」 「な……なにを言っている?」

召喚とか聖女とか、どうでもいいけど人の都合考えたことある?

浅海 景
恋愛
水谷 瑛莉桂(みずたに えりか)の目標は堅実な人生を送ること。その一歩となる社会人生活を踏み出した途端に異世界に召喚されてしまう。召喚成功に湧く周囲をよそに瑛莉桂は思った。 「聖女とか絶対ブラックだろう!断固拒否させてもらうから!」 ナルシストな王太子や欲深い神官長、腹黒騎士などを相手に主人公が幸せを勝ち取るため奮闘する物語です。

愛された側妃と、愛されなかった正妃

編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。 夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。 連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。 正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。 ※カクヨムさんにも掲載中 ※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります ※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。

お前のような地味な女は不要だと婚約破棄されたので、持て余していた聖女の力で隣国のクールな皇子様を救ったら、ベタ惚れされました

夏見ナイ
恋愛
伯爵令嬢リリアーナは、強大すぎる聖女の力を隠し「地味で無能」と虐げられてきた。婚約者の第二王子からも疎まれ、ついに夜会で「お前のような地味な女は不要だ!」と衆人の前で婚約破棄を突きつけられる。 全てを失い、あてもなく国を出た彼女が森で出会ったのは、邪悪な呪いに蝕まれ死にかけていた一人の美しい男性。彼こそが隣国エルミート帝国が誇る「氷の皇子」アシュレイだった。 持て余していた聖女の力で彼を救ったリリアーナは、「お前の力がいる」と帝国へ迎えられる。クールで無愛想なはずの皇子様が、なぜか私にだけは不器用な優しさを見せてきて、次第にその愛は甘く重い執着へと変わっていき……? これは、不要とされた令嬢が、最高の愛を見つけて世界で一番幸せになる物語。

処理中です...