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銀の鳥籠Ⅰ ルイ&サクヤ編
029 杖と猫
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店主に導かれて行った部屋は少し奥まった場所だった。暗さは全然なくてさ、静かな場所だ。
「ここです。部屋に入れると良いのですが」
どういうことだ?!
「この部屋の主が認めないと入れないの?」
ルイは普通に答えてるし。でも、主って、さっきの黒猫擬きの杖だよな。
「そうですね。私も数回しか入室していませんから」
どんだけ自我が強いんだよ。店主がノブに手を掛けて静かに回した。扉を開くときの軽い音がして、抵抗なく外側に開いた。恐る恐る室内を見渡すと、部屋の中央の台の上に杖があった。
綺麗な杖だよな。黒猫だったのは杖が黒いからだ。艶があって、しなやかな感じが確かに猫なのかもしんねぇ。
「入れましたね。歓迎されてるんでしょう。多分、サクヤ様でしょうが」
は?! 俺かよ!
「妬けるね。杖にまでモテるなんて」
「苦労するね」
ルイと副会長、好き勝手言ってんじゃねぇぞ。
「ずっと、ここに?」
「主が没する少し前に預けられたと伝えられております。あの部屋の選定に必ず現れるというわけではないのですよ。あくまで主が製作した杖が目覚めるときだけです」
それまでは眠ってんのかな?
「そう」
ルイはそう言うと指を鳴らした。なんで、杖なんか出してんだ。
「サクヤ、その杖を見せて」
なに言ってんだよ。ルイの杖の横に手に持ってる杖を並べた。色は多少違う。でもよ。これ、彫刻が同じモチーフだ。
「ふふ。気が付いた?」
いきなり真横から声、って、この女の人誰だよ?! 長い黒髪に独特の色合いの黒い瞳。でもって、副会長ばりの真っ黒な服……。魔女みてぇだし。
「さっきの黒猫ですね」
「そうよ。本体が近くにあるから人の姿になれるのよ」
「この杖は対ですか?」
「そうね。主は意識はしてないわよ。あの人、感じたままに作っていたから」
対って。
「中に石が込められてるのだけどね。確か変わった石よ。覚えてはいないんだけど。癖が強くてね。扱える人も限られてる。そう言う意味では、二人は変わってるわね。だって、対の存在で相手なんでしょう?」
どういう意味だよ?
「この子は魔力を制御できてない。でも、開放すれば貴方と同じ強さの魔力でしょう。陽と陰。まさに対よね」
言ったあと、面白そうに笑いやがった。グッタリだ。まだ、恋人未満なんだよ。外堀から確定するのやめてくんねぇ?
「同じ?」
ルイは驚いたように目を見開く。
「同じね。貴方は破壊の力がとてつもなく強いけど、この子は逆に修復する力が強いわよ。それに貴方は溜め込みタイプだけど、この子は放出タイプよね。本当に二人共珍しいわ」
そして、更に高笑い。杖って、こんなに感情が豊かなのかよ。って、オレが手にしてるのも人型になるのか?!
「ならないわよ」
オレを見詰めて、そんなことを言った。
「私みたいに歩き回るのは稀よ。だから、一緒に連れて行ってもらえなかったのだから」
寂しそう、に見えんだけど。
「そうそう。わざわざこの部屋に招いたのは言いたいことがあったからよ。その杖、貴方達が亡くなるとき、一緒に連れて行ってあげてね。新たな主は絶対に見付けることはないから」
へ?! なに言い出すんだよ!
「なんとなく、貴方が杖に選ばれたとき、もう一人いるような気がしたのよ。だから、そのときには伝えなかったんだけど」
ルイに視線を向けて微笑む。
「不安定だったし。何かが足りない感じだったし。一人でいるのは不自然な感じだったしね」
そう言うと、大きく体を伸ばした。
「店主。私は当分目覚めないわ。だから、近付かないでね」
「分かりました」
「じゃあね」
軽く手を振ると、思いっきり部屋から追い出された! しかも、容赦なく全員! 勢いよく扉が閉まって、しかも、カチャリって鍵が掛かる音がすっし! 今のなんだったんだよ?!
「ここです。部屋に入れると良いのですが」
どういうことだ?!
「この部屋の主が認めないと入れないの?」
ルイは普通に答えてるし。でも、主って、さっきの黒猫擬きの杖だよな。
「そうですね。私も数回しか入室していませんから」
どんだけ自我が強いんだよ。店主がノブに手を掛けて静かに回した。扉を開くときの軽い音がして、抵抗なく外側に開いた。恐る恐る室内を見渡すと、部屋の中央の台の上に杖があった。
綺麗な杖だよな。黒猫だったのは杖が黒いからだ。艶があって、しなやかな感じが確かに猫なのかもしんねぇ。
「入れましたね。歓迎されてるんでしょう。多分、サクヤ様でしょうが」
は?! 俺かよ!
「妬けるね。杖にまでモテるなんて」
「苦労するね」
ルイと副会長、好き勝手言ってんじゃねぇぞ。
「ずっと、ここに?」
「主が没する少し前に預けられたと伝えられております。あの部屋の選定に必ず現れるというわけではないのですよ。あくまで主が製作した杖が目覚めるときだけです」
それまでは眠ってんのかな?
「そう」
ルイはそう言うと指を鳴らした。なんで、杖なんか出してんだ。
「サクヤ、その杖を見せて」
なに言ってんだよ。ルイの杖の横に手に持ってる杖を並べた。色は多少違う。でもよ。これ、彫刻が同じモチーフだ。
「ふふ。気が付いた?」
いきなり真横から声、って、この女の人誰だよ?! 長い黒髪に独特の色合いの黒い瞳。でもって、副会長ばりの真っ黒な服……。魔女みてぇだし。
「さっきの黒猫ですね」
「そうよ。本体が近くにあるから人の姿になれるのよ」
「この杖は対ですか?」
「そうね。主は意識はしてないわよ。あの人、感じたままに作っていたから」
対って。
「中に石が込められてるのだけどね。確か変わった石よ。覚えてはいないんだけど。癖が強くてね。扱える人も限られてる。そう言う意味では、二人は変わってるわね。だって、対の存在で相手なんでしょう?」
どういう意味だよ?
「この子は魔力を制御できてない。でも、開放すれば貴方と同じ強さの魔力でしょう。陽と陰。まさに対よね」
言ったあと、面白そうに笑いやがった。グッタリだ。まだ、恋人未満なんだよ。外堀から確定するのやめてくんねぇ?
「同じ?」
ルイは驚いたように目を見開く。
「同じね。貴方は破壊の力がとてつもなく強いけど、この子は逆に修復する力が強いわよ。それに貴方は溜め込みタイプだけど、この子は放出タイプよね。本当に二人共珍しいわ」
そして、更に高笑い。杖って、こんなに感情が豊かなのかよ。って、オレが手にしてるのも人型になるのか?!
「ならないわよ」
オレを見詰めて、そんなことを言った。
「私みたいに歩き回るのは稀よ。だから、一緒に連れて行ってもらえなかったのだから」
寂しそう、に見えんだけど。
「そうそう。わざわざこの部屋に招いたのは言いたいことがあったからよ。その杖、貴方達が亡くなるとき、一緒に連れて行ってあげてね。新たな主は絶対に見付けることはないから」
へ?! なに言い出すんだよ!
「なんとなく、貴方が杖に選ばれたとき、もう一人いるような気がしたのよ。だから、そのときには伝えなかったんだけど」
ルイに視線を向けて微笑む。
「不安定だったし。何かが足りない感じだったし。一人でいるのは不自然な感じだったしね」
そう言うと、大きく体を伸ばした。
「店主。私は当分目覚めないわ。だから、近付かないでね」
「分かりました」
「じゃあね」
軽く手を振ると、思いっきり部屋から追い出された! しかも、容赦なく全員! 勢いよく扉が閉まって、しかも、カチャリって鍵が掛かる音がすっし! 今のなんだったんだよ?!
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