57 / 109
本編で語られなかったイチャラブ事情
54
しおりを挟む
孤児院で出されたのはニンジンがゴロゴロ入っているスープだ。
子供たちは皆嬉しそうに食べている。
具は殆どがニンジン。
気持ち干し肉の欠片。
屑野菜。
スープは塩のみの味付け。
「アンドュ様、どうですか?」
「美味しいよ」
そう言ってアンドュアイスは大人の顔で答えた。
何時ものワンコモードではない。
ニコニコ笑う顔は封印。
子供たちがいるからだろう。
皇太子に憧れを抱いている子供たちの夢を壊す訳にはいかない。
帝都ではアンドュアイスは冷血の皇太子だ。
ワンコではいけないのである。
そう思い、ルーシュは「大人モードのアンドュ様は表情が少ないな」と思った。
そう思ったからアンドュアイスの手が震えていることに気付かなかった。
孤児院で食事を終えて、2人は貧民街を歩く。
何時もはルーシュにギュウギュウ引っ付きたがるアンドュアイスがくっ付いてこない。
それで漸くルーシュはアンドュアイスが異常であると気づいた。
「アンドュ様、大丈夫ですか?」
「う、ん…へい、k………~~~~~っ!!!」
アンドュアイスが路地裏に走っていく。
ルーシュを置いて。
普段ならそんな事在りえない。
ルーシュはアンドュアイスを追いかけた。
そこで見たものは…
「ぐっ、うえっ……………」
道の端で蹲り嘔吐するアンドュアイスの姿だった。
「アンドュ様!?」
「来ないで!!」
アンドュアイスがルーシュを拒絶する。
ルーシュの心に氷柱が刺さるような痛みが走る。
(私が無理矢理食べさせたからだ!)
「汚いから、来ないで…………」
「そんなの無理です!」
アンドュアイスに駆け寄れば、子供みたいな顔をして涙ぐんで吐いていた。
「ぐっ、うっ………」
「そんなにニンジンが嫌いなんですか!?体が受け付けないほどに?もしかしてアレルギーとかですか!?」
「ごめんね、ニンジンがご馳走な人もいるのに…吐いちゃって………」
グスグスとアンドュアイスが鼻を鳴らす。
嘔吐の生理的な涙だけでない。
ニンジンが食べれなかったことをルーシュに申し訳なくて泣いているのだ。
「違います!悪いのは私です、こんなになるまで無理させた………」
「ひっく、ごめんね…ごめんね………」
ルーシュは服が汚れるのも構わずアンドュアイスを抱きしめた。
「何でそんなに無理したんですか?」
「ルーシュを、喜ばせたかったの………」
そんなこと言うアンドュアイスの瞳の奥に痛みを抱えていた。
(私が傷つけた………)
「昔ね、ニンジンのケーキを食べたの。そしたら、身体気持ち悪くなって…そしたら、大人の女の人が何人も僕の身体触って来て………」
「!?」
(あぁ、サイヒからアンドュ様の心の傷に触れるなと言われてたのに…私はバカだ。私の思い込みが、アンドュ様を傷つけた………)
「僕、汚いでしょ?嫌いになるでしょ?ルーシュは綺麗だから、僕の汚い所なんて嫌でしょ?」
ポロポロとアンドュアイスの碧の瞳から涙を零す。
こんな時なのに綺麗だとルーシュは思ってしまった。
「汚くないです、アンドュ様は綺麗ですよ?たとえ汚くても、そんなもの私がアンドュ様を嫌いになる理由になりません!!」
「………ホント?」
「ホントです」
ルーシュはアンドュアイスを抱きしめた。
何時もとは逆だ。
何時もはアンドュアイスがルーシュを抱きしめるのだ。
壊れ物を扱うみたいにそっと。
でもルーシュは壊れ物じゃない。
これでもそこいらの男より頑丈だ。
だからギュウギュウと力一杯アンドゥアイスを抱きしめた。
触れた場所から、抱きしめる腕の力から、ルーシュがアンドュアイスがどれだけ好きか気づいて欲しくて。
「ルーシュ、ルーシュ…ウワァァァァアァアァアァァンッ!!」
アンドュアイスがルーシュを抱きしめ返して大声で泣いた。
初めて見る姿だった。
でもそんな姿がとても愛おしいと思った。
「私は、アンドュ様の事好きですから、これ位で嫌いになるなんて見くびらないで下さい」
「うん、うん!大好き、ルーシュ、大好きだよぉっ!!」
アンドゥアイスの涙につられてルーシュも泣いた。
この人を守り抜きたいと思ったら涙が出てきた。
そうして2人は子供みたいに大泣きして、赤くなった目で見つめ合って笑顔になった。
(これはサイヒに怒られるな)
勿論アンドュアイスと王宮に戻ってお互いの部屋に分かれた後、物凄い勢いでサイヒが【空間転移】を使い頭上に現れルーシュを踏みつぶした。
この後めっちゃ怒られた。
飼い主怖い…ルーシュが初めてサイヒに恐れを抱いた瞬間だったと言う。
子供たちは皆嬉しそうに食べている。
具は殆どがニンジン。
気持ち干し肉の欠片。
屑野菜。
スープは塩のみの味付け。
「アンドュ様、どうですか?」
「美味しいよ」
そう言ってアンドュアイスは大人の顔で答えた。
何時ものワンコモードではない。
ニコニコ笑う顔は封印。
子供たちがいるからだろう。
皇太子に憧れを抱いている子供たちの夢を壊す訳にはいかない。
帝都ではアンドュアイスは冷血の皇太子だ。
ワンコではいけないのである。
そう思い、ルーシュは「大人モードのアンドュ様は表情が少ないな」と思った。
そう思ったからアンドュアイスの手が震えていることに気付かなかった。
孤児院で食事を終えて、2人は貧民街を歩く。
何時もはルーシュにギュウギュウ引っ付きたがるアンドュアイスがくっ付いてこない。
それで漸くルーシュはアンドュアイスが異常であると気づいた。
「アンドュ様、大丈夫ですか?」
「う、ん…へい、k………~~~~~っ!!!」
アンドュアイスが路地裏に走っていく。
ルーシュを置いて。
普段ならそんな事在りえない。
ルーシュはアンドュアイスを追いかけた。
そこで見たものは…
「ぐっ、うえっ……………」
道の端で蹲り嘔吐するアンドュアイスの姿だった。
「アンドュ様!?」
「来ないで!!」
アンドュアイスがルーシュを拒絶する。
ルーシュの心に氷柱が刺さるような痛みが走る。
(私が無理矢理食べさせたからだ!)
「汚いから、来ないで…………」
「そんなの無理です!」
アンドュアイスに駆け寄れば、子供みたいな顔をして涙ぐんで吐いていた。
「ぐっ、うっ………」
「そんなにニンジンが嫌いなんですか!?体が受け付けないほどに?もしかしてアレルギーとかですか!?」
「ごめんね、ニンジンがご馳走な人もいるのに…吐いちゃって………」
グスグスとアンドュアイスが鼻を鳴らす。
嘔吐の生理的な涙だけでない。
ニンジンが食べれなかったことをルーシュに申し訳なくて泣いているのだ。
「違います!悪いのは私です、こんなになるまで無理させた………」
「ひっく、ごめんね…ごめんね………」
ルーシュは服が汚れるのも構わずアンドュアイスを抱きしめた。
「何でそんなに無理したんですか?」
「ルーシュを、喜ばせたかったの………」
そんなこと言うアンドュアイスの瞳の奥に痛みを抱えていた。
(私が傷つけた………)
「昔ね、ニンジンのケーキを食べたの。そしたら、身体気持ち悪くなって…そしたら、大人の女の人が何人も僕の身体触って来て………」
「!?」
(あぁ、サイヒからアンドュ様の心の傷に触れるなと言われてたのに…私はバカだ。私の思い込みが、アンドュ様を傷つけた………)
「僕、汚いでしょ?嫌いになるでしょ?ルーシュは綺麗だから、僕の汚い所なんて嫌でしょ?」
ポロポロとアンドュアイスの碧の瞳から涙を零す。
こんな時なのに綺麗だとルーシュは思ってしまった。
「汚くないです、アンドュ様は綺麗ですよ?たとえ汚くても、そんなもの私がアンドュ様を嫌いになる理由になりません!!」
「………ホント?」
「ホントです」
ルーシュはアンドュアイスを抱きしめた。
何時もとは逆だ。
何時もはアンドュアイスがルーシュを抱きしめるのだ。
壊れ物を扱うみたいにそっと。
でもルーシュは壊れ物じゃない。
これでもそこいらの男より頑丈だ。
だからギュウギュウと力一杯アンドゥアイスを抱きしめた。
触れた場所から、抱きしめる腕の力から、ルーシュがアンドュアイスがどれだけ好きか気づいて欲しくて。
「ルーシュ、ルーシュ…ウワァァァァアァアァアァァンッ!!」
アンドュアイスがルーシュを抱きしめ返して大声で泣いた。
初めて見る姿だった。
でもそんな姿がとても愛おしいと思った。
「私は、アンドュ様の事好きですから、これ位で嫌いになるなんて見くびらないで下さい」
「うん、うん!大好き、ルーシュ、大好きだよぉっ!!」
アンドゥアイスの涙につられてルーシュも泣いた。
この人を守り抜きたいと思ったら涙が出てきた。
そうして2人は子供みたいに大泣きして、赤くなった目で見つめ合って笑顔になった。
(これはサイヒに怒られるな)
勿論アンドュアイスと王宮に戻ってお互いの部屋に分かれた後、物凄い勢いでサイヒが【空間転移】を使い頭上に現れルーシュを踏みつぶした。
この後めっちゃ怒られた。
飼い主怖い…ルーシュが初めてサイヒに恐れを抱いた瞬間だったと言う。
1
あなたにおすすめの小説
永遠の十七歳なんて、呪いに決まってる
鷹 綾
恋愛
永遠の十七歳――
それは祝福ではなく、三百年続く“呪い”だった。
公には「名門イソファガス家の孫娘」として知られる少女キクコ。
だがその正体は、歴史の裏側で幾度も国を救ってきた不老の元聖女であり、
王家すら真実を知らぬ“生きた時代遺産”。
政治も権力も、面倒ごとは大嫌い。
紅茶と読書に囲まれた静かな余生(?)を望んでいたキクコだったが――
魔王討伐後、王位継承問題に巻き込まれたことをきっかけに、
まさかの王位継承権十七位という事実が発覚する。
「……私が女王? 冗談じゃないわ」
回避策として動いたはずが、
誕生した新国王アルフェリットから、なぜか突然の求婚。
しかも彼は、
幼少期に命を救われた“恩人”がキクコであることを覚えていた――
年を取らぬ姿のままで。
永遠に老いない少女と、
彼女の真実を問わず選んだ自分ファーストな若き王。
王妃になどなる気はない。
けれど、逃げ続けることももうできない。
これは、
歴史の影に生きてきた少女が、
はじめて「誰かの隣」を選ぶかもしれない物語。
ざまぁも陰謀も押し付けない。
それでも――
この国で一番、誰よりも“強い”のは彼女だった。
田舎娘、追放後に開いた小さな薬草店が国家レベルで大騒ぎになるほど大繁盛
タマ マコト
ファンタジー
【大好評につき21〜40話執筆決定!!】
田舎娘ミントは、王都の名門ローズ家で地味な使用人薬師として働いていたが、令嬢ローズマリーの嫉妬により濡れ衣を着せられ、理不尽に追放されてしまう。雨の中ひとり王都を去ったミントは、亡き祖母が残した田舎の小屋に戻り、そこで薬草店を開くことを決意。森で倒れていた謎の青年サフランを救ったことで、彼女の薬の“異常な効き目”が静かに広まりはじめ、村の小さな店《グリーンノート》へ、変化の風が吹き込み始める――。
転移先で日本語を読めるというだけで最強の男に囚われました
桜あずみ
恋愛
異世界に転移して2年。
言葉も話せなかったこの国で、必死に努力して、やっとこの世界に馴染んできた。
しかし、ただ一つ、抜けなかった癖がある。
──ふとした瞬間に、日本語でメモを取ってしまうこと。
その一行が、彼の目に留まった。
「この文字を書いたのは、あなたですか?」
美しく、完璧で、どこか現実離れした男。
日本語という未知の文字に強い関心を示した彼は、やがて、少しずつ距離を詰めてくる。
最初はただの好奇心だと思っていた。
けれど、気づけば私は彼の手の中にいた。
彼の正体も、本当の目的も知らないまま。すべてを知ったときには、もう逃げられなかった。
毎日19時に更新予定です。
【完結】転生したら悪役継母でした
入魚ひえん@発売中◆巻き戻り冤罪令嬢◆
恋愛
聖女を優先する夫に避けられていたアルージュ。
その夜、夫が初めて寝室にやってきて命じたのは「聖女の隠し子を匿え」という理不尽なものだった。
しかも隠し子は、夫と同じ髪の色。
絶望するアルージュはよろめいて鏡にぶつかり、前世に読んだウェブ小説の悪妻に転生していることを思い出す。
記憶を取り戻すと、七年間も苦しんだ夫への愛は綺麗さっぱり消えた。
夫に奪われていたもの、不正の事実を着々と精算していく。
◆愛されない悪妻が前世を思い出して転身したら、可愛い継子や最強の旦那様ができて、転生前の知識でスイーツやグルメ、家電を再現していく、異世界転生ファンタジー!◆
*旧題:転生したら悪妻でした
【土壌改良】で死の荒野がSランク農園に!食べただけでレベルアップする野菜で、世界最強ギルド設立
黒崎隼人
ファンタジー
「え? これ、ただのトマトですよ?」
「いいえ、それは食べただけで魔力が全回復する『神の果実』です!」
ブラック企業で働き詰めだった青年は、異世界の名門貴族の三男・ノアとして転生する。
しかし、授かったスキルは【土壌改良】という地味なもの。
「攻撃魔法も使えない役立たず」と罵られ、魔物すら寄り付かない死の荒野へ追放されてしまう。
だが、彼らは知らなかった。
ノアのスキルは、現代の農業知識と合わせることで、荒れ果てた土地を「Sランク食材」が溢れる楽園に変えるチート能力だったことを!
伝説の魔獣(もふもふ)をキュウリ一本で手懐け、行き倒れた天才エルフを極上スープで救い出し、気づけば荒野には巨大な「農業ギルド」が誕生していた。
これは、本人がただ美味しい野菜を作ってのんびり暮らしたいだけなのに、周囲からは「世界を救う大賢者」と崇められてしまう、無自覚・最強の農業ファンタジー!
家族転生 ~父、勇者 母、大魔導師 兄、宰相 姉、公爵夫人 弟、S級暗殺者 妹、宮廷薬師 ……俺、門番~
北条新九郎
ファンタジー
三好家は一家揃って全滅し、そして一家揃って異世界転生を果たしていた。
父は勇者として、母は大魔導師として異世界で名声を博し、現地人の期待に応えて魔王討伐に旅立つ。またその子供たちも兄は宰相、姉は公爵夫人、弟はS級暗殺者、妹は宮廷薬師として異世界を謳歌していた。
ただ、三好家第三子の神太郎だけは異世界において冴えない立場だった。
彼の職業は………………ただの門番である。
そして、そんな彼の目的はスローライフを送りつつ、異世界ハーレムを作ることだった。
お気に入り・感想、宜しくお願いします。
愛された側妃と、愛されなかった正妃
編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。
夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。
連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。
正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。
※カクヨムさんにも掲載中
※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります
※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。
最愛の番に殺された獣王妃
望月 或
恋愛
目の前には、最愛の人の憎しみと怒りに満ちた黄金色の瞳。
彼のすぐ後ろには、私の姿をした聖女が怯えた表情で口元に両手を当てこちらを見ている。
手で隠しているけれど、その唇が堪え切れず嘲笑っている事を私は知っている。
聖女の姿となった私の左胸を貫いた彼の愛剣が、ゆっくりと引き抜かれる。
哀しみと失意と諦めの中、私の身体は床に崩れ落ちて――
突然彼から放たれた、狂気と絶望が入り混じった慟哭を聞きながら、私の思考は止まり、意識は閉ざされ永遠の眠りについた――はずだったのだけれど……?
「憐れなアンタに“選択”を与える。このままあの世に逝くか、別の“誰か”になって新たな人生を歩むか」
謎の人物の言葉に、私が選択したのは――
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる