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銀の鳥籠Ⅰ ルイ&サクヤ編
071 苦手意識
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帰り際、母さんがオレに渡してきた物。
「これなんだ?」
この箱、ルイが持ってきたお菓子が入ってた箱。
「エッグタルトを作ったのよ。サクヤはこれが好きだったでしょう?」
確かに好きだけどさ。
「ルイ君にサクヤが好きな食べ物は何かって聞かれて、二人で作ったのよ」
ルイを見上げると微笑まれた。いつの間にそんなことしてんだよ。
「もう少しいてもらいたかったけど、勉強って言われたら仕方ないわね」
「そうだな。サクヤは魔法に関する知識が全くないからな」
「そうよね」
二人していい顔して笑うな! だいたい、どうして何一つ、魔法に関することを教えてくんなかったんだ!
「そこ! どうして全く魔法に関して教えてくれなかったんだ! しかも、高校から魔法学校だって教えてくれたの教師だぞ!」
「だってな」
「だってね」
二人して顔見合わせるな!
「下手に教えて間違えてたらあとで大変なのはサクヤよ」
「周りに魔法使いなんぞいなかったしな。それに、下手に魔法使いに接触させないように注意されてたしな」
ほえ?
「賢明ですね。変な癖がないので教えやすいです」
そういえば、前にも言ってたな。癖がないからいいって。
「あそこは山奥で涼しいでしょうけど、体に気をつけるのよ」
「冬休みにはまた、来てくれるのか? 年末なら父さんも休みがあるからな」
「そのつもりです。冬はもう少し滞在させていただくと思います」
ルイはいい顔で微笑んだ。こんなに普通に笑ってるの珍しいかもな。学校だと貼り付けたような笑みを見せてる場合が多いし、オレと二人だとなんか企んだような笑みを浮かべてるし。
「どうかした?」
「なんでもねぇ」
オレが困惑した顔してるの察したんだな。親の前で訊くのは間違ってるよな。あとで訊いてみよう。
「これからそのまま学校か?」
「いいえ。私の両親のところに行きます。サクヤを会わせないといけないので。無視するとあとで煩いですから」
煩い? 話聞く限りではシロガネさんは騒ぐだろうけど、ルイの両親が騒ぐ印象がねぇよ。指を鳴らして杖を出したルイは、当たり前のようにオレの手を取った。まあ、オレ、魔法がまともに扱えねぇし。仕方ないけど、微妙に恥ずかしいんだよ! しかも親の前で!
「お邪魔しました」
ルイは軽く頭を下げると、呪文を呟いて杖を振った。目の前にあった両親の顔がブレて、あの独特の感覚が体を包む。やっぱり、この感覚、好きになれねぇよ。やっぱり、きつく目を瞑ってやり過ごす。
「サクヤは移動魔法が苦手なの?」
体が落ち着く場所着いたことを感じてすぐ、ルイに問い掛けられた。慌てて目を開けて、ルイを仰ぎ見る。
「今までの生活で、こんな感覚経験したことねぇもん」
「それで? 具合悪くなったりは?」
「しねぇよ」
「良かった」
笑みを浮かべたルイだけど、視線を前に向けた瞬間、眉間に皺が寄った。同じように視線を向けたら、目の前に大きな屋敷。うん、屋敷って言葉がぴったりだ。
「顔見せたら、すぐ帰るから」
あげたルイの右手を咄嗟に掴んだ。すぐ帰るってどういうことだよ?!
「サクヤ?」
「すぐ帰るって?」
「忘れたの? 私は両親が苦手なんだよ」
「今は、魔力に侵食されてねぇだろう?!」
「うん。でもね……。向こうも、困ると思うんだ」
待てよ。息子が来て困る親がいてたまるか?! ルイは一度躊躇ってから、ドアをノックした。険しい表情。ルイから発せられる感じたことのない気配。中から人の気配を感じて、開かれた扉。そこにはルイとよく似た容姿の、一人の男性が立っていた。
「これなんだ?」
この箱、ルイが持ってきたお菓子が入ってた箱。
「エッグタルトを作ったのよ。サクヤはこれが好きだったでしょう?」
確かに好きだけどさ。
「ルイ君にサクヤが好きな食べ物は何かって聞かれて、二人で作ったのよ」
ルイを見上げると微笑まれた。いつの間にそんなことしてんだよ。
「もう少しいてもらいたかったけど、勉強って言われたら仕方ないわね」
「そうだな。サクヤは魔法に関する知識が全くないからな」
「そうよね」
二人していい顔して笑うな! だいたい、どうして何一つ、魔法に関することを教えてくんなかったんだ!
「そこ! どうして全く魔法に関して教えてくれなかったんだ! しかも、高校から魔法学校だって教えてくれたの教師だぞ!」
「だってな」
「だってね」
二人して顔見合わせるな!
「下手に教えて間違えてたらあとで大変なのはサクヤよ」
「周りに魔法使いなんぞいなかったしな。それに、下手に魔法使いに接触させないように注意されてたしな」
ほえ?
「賢明ですね。変な癖がないので教えやすいです」
そういえば、前にも言ってたな。癖がないからいいって。
「あそこは山奥で涼しいでしょうけど、体に気をつけるのよ」
「冬休みにはまた、来てくれるのか? 年末なら父さんも休みがあるからな」
「そのつもりです。冬はもう少し滞在させていただくと思います」
ルイはいい顔で微笑んだ。こんなに普通に笑ってるの珍しいかもな。学校だと貼り付けたような笑みを見せてる場合が多いし、オレと二人だとなんか企んだような笑みを浮かべてるし。
「どうかした?」
「なんでもねぇ」
オレが困惑した顔してるの察したんだな。親の前で訊くのは間違ってるよな。あとで訊いてみよう。
「これからそのまま学校か?」
「いいえ。私の両親のところに行きます。サクヤを会わせないといけないので。無視するとあとで煩いですから」
煩い? 話聞く限りではシロガネさんは騒ぐだろうけど、ルイの両親が騒ぐ印象がねぇよ。指を鳴らして杖を出したルイは、当たり前のようにオレの手を取った。まあ、オレ、魔法がまともに扱えねぇし。仕方ないけど、微妙に恥ずかしいんだよ! しかも親の前で!
「お邪魔しました」
ルイは軽く頭を下げると、呪文を呟いて杖を振った。目の前にあった両親の顔がブレて、あの独特の感覚が体を包む。やっぱり、この感覚、好きになれねぇよ。やっぱり、きつく目を瞑ってやり過ごす。
「サクヤは移動魔法が苦手なの?」
体が落ち着く場所着いたことを感じてすぐ、ルイに問い掛けられた。慌てて目を開けて、ルイを仰ぎ見る。
「今までの生活で、こんな感覚経験したことねぇもん」
「それで? 具合悪くなったりは?」
「しねぇよ」
「良かった」
笑みを浮かべたルイだけど、視線を前に向けた瞬間、眉間に皺が寄った。同じように視線を向けたら、目の前に大きな屋敷。うん、屋敷って言葉がぴったりだ。
「顔見せたら、すぐ帰るから」
あげたルイの右手を咄嗟に掴んだ。すぐ帰るってどういうことだよ?!
「サクヤ?」
「すぐ帰るって?」
「忘れたの? 私は両親が苦手なんだよ」
「今は、魔力に侵食されてねぇだろう?!」
「うん。でもね……。向こうも、困ると思うんだ」
待てよ。息子が来て困る親がいてたまるか?! ルイは一度躊躇ってから、ドアをノックした。険しい表情。ルイから発せられる感じたことのない気配。中から人の気配を感じて、開かれた扉。そこにはルイとよく似た容姿の、一人の男性が立っていた。
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