30 / 281
銀の鳥籠Ⅰ ルイ&サクヤ編
030 杖の命
しおりを挟む
店主以外が目を見開いて扉を凝視した。出て行ってくれって言われれば、素直に出てくって。それを、追い出すって……。
「杖も変わり者?」
ユエが呆然と呟いた。
「変わってるでしょうね。今現在で人型で動き回り、話をする杖はあれだけですから」
店主は慣れているのか、平然とそう言ってるし。立ち上がって、促されるまま部屋を後にする。あの杖はいつまでああしてるんだろうな。手に持った杖を見詰めて、不意にそう考えた。
「なあ、杖って朽ちるのか?」
オレの質問にルイ、ユエと副会長が驚いたようにオレを凝視しやがった! なんだよ。その意外な言葉聞いたみたいな表情!
「それは、杖によりますよ」
一方、店主は平然と答えやがるし。
「どういうことだよ」
「一般的に杖は主を決めます。ですが主を渡り歩く杖は朽ちません。そして、全く主を決めない杖も朽ちません。けれど、一人と主を決める杖は朽ちます。例外があの杖ですよ。あの杖が朽ちないのは、主が製作した杖があるからです。ですから、あの杖が朽ちるのは製作された杖が全て主を決めたときでしょう」
それってさ、どれくらいあるんだよ。
「サクヤ様が言いたいのは、あの杖の行く末でしょう? 問題はその製作者が作った杖が特殊だということです。普通、杖に使われる材料など決まっています。ですが、変わり者であった彼の作る杖は、杖の木材そのものは普通なのですが、中身が独特なのですよ。扱える者など、そうそう現れません」
おい。もし、製作者が作った杖が少なかったとしても、特殊すぎる杖のせいでなかなか主が見付からないとか言うのか?
「そうですね。お二方のお子様ならその方の杖を扱える可能性があるかもしれません」
だから! 外堀埋めるんじゃねぇ!
「この二人の子ってさ。特殊か平凡か両極端なんじゃない」
……ユエ、気のせいか、最近言動にトゲがあるぞ。
「極端すぎるからね。俺とユエなんて可愛いもんだしね」
副会長も酷い……。
「話は変わりますが、あの部屋を使われるんですよね?」
店主の言葉にルイは頷く。
「そう。三人の杖をブレスレットに収納するから」
「収納するブレスレットは?」
「手に入れてあるから大丈夫。私が魔法を使うから、物はなんでも問題ないからね」
「左様ですか。問題なければ私も同席しても?」
「構わないよ。店主がいつもしていることと変わらないから」
でもよ、店主は決まった物と手順でないと駄目なんだろう? やっぱり、普通じゃないよな。
「サクヤ、何考えてるの?」
「んあ? ルイは普通じゃないって」
「へえ? サクヤも普通じゃないでしょう?」
「オレはある意味普通だから」
自分で編み出すなんて頭はねぇもん。あくまで、制御できねぇ魔力が体の中に居座ってるだけだし。で、どうすることもできないわけだからさ、開き直るしかねぇだろ。
「言うようになったね」
「濁したってさ、訊き出されるのが落ちじゃねぇか。だったら、素直に吐き出した方が無駄じゃねえし、苦痛も少ないし」
オレだって学習するんだよ。ルイに逆らって酷い目にあうのはオレだし。態度デカイと言われようが、太々しくなったって言われようが、気にしねぇし。
「やっぱり珍獣」
ユエ! なに失礼なこと言ってんだ! やっぱり、後でシバく!
「杖も変わり者?」
ユエが呆然と呟いた。
「変わってるでしょうね。今現在で人型で動き回り、話をする杖はあれだけですから」
店主は慣れているのか、平然とそう言ってるし。立ち上がって、促されるまま部屋を後にする。あの杖はいつまでああしてるんだろうな。手に持った杖を見詰めて、不意にそう考えた。
「なあ、杖って朽ちるのか?」
オレの質問にルイ、ユエと副会長が驚いたようにオレを凝視しやがった! なんだよ。その意外な言葉聞いたみたいな表情!
「それは、杖によりますよ」
一方、店主は平然と答えやがるし。
「どういうことだよ」
「一般的に杖は主を決めます。ですが主を渡り歩く杖は朽ちません。そして、全く主を決めない杖も朽ちません。けれど、一人と主を決める杖は朽ちます。例外があの杖ですよ。あの杖が朽ちないのは、主が製作した杖があるからです。ですから、あの杖が朽ちるのは製作された杖が全て主を決めたときでしょう」
それってさ、どれくらいあるんだよ。
「サクヤ様が言いたいのは、あの杖の行く末でしょう? 問題はその製作者が作った杖が特殊だということです。普通、杖に使われる材料など決まっています。ですが、変わり者であった彼の作る杖は、杖の木材そのものは普通なのですが、中身が独特なのですよ。扱える者など、そうそう現れません」
おい。もし、製作者が作った杖が少なかったとしても、特殊すぎる杖のせいでなかなか主が見付からないとか言うのか?
「そうですね。お二方のお子様ならその方の杖を扱える可能性があるかもしれません」
だから! 外堀埋めるんじゃねぇ!
「この二人の子ってさ。特殊か平凡か両極端なんじゃない」
……ユエ、気のせいか、最近言動にトゲがあるぞ。
「極端すぎるからね。俺とユエなんて可愛いもんだしね」
副会長も酷い……。
「話は変わりますが、あの部屋を使われるんですよね?」
店主の言葉にルイは頷く。
「そう。三人の杖をブレスレットに収納するから」
「収納するブレスレットは?」
「手に入れてあるから大丈夫。私が魔法を使うから、物はなんでも問題ないからね」
「左様ですか。問題なければ私も同席しても?」
「構わないよ。店主がいつもしていることと変わらないから」
でもよ、店主は決まった物と手順でないと駄目なんだろう? やっぱり、普通じゃないよな。
「サクヤ、何考えてるの?」
「んあ? ルイは普通じゃないって」
「へえ? サクヤも普通じゃないでしょう?」
「オレはある意味普通だから」
自分で編み出すなんて頭はねぇもん。あくまで、制御できねぇ魔力が体の中に居座ってるだけだし。で、どうすることもできないわけだからさ、開き直るしかねぇだろ。
「言うようになったね」
「濁したってさ、訊き出されるのが落ちじゃねぇか。だったら、素直に吐き出した方が無駄じゃねえし、苦痛も少ないし」
オレだって学習するんだよ。ルイに逆らって酷い目にあうのはオレだし。態度デカイと言われようが、太々しくなったって言われようが、気にしねぇし。
「やっぱり珍獣」
ユエ! なに失礼なこと言ってんだ! やっぱり、後でシバく!
10
あなたにおすすめの小説
従僕に溺愛されて逃げられない
大の字だい
BL
〈従僕攻め×強気受け〉のラブコメ主従BL!
俺様気質で傲慢、まるで王様のような大学生・煌。
その傍らには、当然のようにリンがいる。
荷物を持ち、帰り道を誘導し、誰より自然に世話を焼く姿は、周囲から「犬みたい」と呼ばれるほど。
高校卒業間近に受けた突然の告白を、煌は「犬として立派になれば考える」とはぐらかした。
けれど大学に進学しても、リンは変わらず隣にいる。
当たり前の存在だったはずなのに、最近どうも心臓がおかしい。
居なくなると落ち着かない自分が、どうしても許せない。
さらに現れた上級生の熱烈なアプローチに、リンの嫉妬は抑えきれず――。
主従なのか、恋人なのか。
境界を越えたその先で、煌は思い知らされる。
従僕の溺愛からは、絶対に逃げられない。
ふたなり治験棟 企画12月31公開
ほたる
BL
ふたなりとして生を受けた柊は、16歳の年に国の義務により、ふたなり治験棟に入所する事になる。
男として育ってきた為、子供を孕み産むふたなりに成り下がりたくないと抗うが…?!
神官姫と最強最弱の王
深也糸
BL
アズカヴァル国の王、リヴェラ・ライト・アズカヴァルは十八歳になり、成人したことで妃を娶らなければならなかった。
隣国のリゼルハイドの姫、シファ・ヴィオラ・リゼルハイドはリヴェラと娶せられるためにアズカヴァルに逗留することになる。リヴェラに城の中を案内してもらい親睦を深めようとするが、早々に男だとバレてしまい……。
※週一回 マイペース更新
兄弟カフェ 〜僕達の関係は誰にも邪魔できない〜
紅夜チャンプル
BL
ある街にイケメン兄弟が経営するお洒落なカフェ「セプタンブル」がある。真面目で優しい兄の碧人(あおと)、明るく爽やかな弟の健人(けんと)。2人は今日も多くの女性客に素敵なひとときを提供する。
ただし‥‥家に帰った2人の本当の姿はお互いを愛し、甘い時間を過ごす兄弟であった。お店では「兄貴」「健人」と呼び合うのに対し、家では「あお兄」「ケン」と呼んでぎゅっと抱き合って眠りにつく。
そんな2人の前に現れたのは、大学生の幸成(ゆきなり)。純粋そうな彼との出会いにより兄弟の関係は‥‥?
上司、快楽に沈むまで
赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。
冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。
だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。
入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。
真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。
ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、
篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」
疲労で僅かに緩んだ榊の表情。
その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。
「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」
指先が榊のネクタイを掴む。
引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。
拒むことも、許すこともできないまま、
彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。
言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。
だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。
そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。
「俺、前から思ってたんです。
あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」
支配する側だったはずの男が、
支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。
上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。
秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。
快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。
――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる