男として育てられた公爵家の令嬢は聖女の侍女として第2の人生を歩み始めましたー友人経由で何故か帝国の王子にアプローチされておりますー

高井繭来

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本編で語られなかったイチャラブ事情

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「え、と…ルーシュを襲ってたんじゃない………?」

「こんなまだ幼さの残る少女に手を出す訳が無いだろう?それでもレディはレディだ。生まれてから墓に入るまで女性は皆愛すべきレディなんだよ。
そんな愛すべき可憐な乙女に手を出す訳が無いだろう!傷の具合を見ようとしていただけだ!だがレディが男に触られたのが怖かったなら俺が反省すべきだ。
済まなかったねお嬢さん。
そして君!このお嬢さんが大事なら目を離してはいけないだろう。現になれないヒールのせいで足首を痛めている。男と言うのはか弱いレディを護るのが役目だぞ」

 ジャスミンがルーシュに謝罪する。
 その言葉にルーシュは呆けた。

(こんな男の人居るんだな…アンドュ様を怖がるところかお説教するなんて…………)

「ルーシュ怖がらせて無いんだ、良かったぁ…いや、良くないよ!ルーシュの足に触るなんて僕でもした事ないのに!」

「心の狭い男は嫌われるぞ?男ならこんな時にはそっとレディに駆け寄ってまずは心配すべきだろう?それに俺は医師免許を持っている。これはあくまで治療だ」

 アンドュアイスもルーシュも絶句して言葉が出ない。
 ルーシュは自分が女扱いされた事と、アンドュアイスがお説教されている事に。
 
 アンドュアイスはルーシュに危害を与えるどころか下心無しに怪我を心配した上に、男とはどうあるか説教されたことに。

 アンドュアイスは友達が居ない。
 皆が部下であるからだ。
 同い年でも年上でもアンドュアイスより優れた男と言うのは存在しない。
 アンドュアイスは地位も高く、大帝国の次期皇帝だ。
 そんなアンドュアイスに命を出せるのは皇帝くらいだろう。
 言うなれば地位や能力がアンドュアイスに劣らない存在と言うのはルーク位であろうが、ルークはアンドュアイスにとって弟のような存在である。
 ルークもアンドュアイスを兄と慕っている。
 クオンもアンドュアイスに負けない美丈夫だが、地位の序列を大切にする性質だ。
 アンドュアイスにとってクオンはルークの部下であるし、クオンにとってアンドュアイスは主の大切な従兄弟である。
 友達関係などになれようはずが無い。

 よって、アンドュアイスは叱られると言う経験は初めてなのだ。

 それも同年代に、だ。

 アンドュアイスは雷の直撃を受けた気分だった。
 初めて叱られた。
 褒められたことはあっても叱られたことはない。

 いや、1度サイヒに殴られているが、アレは特殊事例過ぎる。

 なので今回のコレが初めてのお説教なのだ。
 そしてアンドュアイスは知っている。
 お説教は怒るではなく叱るだ。
 怒ると叱るでは根本的に違う。

 「怒られる」と「叱られる」は似た言葉だが、少し意味が違いう。
 「叱る」は間違った行いを正すという意味が含まれているが、「怒る」には感情を抑えられず表に出すという意味があるからだ。
 「叱る」には、目上の者が目下の者を指導するといったニュアンスもある。

 アンドュアイスは今日初めて、人に叱られたのだ。
 それはアンドュアイスにとって、ジャスミンが特別な存在になるには十分な理由であったのだった。
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