男として育てられた公爵家の令嬢は聖女の侍女として第2の人生を歩み始めましたー友人経由で何故か帝国の王子にアプローチされておりますー

高井繭来

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本編で語られなかったイチャラブ事情

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 アンドュアイスが剣の鞘から刀身を抜いた。
 豪奢な剣だが、その切れ味は地上で勝るものは無いだろう。
 ミスリル性の剣である。
 
 ミスリルとは銀の輝きと鋼をしのぐ強さを持ち、非常に貴重なものとされる。
 「ミスリル」の名は二つのシンダール語(架空の言語)の単語、「灰色の」を意味する「ミス」(mith)と、「輝き」を意味する「リル」(ril)からなる。
 クウェンヤ名はミスタリレ(mistarille)。またまことの銀(true-silver)、モリア銀とも呼ばれる。ドワーフもかれらだけの秘密の名前でこの金属を呼称した。
 
 述べるところでは、ミスリルは「銅のように打ち延ばせ、ガラスのように磨ける。銀のような美しさだが、黒ずみ曇ることがない。ドワーフはこれを鋼より強いが軽く鍛えることができた」とされる。

エルフもこれを好み、エレギオンのノルドールは、ミスリルからイシルディン(ithildin、「星月」の意)と呼ばれる物質をつくり、モリアの扉を飾る装飾を描いた。イシルディンを用いて描かれた画は、星の光か月の光の下でしか見ることができない。

 ちなみにルーシュがアンドュアイスにプレゼントした剣である。
 魔石もふんだんに使われており、その性能は国宝クラスどころか神話級である。
 こんな剣を使いこなせるのはアンドュアイスくらいだろう。
 並の剣士なら己の身体を切りかねない。

 何故なら装飾が式典用かと思われるくらい豪奢だからだ。
 皇族が持つ剣としては相応しくあるが、実用性には富んでいない。
 それを軽々使えるアンドュアイス。
 全能神から「天の雷」の加護も与えられているし、もはや地上で右に出る者は居ないであろう実力者である。

 そのアンドュアイスが剣を抜いた。
 血の雨が降るのは間違いない。
 
(あ~私の首と体さんバイバイなんのこれ?)

 ルーシュが己の命の儚さを悟った瞬間だった。

「僕のルーシュに汚い手で触って怖い思いさせて、無事で済むと思わないでよね!」

 喋り方が本来の性格のものに変わっている。
 本気で起こっている状態だからだ。
 皇太子モードも維持できない程にアンドュアイスは怒っているのだ。

(え、ルーシュに怖い思いをさせて?アンドュ様私に怒ってんのと違くない?)

「それじゃぁ君の首と胴体がバイバイする時間だよ。最後に1言くらい話を聞いてやっても良いけど?」

 犬モードでもその綺麗な顔で冷たい視線を送られたら背筋に悪寒が走る。 
 美形が怒ると怖いものなのだ。

「言いたい事?あるに決まっているだろう!君は女の子を1人にさせて怪我をさせて何を考えているんだ!女の子と言うのは華奢で柔らかくて良い匂いがして、男が守ってやらないといけない存在なんだぞ!初めてヒールを履いた女の子から目を離すなんて以ての外だ!!」

 ジャスミンが叫んだ。

「「へっ?」」

 その叫んだ内容に、アンドュアイスとルーシュの声が揃ったのだった。
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