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銀の鳥籠Ⅰ ルイ&サクヤ編
053 過去と現在のカタチ
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「そんなことはないよ」
ルイは穏やかに耳元で囁いた。
「サクヤはそうだね。ここにいる生徒に比べたら確かに異質だよ。でもね。サクヤが持つものは私達では手に入れることができないものなんだよ。魔法使いの家系は、どうやっても魔力に振り回される。幼い時から親元を離れて、魔力に振り回されないように勉強をしなきゃならない。親子関係は酷い子だと会うこともほとんどない」
「ルイは?」
ルイは小さく息を吐き出した。
「私はもっと異質かもよ。両親は決まった日に会いに来てくれた。魔法学校の初等部に入学するまで、魔法省で育ったんだよ。白い壁に囲まれた無機質な部屋で、朝から晩まで。眠りに誘われて、目覚めたらまた、同じ部屋で。初めてライカ達に会ったとき、同じくらいの年の子なんて知らなかった。周りは私を調べるための研究員である大人達で。正直、怖かったよ。今日から彼等と一緒にいなさい、と言われてね。周りの子は笑うし、泣くし、怒る。いろいろな感情を表現していて、でも、私は知らなかった」
ルイはそう言うと、いきなり腰を下ろした。オレ、ベッドからほとんど離れてなかったのかよ。で、腰を下ろされると、後ろから抱きつかれているオレは必然的にルイの膝の上に乗ることになる。
「まず、感情が分からなかった。どうして泣くのか? どうして笑い、怒るのか? 人との会話も何もかも理解できなくてね。なんとなく理解し始めたのが三学年になったときかな? その年に生徒会長の役職を与えられた。理由は簡単でね。なるべく人との接触を避けるためだった」
ルイは更に腕に力を入れた。あのさ、地味に痛いんだけど。
「どこかでやっぱり、私に対して一線を引くような対応が当たり前だった。でも、ライカだけは少しだけ違ったんだよ。私ほどではないけれど、強い破壊の魔力の持ち主だった。管理される強さではなかったけれど。だから、私の側に常時いることになったんだよ」
オレのお腹あたりにあるルイの手をそっと撫でてみた。力が入りすぎたんだろうな。少し冷たくなってた。
「……あのさ。オレは管理なんかされたことねぇしさ。分んねぇんだけど。辛くなかったのかよ?」
「その感情が私にはなかったんだよ」
「どういうことだよ?」
「人が当たり前に持つ、全ての感情がなかったんだよ。こうやって、サクヤに対して持つ独占欲だって、本当に最近まで持ち合わせていなかった」
ルイはオレを軽々と持ち上げて、向かい合わせになるように膝の上に乗せた。って、どんだけ力があるんだよ。仮にもオレは男だ。
「離れて行かないで。私にはサクヤだけなんだよ。本当の意味で安心できる存在は」
背中に腕を回してきて、左肩に顔を埋めてきた。少し躊躇ってさ、子供をあやすようにルイの背中に腕を回した。ルイにとって必要なのは安らぎなのかよ。でもさ、オレはそれだけじゃ満足できねぇよ。体を重ねる行為は本当に怖いって思う。最初のときの流されるようなものではなくてさ、オレ自身が望むんだ。
「……じゃあさ、オレにルイをくれよ。全部」
ルイは弾かれたように顔を上げて、オレの顔を覗き込んできた。
「言葉通り全部だ。心も魔力も、もちろん体も全部。ルイはオレのものだろう?」
「……サクヤ?」
「だから、オレの一番深い場所に、ルイをくれよ。何も考えられなくなるくらい」
それは、オレなりの決意と誘惑だった。狙われているなら、それなりに覚悟を決めて、受け入れて、対応しなきゃだろう。ルイと繋がるのが一番の安全につながるなら、もう、心は決まったんだ。だから、ルイを体全てで感じたいと思った。
ルイは穏やかに耳元で囁いた。
「サクヤはそうだね。ここにいる生徒に比べたら確かに異質だよ。でもね。サクヤが持つものは私達では手に入れることができないものなんだよ。魔法使いの家系は、どうやっても魔力に振り回される。幼い時から親元を離れて、魔力に振り回されないように勉強をしなきゃならない。親子関係は酷い子だと会うこともほとんどない」
「ルイは?」
ルイは小さく息を吐き出した。
「私はもっと異質かもよ。両親は決まった日に会いに来てくれた。魔法学校の初等部に入学するまで、魔法省で育ったんだよ。白い壁に囲まれた無機質な部屋で、朝から晩まで。眠りに誘われて、目覚めたらまた、同じ部屋で。初めてライカ達に会ったとき、同じくらいの年の子なんて知らなかった。周りは私を調べるための研究員である大人達で。正直、怖かったよ。今日から彼等と一緒にいなさい、と言われてね。周りの子は笑うし、泣くし、怒る。いろいろな感情を表現していて、でも、私は知らなかった」
ルイはそう言うと、いきなり腰を下ろした。オレ、ベッドからほとんど離れてなかったのかよ。で、腰を下ろされると、後ろから抱きつかれているオレは必然的にルイの膝の上に乗ることになる。
「まず、感情が分からなかった。どうして泣くのか? どうして笑い、怒るのか? 人との会話も何もかも理解できなくてね。なんとなく理解し始めたのが三学年になったときかな? その年に生徒会長の役職を与えられた。理由は簡単でね。なるべく人との接触を避けるためだった」
ルイは更に腕に力を入れた。あのさ、地味に痛いんだけど。
「どこかでやっぱり、私に対して一線を引くような対応が当たり前だった。でも、ライカだけは少しだけ違ったんだよ。私ほどではないけれど、強い破壊の魔力の持ち主だった。管理される強さではなかったけれど。だから、私の側に常時いることになったんだよ」
オレのお腹あたりにあるルイの手をそっと撫でてみた。力が入りすぎたんだろうな。少し冷たくなってた。
「……あのさ。オレは管理なんかされたことねぇしさ。分んねぇんだけど。辛くなかったのかよ?」
「その感情が私にはなかったんだよ」
「どういうことだよ?」
「人が当たり前に持つ、全ての感情がなかったんだよ。こうやって、サクヤに対して持つ独占欲だって、本当に最近まで持ち合わせていなかった」
ルイはオレを軽々と持ち上げて、向かい合わせになるように膝の上に乗せた。って、どんだけ力があるんだよ。仮にもオレは男だ。
「離れて行かないで。私にはサクヤだけなんだよ。本当の意味で安心できる存在は」
背中に腕を回してきて、左肩に顔を埋めてきた。少し躊躇ってさ、子供をあやすようにルイの背中に腕を回した。ルイにとって必要なのは安らぎなのかよ。でもさ、オレはそれだけじゃ満足できねぇよ。体を重ねる行為は本当に怖いって思う。最初のときの流されるようなものではなくてさ、オレ自身が望むんだ。
「……じゃあさ、オレにルイをくれよ。全部」
ルイは弾かれたように顔を上げて、オレの顔を覗き込んできた。
「言葉通り全部だ。心も魔力も、もちろん体も全部。ルイはオレのものだろう?」
「……サクヤ?」
「だから、オレの一番深い場所に、ルイをくれよ。何も考えられなくなるくらい」
それは、オレなりの決意と誘惑だった。狙われているなら、それなりに覚悟を決めて、受け入れて、対応しなきゃだろう。ルイと繋がるのが一番の安全につながるなら、もう、心は決まったんだ。だから、ルイを体全てで感じたいと思った。
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