魔法の世界で新たな人生を~捨てられた人生のやり直し~

天羽睦月

文字の大きさ
101 / 120

第101話 消える美桜

しおりを挟む
青葉が教室を出てから一時間が経過すると、次第に隣の席の人と喋る人や立ち上がってトイレに行く人が増えてきている。恐怖が和らいだといっても、机にぶつかって大きな音がすると声を出して怯える人はまだいるようである。

「出雲大丈夫かな……もう一時間以上時間が経ってる……」

蓮は貧乏ゆすりをしながら出雲の心配をしていた。蓮がスマートフォンを操作していると、出雲からメールが届いて。

「い、出雲からメールが!」

蓮がそう叫ぶとすぐにスマートフォンを操作してメール内容を見る。その蓮の声を聞いた琴音と椿が蓮のスマートフォンを覗き込んだ。

「出雲からメールなの!? 早く見せて!」

椿がそう言うと、蓮が少し待ってと言ってメールを開いた。そこには代理で雫が打っていることや手術中であるも、それほど重症ではないことが書かれていた。

「良かった……皆! 出雲は無事だよ!」

蓮がそう叫ぶと、琴音や椿を含めたクラスメイト全員が安堵していた。

「たく、いきなり飛び出して」

蓮は出雲が蹴られて吹き飛ばされた時のことを思い出す。

「出雲のやつ、後先考えずに飛び出して……」

出雲のことを心配しながら蓮は、琴音と椿に出雲は無事だから落ち着こうと言う。

「そうね……蹴り飛ばされたときは冷や汗をかいたけど、無事なら安心をしたよ……」

琴音が椿に安心したねと言うと、椿は涙を流して良かったよぉと言いながら安心をしたのかダムが決壊をしたように大粒の涙を流していた。椿は両手で両目を覆いながら、大泣きをしていた。

「出雲が死んだら私も死ぬところだった……生きてて良かったよぉ……」

そう呟いながら涙を流し続けていると、琴音が死んだら出雲君が悲しむよと言ってハンカチを差し出した。

「泣いていないで、出雲君のお見舞いに落ち着いたら行こうね」

椿がハンカチを受け取らずに泣き続けるので、琴音はハンカチで椿の涙を拭いていく。椿はありがとうと言って次第に涙が治まってきていた。

「落ち着いてきた……出雲が飛び出した時に止めればよかったって後悔してて……」

椿が琴音に言うと、琴音が止めたって出雲君はきっと立ち向かっていたよと言った。それを聞いた椿はそうだねと言い、ゆっくり席に座った。

「そう言えば青葉先生遅いね。 会議長引いているのかな?」

クラスメイトの男子生徒が不意に呟いた。その声を聞いた蓮達は、もう二時間が経過すると思っていた。

「確かに先生遅いな……」

蓮達が席に座って思い思いのことをし始めた時に、教室に青葉が疲れた顔をしながら書類を大量に抱えて入ってきた。

「みんないるぅ~?」

青葉が教卓に大量の書類を置いて項垂れると、何人かの女子生徒が先生大丈夫なのと話しかけていた。

「先生はもうダメよ……疲れたわぁ……」

教卓に備えてある椅子に座って、生徒達に席に座ってねと疲れ切っていると誰もが理解出来る口調で言った。青葉が教卓で項垂れていると、大量の書類について女子生徒が聞いた。すると青葉はみんなの宿題よぉと力なく言った。

「宿題!? 何で突然!?」

男子生徒の一人が青葉に詰め寄って叫んだ。すると青葉が侵入者のせいよと言った。

「学校の警備が問題になったり、生徒を守らずに逃げた教師がいたり、生徒を盾にして自分の命を第一に考えた教師がいたり、戦闘になったところがあったようで、校舎が一部破壊されたりと色々なことがあってね……」

青葉が頭を書開けていると、女子生徒の数人が先生頑張ってと応援をしていた。青葉はありがとうと言ってゆっくりと身体を起こした。

「という訳で、明日から一週間休校となります。 教師達への再教育や校舎の修繕にセキュリティの強化などをするそうなので」

そう青葉が言うと、大量の書類を前列の生徒の机に振り分けていく。前列では足りなかったようで、青葉は二列目の生徒の机も貸し手と言って書類を置いていく。

「前列の半分が親御さん宛よ。 もう半分から二列目の終わりまでが一週間後に提出をする各教科の宿題です。 学科科目のみなのでそれほど難しくはないと思うわ」

青葉がそう言い、書類を取り始めてねと言う。その声に従って生徒達は一人ずつ書類を手に取っていく。蓮や琴音達も書類を手に取って眺めていた。

「休校のお知らせや、教師の侵入者が来た時に行った行為のことについてが主に書いてある。 学科科目は文字通り国語や数学などの科目の行う予定だった授業の内容が解説付きで書かれているな」

蓮は書類を見ながらそう呟いていた。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

「キヅイセ。」 ~気づいたら異世界にいた。おまけに目の前にはATMがあった。異世界転移、通算一万人目の冒険者~

あめの みかな
ファンタジー
秋月レンジ。高校2年生。 彼は気づいたら異世界にいた。 その世界は、彼が元いた世界とのゲート開通から100周年を迎え、彼は通算一万人目の冒険者だった。 科学ではなく魔法が発達した、もうひとつの地球を舞台に、秋月レンジとふたりの巫女ステラ・リヴァイアサンとピノア・カーバンクルの冒険が今始まる。

僕だけ入れちゃうステータス欄 ~追放された凄腕バッファーは、たまたま出会った新人冒険者たちと真の最強パーティーを作り上げる~

めでめで汰
ファンタジー
バッファーの少年カイトのバフスキルは「ステータス欄の中に入って直接数字を動かす」というもの。 しかし、その能力を信じなかった仲間からカイトは追放され迷宮に置き去りにされる。 そこで出会ったLUK(幸運)値の高い少女ハルと共にカイトは無事迷宮から生還。 その後、カイトはハルの両親を探すため地下迷宮の奥へと挑むことを決意する。 (スライム、もふもふ出てきます。女の子に囲まれるけどメインヒロインは一人です。「ざまぁ」もしっかりあります)

『定年聖女ジェシカの第二の人生 〜冒険者はじめました〜』

夢窓(ゆめまど)
ファンタジー
「聖女の定年は25歳です」 ――え、定年!? まだ働けるのに!? 神殿を離れた聖女ジェシカが出会ったのは、 落ちこぼれ魔術師、ならず者の戦士、訳あり美少年、気難しい錬金術師。 クセ者ぞろいの仲間と共に送る第二の人生は、冒険・事件・ドタバタの連続で!? 「定年だからって、まだまだ頑張れます!」 笑って泣けてちょっぴり恋もある、 元聖女の“家族”と“冒険”の物語。

異世界転生おじさんは最強とハーレムを極める

自ら
ファンタジー
定年を半年後に控えた凡庸なサラリーマン、佐藤健一(50歳)は、不慮の交通事故で人生を終える。目覚めた先で出会ったのは、自分の魂をトラックの前に落としたというミスをした女神リナリア。 その「お詫び」として、健一は剣と魔法の異世界へと30代後半の肉体で転生することになる。チート能力の選択を迫られ、彼はあらゆる経験から無限に成長できる**【無限成長(アンリミテッド・グロース)】**を選び取る。 異世界で早速遭遇したゴブリンを一撃で倒し、チート能力を実感した健一は、くたびれた人生を捨て、最強のセカンドライフを謳歌することを決意する。 定年間際のおじさんが、女神の気まぐれチートで異世界最強への道を歩み始める、転生ファンタジーの開幕。

薬師だからってポイ捨てされました~異世界の薬師なめんなよ。神様の弟子は無双する~

黄色いひよこ
ファンタジー
薬師のロベルト・シルベスタは偉大な師匠(神様)の教えを終えて自領に戻ろうとした所、異世界勇者召喚に巻き込まれて、周りにいた数人の男女と共に、何処とも知れない世界に落とされた。  ─── からの~数年後 ──── 俺が此処に来て幾日が過ぎただろう。  ここは俺が生まれ育った場所とは全く違う、環境が全然違った世界だった。 「ロブ、申し訳無いがお前、明日から来なくていいから。急な事で済まねえが、俺もちっせえパーティーの長だ。より良きパーティーの運営の為、泣く泣くお前を切らなきゃならなくなった。ただ、俺も薄情な奴じゃねぇつもりだ。今日までの給料に、迷惑料としてちと上乗せして払っておくから、穏便に頼む。断れば上乗せは無しでクビにする」  そう言われて俺に何が言えよう、これで何回目か? まぁ、薬師の扱いなどこんなものかもな。  この世界の薬師は、ただポーションを造るだけの職業。  多岐に亘った薬を作るが、僧侶とは違い瞬時に体を癒す事は出来ない。  普通は……。 異世界勇者巻き込まれ召喚から数年、ロベルトはこの異世界で逞しく生きていた。 勇者?そんな物ロベルトには関係無い。 魔王が居ようが居まいが、世界は変わらず巡っている。 とんでもなく普通じゃないお師匠様に薬師の業を仕込まれた弟子ロベルトの、危難、災難、巻き込まれ痛快世直し異世界道中。 はてさて一体どうなるの? と、言う話。ここに開幕! ● ロベルトの独り言の多い作品です。ご了承お願いします。 ● 世界観はひよこの想像力全開の世界です。

家ごと異世界転移〜異世界来ちゃったけど快適に暮らします〜

奥野細道
ファンタジー
都内の2LDKマンションで暮らす30代独身の会社員、田中健太はある夜突然家ごと広大な森と異世界の空が広がるファンタジー世界へと転移してしまう。 パニックに陥りながらも、彼は自身の平凡なマンションが異世界においてとんでもないチート能力を発揮することを発見する。冷蔵庫は地球上のあらゆる食材を無限に生成し、最高の鮮度を保つ「無限の食料庫」となり、リビングのテレビは異世界の情報をリアルタイムで受信・翻訳する「異世界情報端末」として機能。さらに、お風呂の湯はどんな傷も癒す「万能治癒の湯」となり、ベランダは瞬時に植物を成長させる「魔力活性化菜園」に。 健太はこれらの能力を駆使して、食料や情報を確保し、異世界の人たちを助けながら安全な拠点を築いていく。

転移先で日本語を読めるというだけで最強の男に囚われました

桜あずみ
恋愛
異世界に転移して2年。 言葉も話せなかったこの国で、必死に努力して、やっとこの世界に馴染んできた。 しかし、ただ一つ、抜けなかった癖がある。 ──ふとした瞬間に、日本語でメモを取ってしまうこと。 その一行が、彼の目に留まった。 「この文字を書いたのは、あなたですか?」 美しく、完璧で、どこか現実離れした男。 日本語という未知の文字に強い関心を示した彼は、やがて、少しずつ距離を詰めてくる。 最初はただの好奇心だと思っていた。 けれど、気づけば私は彼の手の中にいた。 彼の正体も、本当の目的も知らないまま。すべてを知ったときには、もう逃げられなかった。 毎日19時に更新予定です。

高校生の俺、異世界転移していきなり追放されるが、じつは最強魔法使い。可愛い看板娘がいる宿屋に拾われたのでもう戻りません

下昴しん
ファンタジー
高校生のタクトは部活帰りに突然異世界へ転移してしまう。 横柄な態度の王から、魔法使いはいらんわ、城から出ていけと言われ、いきなり無職になったタクト。 偶然会った宿屋の店長トロに仕事をもらい、看板娘のマロンと一緒に宿と食堂を手伝うことに。 すると突然、客の兵士が暴れだし宿はメチャクチャになる。 兵士に殴り飛ばされるトロとマロン。 この世界の魔法は、生活で利用する程度の威力しかなく、とても弱い。 しかし──タクトの魔法は人並み外れて、無法者も脳筋男もひれ伏すほど強かった。

処理中です...