銀の鳥籠

善奈美

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銀の鳥籠Ⅰ ルイ&サクヤ編

070 ベルとリング

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 オレの実家には二日滞在した。父さんが仕事だっていうのもあるし、勉強のこともある。その二日でルイがしたこと。それはベニにこの家までのルートを覚えてもらうことと、ベルの設定だった。ベルってなんだ?
 
「ベニ、本来のサイズになってくれる?」
「キュウ?」
 
 ベニはオレの頭の上で首を傾げてる。
 
「サクヤの使い魔になるんでしょう? だったら、郵便配達は重要な仕事だよ。クレナイの右足を見て」
 
 ルイの左肩にいるクレナイの右足にベニと共に視線を向ける。銀色のリングみたいなのが嵌められてる。
 
「それなんだよ」
「このリングは私の親の家に対になるベルがあってね。向こうでベルが鳴るとクレナイに分かるようになってる。本当なら、互いの梟を使うんだけどね。それよりも火の鳥の方が安全なんだよ。大抵の攻撃なら火の鳥自体が対応できるから」
「キュウ?」
 
 ベニは更に困惑。そうだよな。生まれてそんなに経ってねぇし。
 
「この子が郵便屋さんなの?」
 
 母さんがオレの頭の上にいるベニを覗き込む。
 
「正確には違いますけど。この……」
 
 ルイはそう言うと、トランクの中から綺麗な装飾が施された小さなベルを取り出した。よく、ホテルとかで受付を呼び出すときに鳴らすようなやつだ。まあ、それよりも、断然綺麗で高そうだけど。
 
「まあ、綺麗ね」
 
 母さんがベルを見てウットリしてる。うん、綺麗なだけじゃなくて、可愛い感じだもんな。ルイはといえばそのベルをテーブルの上に置いて、更に何かを出した。
 
「これ、クレナイの足に嵌ってるのに似てる」
「同じものだよ。でもこれはそのベルと連動してる」
「キュウキュウ!」
 
 ベニは納得したのか返事をしてオレの頭から飛び降りると、本来の大きさになった。まだ、クレナイより小さいけど、大人に近い姿だ。
 
「いい子だね」
 
 ルイはそう言うと指を鳴らした。その手には見慣れた杖。でも、母さんが目を見開いてる。そうだよな。何もないところから杖が出てきたように見えっし。
 
「ベニ、少し違和感があるよ」
「キュウ」
 
 ルイはベルを持ち上げると、振って音を鳴らした。少し高い音だけど、耳障りじゃない。
 
「音はこんな感じ。空気に振動があることに気が付くでしょう?」
「キュウ!」
「この振動と同じものがこれから嵌めるリングから感じられるから。それを感じたら、サクヤのご両親が用があるってことだよ」
「キュウキュウ!」
 
 ルイは聞きなれない言葉を紡ぎ始める。かなり長い。左手の上にあったリングに光が灯り、杖を振るとそれがベニの右足に嵌っていた。
 
「元に戻って大丈夫だよ」
「キュウ!」
 
 ポンっと、音が出ているようにベニは元のサイズに戻る。ベニを当然のようにオレの頭に戻すルイ。なんでだ?
 
「あら、元の大きさになっちゃったわ」
「ベニは特殊なので」
「その子は小さくならないの?」
 
 母さんが指差したのはクレナイ。
 
「ベニだけなので。クレナイはこの大きさのままです」
「まあ、ベニちゃんも特殊なのね。サクヤの周りは特殊だらけね」
「珍獣とか言う気だろう?」
「よく分かったわね」
 
 あれだけ言われたら分かるわ!
 
「ベニはまだ、遠出するには幼いので、感知はしますけど当分の間はクレナイが代わりを務めますから」
「やっぱり、そうなのね」
「おそらく、私の両親から連絡があると思います。そのときは梟だと思うので、窓を突いたら入れてあげてください。悪さはしませんから」
 
 母さんが素直に頷いてる。なんか、周りから囲われてる感じがする。仕方ねぇんだろうけどさ。
 
「どうかした?」
 
 ルイと母さんがオレの顔を覗き込んできた。
 
「置いてけぼりされてる感じかさ」
「まあ、サクヤはお子様ね」
 
 母さん、その言い方、失礼だぞ!
 
 
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