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公爵とヨナリウスは、似ていることに気がつかない。
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公爵の腕の中に、見知らぬ少年がいた。
彼を一目見て、公爵家の一行はその場に凍りついた。
「これって……」
「え?」
「嘘だろう?」
(((なんで、そっくりなのーーーー!!)))
全員の心の声が、完全に一致した。
――ただ一人を除いて。
そう。
公爵が抱きかかえなだめている少年は、コンラッドの小さい頃にうり二つだったのだ。
しかも。
「銀髪? 紫の瞳? え? なんで?」
全員が混乱している。
そして公爵家全員が思ったのだ。
((なぜこんなにそっくりなのに、公爵は全く気がついてねーのー!!))
と。
そんな周りの言葉にならない声を気にすることなく、コンラッドはヨナリウスに話しかけた。
「もう大丈夫だぞ~。世界で一番強いおじさんがいるからな~。」
平気で自分をおじさん呼ばわりし、少年をなだめているコンラッド。
戦闘狂と言われ、常に魔物を狩っているところしか見ていない公爵家付きの騎士ではない使節団の者たちは、その意外な一面に顔を引きつらせている。
「公爵様、この子とはどういう……」
一度だけ、バンーテーン王国領にてヨナリウスに会ったことのあるディーバリー副団長だけは、冷静に公爵へ問いかけた。
「ああ。実はこの子には会ったことがあるんだ。」
「さようでございましたか……」
そして、ディーバリー副団長の質問は、さらに続いた。
「で? 何故そんなにご自分に似ていらっしゃる少年に、驚かないのですか?」
と。
すると、コンラッドは不思議そうに首を傾げた。
「そうか?」
そして改めて、ヨナリウスを見たのだが。
「この子の方が、俺より数千倍かわいいと思うのだが。」
……誰も、反論できなかった。
その昔、自分は皇族の呪いで二十歳で死んでしまうと本気で思っていた、コンラッド・ウィン・ヴァーミリオン公爵。
彼は自分の顔に、興味が無かった。
なぜならば――。
それは、彼がまだ幼かった頃の話だ。
彼は、あまりにも美しい顔立ちをしていた。
そう。
性別が分からなくなるほどに。
その結果。
彼は、亡き母と、後に義姉となるフィレンティア・シュバリエ皇妃に、まるでお人形遊びのように、ドレスを着せられ、長い髪のカツラをかぶらされ、挙げ句の果てには化粧まで施されていたのだ。
コンラッド・ウィン・ヴァーミリオン公爵が、ユリアーナに放った失言に続く、思い出したくもない黒歴史の一つである。
それ故、彼は自分の見た目に全く関心が無かった。
鏡も極力見ない男である。
よって、ヨナリウスが自分にそっくりでも、全く気がついていなかったのだ。
(なんでこんな鈍い男に―――!)
ディーバリー副団長は頭を抱えた。
そんな副団長の葛藤をよそに、他の騎士たちは、ヨナリウスのご機嫌取りに必死だった。
「一人でがんばったなー!」
「えらいぞー!」
「このジュースは、甘くておいしいよ。」
「このお菓子、食べるか?」
自分たちの貴重な保存食を差し出す始末である。
そのおかげで、やっとのことでヨナリウスは泣き止んだ。
鼻をすん、と鳴らし、ひくり、と肩を震わせてから――。
ようやく落ち着きを取り戻したヨナリウスは、急に恥ずかしくなったのか、真っ赤になって、公爵の大きな胸の中に、ぎゅっと顔をうずめてしまった。
(か……かわいい…………)
(公爵にそっくりなのに、かわいい…………)
騎士たちは、ヨナの可愛さに心を鷲掴みにされていた。
(あの公爵にそっくりなのに……俺、大丈夫なのか?)
中には、自分の感情に疑問を持ち始める騎士までいる。
そんな中――。
泣き止み、落ち着いたであろうヨナリウスに、できるだけ優しい声と顔で問いかけたのは、落ち着きを取り戻したディーバリー副団長である。
「……このおじさん、君にそっくりだね。」
「はあ? 誰がおじさんだ! お・じ・さ・んー!?」
即座に、公爵が噛みついた。
だが、ディーバリー副団長はそれを完全に無視する。
視線はただ一人、ヨナリウスだけを追っていた。
ヨナリウスはしばらく、公爵の顔をじーっと眺めていたが……。
「ぼくは、かあさまのおじいさんになの。おじさんには、にてないの。」
不思議そうに目をぱちくりさせながら、そう、きっぱりと言い放った。
その瞬間。
周囲は、完全に言葉を失った。
――そう。
ヨナリウスもまた、自分の外見に興味がなかったのだ。
大好きな母親、ユーリに似ていない顔など、ヨナリウスにとっては、どうでもいいものでしかない。
(その反応……どう見ても親子だろうが……!!)
ディーバリー副団長は、喉元までせり上がった叫びを、必死に、必死に飲み込んでいた。
周囲もまた、声を失っていた。
(あれだけ、そっくりなのに……)
(まさか、鏡のない家で育ったのか?)
騎士たちは、勝手にヨナリウスの生い立ちを想像し始める。
(貧乏な家の子……なのか?)
(いや、でも公爵にそっくりだし……)
しかし。
(……よく見れば、着ている服の生地は、かなり上等だぞ?)
(刺繍も丁寧だし、仕立てもいい……)
誰もが、内心で首をかしげていた。
――情報が、まるで噛み合わない。
騎士たちの頭の中は、静かな混乱でいっぱいになっていた。
「君の髪は銀色で、瞳はきれいな紫色だね。お母さんに似たのかな?」
だが、ディーバリー副団長はあきらめなかった。
「? 母様はかみのいろはちゃいろで、おめめもちゃいろだよ?」
ヨナリウスは、ディーバリー副団長を不思議そうに見つめて答えた。
「じゃあ、お母さんのお名前、教えてくれるかな?」
ディーバリー副団長は、警戒されないように、にっこりと微笑みながらヨナリウスに聞いたのだが……。
「母様に、なにかごよう?」
声の温度が、すっと下がった。
公爵の胸に預けていた体が、わずかに強張った。
怪しむように、じっとディーバリー副団長を見つめている。
「え? いや、知り合いじゃないかなと思ってね。」
急に態度の変わったヨナリウスの無言の圧に、ディーバリー副団長は、なぜか背筋に冷たいものを感じ、若干引き気味になった。
「知らない人に、かってにおしえちゃだめなの! そうおそわったもん!」
ヨナリウスはそういうと、また公爵の胸の中にグリグリと顔をうずめた。
「じゃあ、おじさんなら大丈夫かな。おじさんの名前は、コンラッド・ウィン・ヴァーミリオンというんだ。少年の名前も教えてもらえると、うれしいな。」
公爵は、ヨナリウスの頭をやさしくなでながら聞いてきた。
(わーい、あの大きな手だー)
ヨナリウスは、公爵に頭を撫でられるのが好きだった。
母様とは違う安心感のある、大きくて優しい手。
「ぼくは、ヨナリウスって言います。母様はユーリなの。」
だからつい、母親の名前まで教えてしまった。
そのことにすぐ気が付き、小さな両手で自分の口をふさいだ。
そして、思い出してしまった。
今、自分のそばに母親がいないことに。
そして今の自分が、いかに非力かということに。
さみしさと不安が一気にこみ上げ、つい弱音を吐いてしまった。
「母様に会いたい……。」
そして次第にその大きな瞳に、またもや涙があふれてくる。
「母様に? 会えないのか?」
心配そうに公爵がヨナリウスの顔をのぞき込んで聞いてきた。
「うん。お仕事で遠くに行っちゃったの。ぼくいい子にお留守番しないといけないのに……。」
ヨナリウスはポロポロと涙を流し始めた。
「ぼく、母様とのおやくそくをやぶっちゃった! どうしよう……。」
そしてまた、公爵にしがみついて、声を出さずに泣き始めた。
「大丈夫だ。おじさんが一緒に、ヨナリウスの母様に謝ってあげるから。だから泣くな。」
ヨナリウスの頭をそっとなでながら、コンラッドは優しい声でそう言った。
「ほ、ほんとう?」
ヨナは涙でぐちゃぐちゃな顔を上げ、公爵をまっすぐに見た。
「ああ、本当だ。ちなみに母様はどこにいったのかわかるかな?」
「えっとねー、おうとだよ。」
ヨナリウスは、にっこりと笑って答えた。
「王都か……。おじさんも今から、王都に行くんだ。よかったら一緒に行くかい?」
「え?ほんとう?」
ヨナリウスは、まるで花が咲いたような、思わず息をのむほどの笑顔を公爵へ向けた。
「な、なんかあそこ、神々しくないか?」
「あの公爵なのに……」
「戦闘狂じゃなくて、普通の父親みたいに見えるんだが……」
「公爵が父親……」
公爵とヨナリウスの二人を見て、何とも言えない心情に包まれる使節団一行。
(もう、親子でよくないか?でも、母親の名前が違う。髪の色も、そして瞳の色も……)
公爵の騎士団も皆、ユリアーナのことは知っている。
だからこそ、余計に混乱してしまうのであった。
彼を一目見て、公爵家の一行はその場に凍りついた。
「これって……」
「え?」
「嘘だろう?」
(((なんで、そっくりなのーーーー!!)))
全員の心の声が、完全に一致した。
――ただ一人を除いて。
そう。
公爵が抱きかかえなだめている少年は、コンラッドの小さい頃にうり二つだったのだ。
しかも。
「銀髪? 紫の瞳? え? なんで?」
全員が混乱している。
そして公爵家全員が思ったのだ。
((なぜこんなにそっくりなのに、公爵は全く気がついてねーのー!!))
と。
そんな周りの言葉にならない声を気にすることなく、コンラッドはヨナリウスに話しかけた。
「もう大丈夫だぞ~。世界で一番強いおじさんがいるからな~。」
平気で自分をおじさん呼ばわりし、少年をなだめているコンラッド。
戦闘狂と言われ、常に魔物を狩っているところしか見ていない公爵家付きの騎士ではない使節団の者たちは、その意外な一面に顔を引きつらせている。
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「ああ。実はこの子には会ったことがあるんだ。」
「さようでございましたか……」
そして、ディーバリー副団長の質問は、さらに続いた。
「で? 何故そんなにご自分に似ていらっしゃる少年に、驚かないのですか?」
と。
すると、コンラッドは不思議そうに首を傾げた。
「そうか?」
そして改めて、ヨナリウスを見たのだが。
「この子の方が、俺より数千倍かわいいと思うのだが。」
……誰も、反論できなかった。
その昔、自分は皇族の呪いで二十歳で死んでしまうと本気で思っていた、コンラッド・ウィン・ヴァーミリオン公爵。
彼は自分の顔に、興味が無かった。
なぜならば――。
それは、彼がまだ幼かった頃の話だ。
彼は、あまりにも美しい顔立ちをしていた。
そう。
性別が分からなくなるほどに。
その結果。
彼は、亡き母と、後に義姉となるフィレンティア・シュバリエ皇妃に、まるでお人形遊びのように、ドレスを着せられ、長い髪のカツラをかぶらされ、挙げ句の果てには化粧まで施されていたのだ。
コンラッド・ウィン・ヴァーミリオン公爵が、ユリアーナに放った失言に続く、思い出したくもない黒歴史の一つである。
それ故、彼は自分の見た目に全く関心が無かった。
鏡も極力見ない男である。
よって、ヨナリウスが自分にそっくりでも、全く気がついていなかったのだ。
(なんでこんな鈍い男に―――!)
ディーバリー副団長は頭を抱えた。
そんな副団長の葛藤をよそに、他の騎士たちは、ヨナリウスのご機嫌取りに必死だった。
「一人でがんばったなー!」
「えらいぞー!」
「このジュースは、甘くておいしいよ。」
「このお菓子、食べるか?」
自分たちの貴重な保存食を差し出す始末である。
そのおかげで、やっとのことでヨナリウスは泣き止んだ。
鼻をすん、と鳴らし、ひくり、と肩を震わせてから――。
ようやく落ち着きを取り戻したヨナリウスは、急に恥ずかしくなったのか、真っ赤になって、公爵の大きな胸の中に、ぎゅっと顔をうずめてしまった。
(か……かわいい…………)
(公爵にそっくりなのに、かわいい…………)
騎士たちは、ヨナの可愛さに心を鷲掴みにされていた。
(あの公爵にそっくりなのに……俺、大丈夫なのか?)
中には、自分の感情に疑問を持ち始める騎士までいる。
そんな中――。
泣き止み、落ち着いたであろうヨナリウスに、できるだけ優しい声と顔で問いかけたのは、落ち着きを取り戻したディーバリー副団長である。
「……このおじさん、君にそっくりだね。」
「はあ? 誰がおじさんだ! お・じ・さ・んー!?」
即座に、公爵が噛みついた。
だが、ディーバリー副団長はそれを完全に無視する。
視線はただ一人、ヨナリウスだけを追っていた。
ヨナリウスはしばらく、公爵の顔をじーっと眺めていたが……。
「ぼくは、かあさまのおじいさんになの。おじさんには、にてないの。」
不思議そうに目をぱちくりさせながら、そう、きっぱりと言い放った。
その瞬間。
周囲は、完全に言葉を失った。
――そう。
ヨナリウスもまた、自分の外見に興味がなかったのだ。
大好きな母親、ユーリに似ていない顔など、ヨナリウスにとっては、どうでもいいものでしかない。
(その反応……どう見ても親子だろうが……!!)
ディーバリー副団長は、喉元までせり上がった叫びを、必死に、必死に飲み込んでいた。
周囲もまた、声を失っていた。
(あれだけ、そっくりなのに……)
(まさか、鏡のない家で育ったのか?)
騎士たちは、勝手にヨナリウスの生い立ちを想像し始める。
(貧乏な家の子……なのか?)
(いや、でも公爵にそっくりだし……)
しかし。
(……よく見れば、着ている服の生地は、かなり上等だぞ?)
(刺繍も丁寧だし、仕立てもいい……)
誰もが、内心で首をかしげていた。
――情報が、まるで噛み合わない。
騎士たちの頭の中は、静かな混乱でいっぱいになっていた。
「君の髪は銀色で、瞳はきれいな紫色だね。お母さんに似たのかな?」
だが、ディーバリー副団長はあきらめなかった。
「? 母様はかみのいろはちゃいろで、おめめもちゃいろだよ?」
ヨナリウスは、ディーバリー副団長を不思議そうに見つめて答えた。
「じゃあ、お母さんのお名前、教えてくれるかな?」
ディーバリー副団長は、警戒されないように、にっこりと微笑みながらヨナリウスに聞いたのだが……。
「母様に、なにかごよう?」
声の温度が、すっと下がった。
公爵の胸に預けていた体が、わずかに強張った。
怪しむように、じっとディーバリー副団長を見つめている。
「え? いや、知り合いじゃないかなと思ってね。」
急に態度の変わったヨナリウスの無言の圧に、ディーバリー副団長は、なぜか背筋に冷たいものを感じ、若干引き気味になった。
「知らない人に、かってにおしえちゃだめなの! そうおそわったもん!」
ヨナリウスはそういうと、また公爵の胸の中にグリグリと顔をうずめた。
「じゃあ、おじさんなら大丈夫かな。おじさんの名前は、コンラッド・ウィン・ヴァーミリオンというんだ。少年の名前も教えてもらえると、うれしいな。」
公爵は、ヨナリウスの頭をやさしくなでながら聞いてきた。
(わーい、あの大きな手だー)
ヨナリウスは、公爵に頭を撫でられるのが好きだった。
母様とは違う安心感のある、大きくて優しい手。
「ぼくは、ヨナリウスって言います。母様はユーリなの。」
だからつい、母親の名前まで教えてしまった。
そのことにすぐ気が付き、小さな両手で自分の口をふさいだ。
そして、思い出してしまった。
今、自分のそばに母親がいないことに。
そして今の自分が、いかに非力かということに。
さみしさと不安が一気にこみ上げ、つい弱音を吐いてしまった。
「母様に会いたい……。」
そして次第にその大きな瞳に、またもや涙があふれてくる。
「母様に? 会えないのか?」
心配そうに公爵がヨナリウスの顔をのぞき込んで聞いてきた。
「うん。お仕事で遠くに行っちゃったの。ぼくいい子にお留守番しないといけないのに……。」
ヨナリウスはポロポロと涙を流し始めた。
「ぼく、母様とのおやくそくをやぶっちゃった! どうしよう……。」
そしてまた、公爵にしがみついて、声を出さずに泣き始めた。
「大丈夫だ。おじさんが一緒に、ヨナリウスの母様に謝ってあげるから。だから泣くな。」
ヨナリウスの頭をそっとなでながら、コンラッドは優しい声でそう言った。
「ほ、ほんとう?」
ヨナは涙でぐちゃぐちゃな顔を上げ、公爵をまっすぐに見た。
「ああ、本当だ。ちなみに母様はどこにいったのかわかるかな?」
「えっとねー、おうとだよ。」
ヨナリウスは、にっこりと笑って答えた。
「王都か……。おじさんも今から、王都に行くんだ。よかったら一緒に行くかい?」
「え?ほんとう?」
ヨナリウスは、まるで花が咲いたような、思わず息をのむほどの笑顔を公爵へ向けた。
「な、なんかあそこ、神々しくないか?」
「あの公爵なのに……」
「戦闘狂じゃなくて、普通の父親みたいに見えるんだが……」
「公爵が父親……」
公爵とヨナリウスの二人を見て、何とも言えない心情に包まれる使節団一行。
(もう、親子でよくないか?でも、母親の名前が違う。髪の色も、そして瞳の色も……)
公爵の騎士団も皆、ユリアーナのことは知っている。
だからこそ、余計に混乱してしまうのであった。
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