妹に手を出したというカルマを背負って転生する羽目になったけど、スキルを持ってるの俺だけなんで割と余裕な世界でした

みかん畑

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20.来客

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 仲間外れにするのは良くないという理屈で、俺はリーナをベッドに連れて行って押し倒した。

「あの、本当にするんですか?」
「殿下じゃなくて俺を選んでくれるんだろ? これはそれを確認する為の儀式だ」
「わ、分かりました。とはいえ、私は初めてなので優しくしてくださいね?」

 俺は大事な女性になったリーナを当然のように抱くことにした。

 エレナは初めての思い出を大切にしてほしいと言って、部屋を出ていってしまった。リーナは何となく息が荒くなっている気がする。もしかして興奮してるんだろうか。場所は俺の屋敷に移したから、気兼ねなく乱れてほしい。

「じゃあ、するか」
「本当にアシル様のモノになるんですね」
「実感はないか?」
「はい。でも、この身体に刻んでほしいと思います。私はアシル様のモノだと」

 俺は高貴なお嬢様であるリーナを抱いた。黒髪にキスを落としながら何度も腰を振り、彼女の中で果てた。初めてだというのに口とケツまで使わせて、まあやりたい放題だったと言える。無知だったリーナはそういう作法もあると言えば何でもしてくれたが、後から合流したエレナに「えぐくない?」と言われて俺の嘘に気づいたようだった。

 いや、別に嘘でもないか。そういう作法があるのは事実だし、それを初回からさせたのは酷かったと思うが。

 初回でフルコースをさせられて不機嫌になったリーナだったが、「愛してる」と伝えると可哀想なくらい弱かった。今まで婚約者に愛されてなかった反動で、恋愛面においてはクソ雑魚に成り果てていたのである。

「もう、リーナを騙さないでよ。これからは私が守るんだからね」
「2人共仲良くしよう。愛してるからな」
「うう~~~」
「リーナ、一緒に慣れよう?」
「そういうエレナさんも耳が赤いですからね」

 可愛い2人だ。異世界ってやっぱりいいわって思った。

 家族になることを決めたリーナは、週末になると俺の家に入り浸るようになった。
 一緒に生活して知ったことだが、外見を嫌われていたリーナは、殿下相手には女としての武器を封印していたらしい。

 しかし、俺に対しては完全に武器を開放していた。一緒にお風呂に入っておっぱいでお掃除とか、それくらいのことは平気でしてきた。

 性的な知識に疎いリーナだが、地頭がいい分、発想がすばらしかった。誰にも教わらずに裸エプロンを始めた時は、やはり天才かと感嘆したものだ。

 天使のような外見と献身的な部分で惚れたエレナと、ぶっちゃけ外見がかなり好みで賢くエッチの才能もあるリーナ。別の意味で最強の2人と男女の仲になれて、異世界バンザイである。

「女神様、素晴らしい人生をありがとうございます」

 最近は朝に欠かさずお祈りもするようにしている。
 お供え物もする為に神棚を作ったんだが、効果は未知数だ。
 まあ、気休め程度だから効果はなくてもいい。
 ただ、感謝の気持ちを示すことが大事だと思ったんだ。

  日課のお祈りを終えて、愛する2人と食事をする。その後、今日の方針を話し合う。これが毎朝のルーティンだ。

 携帯電話で気軽に情報交換できる世界でもないので、情報の共有は毎朝欠かさず行っている。まあ、雑談混じりに今日は何をするとか話し合うだけなので、リラックスした雰囲気ではある。お堅い空気は俺も好きじゃないしな。

「そういえば、お父様から返事が来ました。来週こちらの屋敷に来るそうです。殿下との婚約を破棄してアシル様に嫁ぎたいと伝えたところ、挨拶をしたいと」
「まあ、当然だろうな」
「父は大変礼儀に厳しい人です。言葉遣いなどについても厳しく見ると思います」
「分かった。当日は心得ておこう」

 この世界では平民並みの知識しか持たない俺だ。前世で培ったビジネスマナーで対応するしかない。

「申し訳ありません。いきなりこんなことになってしまって」

 まあ、リーナを娶ると決めたのは俺だし、どうにか嫁にもらえるよう説得するしかないな。

 しかし、かなり揉めるだろうな。王家との婚約を破棄するなんて、前代未聞じゃないか?

「納得してもらえないなら、私は実家と縁を切ります。何もない私でも受け入れてくれますか?」
「当たり前だ。俺の為に覚悟を決めてくれてありがとう」
「はい。あなたの為だったら、私は何でも捧げることができます」

 実際に捧げて貰ってるし、リーナのことは信頼できる。

 正直、面会については不安要素しかなかった。リーナの父親であるサミュエル・サヴァールは、翌週、予定通りの時刻に到着した。

 屋敷の前に家紋付きの馬車が泊まり、3人の従者を引き連れて公爵は来訪した。

「迷宮に近いな。探索者向けの家だ」

 現れたのは、落ち着いた雰囲気の壮年の男だ。40代くらいに見えるが、若々しい。
 従者は3人とも帯剣しており、騎士らしい出で立ちをしている。

「娘が世話になっていると聞いた。私はサミュエル・サヴァール。普段は宰相の肩書で職務に当たっているが、今日は私人として訪ねたつもりだ。フランクに話してくれると嬉しい」
「ありがとうございます。私はアシル・カバネルです」

 応接間に4人を通そうとしたが、騎士の3人は扉の前で待機した。

「聞かれたくない話もあるだろうしな。彼らは同席させない」

 父親が現れてから、リーナは俯いて一言も話さない。今のところ感じのいい対応しかされてないが、実の娘が塞ぎこむほど恐れるってどんな親なんだ。

 警戒しつつも、リーナを交えて3人で席につく。
 使用人の代わりにエレナがお茶を運んでくれて、彼女が退席した後に話し合いは始まった。

「リーナ、殿下の婚約者に戻りなさい。これは命令だ」

 そう来るだろうなとは思ってたが、いきなりの先制攻撃だな。

「お前は殿下を支える為に妃教育を受けてきた。妻として王家に尽くすことが使命なのだ」

 一方的な決めつけに対し、リーナは懸命に抗おうとしている。ギュっと拳を握り、父親を正面から見返した。

「お父様、私は殿下から必要とされておりません。そんな私が嫁いだとしても、後宮に入れられて政治の駒にされるだけです」
「殿下はお若い。今は分からずとも、いずれリーナのことを必要とするはずだ。分かってあげなさい」

 リーナの手は震えていた。俺はその手を握り、公爵を見据えた。

「閣下、お言葉ですがリーナの幸福は殿下の元にはありません」
「アシル君、娘を誑かすのは止めてもらえないだろうか。娘は未来の王妃になることこそ幸福と考え努力してきたんだ。それを邪魔するなら、君は王家だけではなく、公爵家まで敵に回すことになる」

 リーナの幸福を勘違いしてる。俺は疑問に思い尋ねた。

「リーナの幸せについて、一度でも本人と向き合って話したことがあるんですか?」
「なくとも分かるさ。私とリーナは家族だ。考えていることくらい分かる」
「……なるほど。公爵家では言葉は不要ということですね。閣下にとってリーナの言葉は聞く価値がないものなのだと、よく分かりました。」
「なんだと無礼な! 私は娘の言葉を軽んじたことなど一度もない!」
「でしたら、なぜ娘さんが殿下を見限ったのか、当ててみてください」

 公爵はムッとしながらと答えた。

「それは、殿下がミーシャという他の女に気があるからだろう。ローレンからも報告は受けていた」
「違います、お父様。殿下は私の髪色を忌まわしいと吐き捨てました。嫁ぐなら金髪に染めろと。敬愛する祖母を……私を全て否定されたようで……」

 涙で視界が滲んだ娘を見て、サミュエルは溜息をついた。

「王家がクーランの血筋を不吉に思うのは仕方のないことだ。誤解は相手を知らないからこそ起こりうる。殿下には私から注意しておこう」
「私は、あの方に嫁ぐことなど考えられません!」
「時間か解決することもある。しばらく学校を休んで療養しなさい。お前は疲れているんだ」

 取り付く島もない。前世でいい年したオッサンだった俺は、サミュエルの考えも理解できた。子供が言うことだから、という考えもあるのだろう。真面目に取り合う気がないことは態度から分かった。

「お父様は私の気持ちを分かってくださらないのですね」
「しっかりと言うべきことは言うつもりだ。リーナのことは私が守る。だから、安心して殿下に嫁ぎなさい」
「無理に決まっているでしょう! 後宮に入れとまで言われてるのに……! もういいです! 私のことは勘当してください!」

 怒ったリーナは一人で退室してしまった。

「…………」
「…………」

 結果、取り残されたのは俺とサミュエル氏だ。
 気まずいお茶会が始まろうとしていた。
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