84 / 281
銀の鳥籠Ⅰ ルイ&サクヤ編
084 幾多の命と一つの命
しおりを挟む
「質問があるなら聞くよ」
パジャマに着替えてベッドに腰掛けたオレの両手を取って、ルイが問い掛けてきた。訊きたいことはたくさんあるんだ。でもよ。気になることがあるんだ。
「妖魔が生徒達を捕食するってどういうことだよ?」
「ここにいる生徒は、普通クラスにいる生徒でも、強い魔力を持ってる。共学校に通っていない時点で並より上なんだよ。妖魔は魔力を持つ者を捕食することで、その捕食した者の魔力を奪うことができる。それを魔法省は危惧してるんだ」
嘘だろう?!
「父さんがわざわざ手間を掛けてまであの方法で知らせてきたのは痕跡を残さないためなんだ。下手な方法をとるとあの人に読まれる。妖魔個々の能力は低くても集まれば膨大な力だから。あの人の庇護下にあるならやりたい放題だよ」
生唾を飲み込んで、ルイを見詰める。
「オレがルイの知識に耐えられなかったら?」
「大丈夫だよ。絶対にサクヤは耐えられる。ベニがある程度肩代わりをしてくれるしね」
「どういうことだ?」
「ベニはサクヤと全てを共にする。ベニはクレナイが持つたくさんの命の一つなんだ」
なにを言ってるのか分からない。クレナイの命の一つってなんだよ?
「ベニは炎の転生をしない。サクヤの命が尽きたときに一緒にその命を終える」
「待てよ! ベニは火の鳥なんだろう?!」
「火の鳥だよ。でも、サクヤの為に生まれて、サクヤと共にその命を終えるんだ」
「嘘だ!」
「本当だよ。クレナイが最近、教えてくれたんだ。クレナイの中の一つの命がサクヤの為に個の命を望んだ。だから、与えたって」
オレの横にいるベニに視線を向けた。ベニはいつものようにポテッとそこにいる。
「だから、孵化するときに、サクヤの魔力が必要だったんだよ」
こいつはオレのためだけにここにいるのかよ。
「キュウ」
「後悔してねぇのかよ?」
「キュウキュウ!」
いつもながら、躊躇いねぇのな。
「どれくらいかかるんだよ?」
「分からない。できる限り、サクヤには基本中の基本を教えてきたよ。脳に負担がかからないように。それでも、分からないんだ。今まで、知識の譲渡の禁呪文を使った例がない。私の魔力もそこに関しては拾ってきていない。ただ、呪文そのものは存在しているから、使われたことはあるはずなんだ。ただ、禁呪文になったということは危険が伴うからだと思う。本人の能力以上の知識を詰め込めば、精神が持たない」
オレはルイの手を強く握り締めた。もし、オレとルイの能力に差があったら……。
「サクヤは大丈夫だよ。杖が言っていたでしょう。私と同じ強さの魔力だって。ただ、質が真逆なだけだよ。それに、サクヤの魔力は癒しを得意としてる。もし、負荷がかかったら、勝手に修復しようと動くだろうし」
それ、何度も聞くけどさ、本当なのかよ?
「癒しの魔力は本当に特殊なんだよ。ユエのように半々の場合が多いんだ。私の両親もそうだしね。ただ、どちらかに傾倒するんだよ」
「でもさ。先生がユエも特殊とか言ってただろう?」
「それは隠れの魔力だからだよ。鍵を外さなければ、ユエは破壊の魔力の方が強かったんだ。鍵を外すことで半々になったんだよ」
「じゃあ、オレは?」
「サクヤは本当に稀なんだ。破壊の魔力を全く持っていないんだよ。ただ、癒すためだけの魔力なんだ」
それじゃあ、知識を渡されたって、何も役に立たないじゃないか。癒すだけって。
「サクヤはいるだけで妖魔を滅することができる。大丈夫だから」
それ、前にも聞いた。ルイが穏やかに微笑んで、いつまでも時間を使うのは駄目なんだと感じた。しっかりルイを見据えて、頷いてみせた。
「杖を出して」
その言葉にオレはルイの手を離して、ベニとクレナイも小さく身じろぐ。一つ深呼吸して指を鳴らし杖を出した。
パジャマに着替えてベッドに腰掛けたオレの両手を取って、ルイが問い掛けてきた。訊きたいことはたくさんあるんだ。でもよ。気になることがあるんだ。
「妖魔が生徒達を捕食するってどういうことだよ?」
「ここにいる生徒は、普通クラスにいる生徒でも、強い魔力を持ってる。共学校に通っていない時点で並より上なんだよ。妖魔は魔力を持つ者を捕食することで、その捕食した者の魔力を奪うことができる。それを魔法省は危惧してるんだ」
嘘だろう?!
「父さんがわざわざ手間を掛けてまであの方法で知らせてきたのは痕跡を残さないためなんだ。下手な方法をとるとあの人に読まれる。妖魔個々の能力は低くても集まれば膨大な力だから。あの人の庇護下にあるならやりたい放題だよ」
生唾を飲み込んで、ルイを見詰める。
「オレがルイの知識に耐えられなかったら?」
「大丈夫だよ。絶対にサクヤは耐えられる。ベニがある程度肩代わりをしてくれるしね」
「どういうことだ?」
「ベニはサクヤと全てを共にする。ベニはクレナイが持つたくさんの命の一つなんだ」
なにを言ってるのか分からない。クレナイの命の一つってなんだよ?
「ベニは炎の転生をしない。サクヤの命が尽きたときに一緒にその命を終える」
「待てよ! ベニは火の鳥なんだろう?!」
「火の鳥だよ。でも、サクヤの為に生まれて、サクヤと共にその命を終えるんだ」
「嘘だ!」
「本当だよ。クレナイが最近、教えてくれたんだ。クレナイの中の一つの命がサクヤの為に個の命を望んだ。だから、与えたって」
オレの横にいるベニに視線を向けた。ベニはいつものようにポテッとそこにいる。
「だから、孵化するときに、サクヤの魔力が必要だったんだよ」
こいつはオレのためだけにここにいるのかよ。
「キュウ」
「後悔してねぇのかよ?」
「キュウキュウ!」
いつもながら、躊躇いねぇのな。
「どれくらいかかるんだよ?」
「分からない。できる限り、サクヤには基本中の基本を教えてきたよ。脳に負担がかからないように。それでも、分からないんだ。今まで、知識の譲渡の禁呪文を使った例がない。私の魔力もそこに関しては拾ってきていない。ただ、呪文そのものは存在しているから、使われたことはあるはずなんだ。ただ、禁呪文になったということは危険が伴うからだと思う。本人の能力以上の知識を詰め込めば、精神が持たない」
オレはルイの手を強く握り締めた。もし、オレとルイの能力に差があったら……。
「サクヤは大丈夫だよ。杖が言っていたでしょう。私と同じ強さの魔力だって。ただ、質が真逆なだけだよ。それに、サクヤの魔力は癒しを得意としてる。もし、負荷がかかったら、勝手に修復しようと動くだろうし」
それ、何度も聞くけどさ、本当なのかよ?
「癒しの魔力は本当に特殊なんだよ。ユエのように半々の場合が多いんだ。私の両親もそうだしね。ただ、どちらかに傾倒するんだよ」
「でもさ。先生がユエも特殊とか言ってただろう?」
「それは隠れの魔力だからだよ。鍵を外さなければ、ユエは破壊の魔力の方が強かったんだ。鍵を外すことで半々になったんだよ」
「じゃあ、オレは?」
「サクヤは本当に稀なんだ。破壊の魔力を全く持っていないんだよ。ただ、癒すためだけの魔力なんだ」
それじゃあ、知識を渡されたって、何も役に立たないじゃないか。癒すだけって。
「サクヤはいるだけで妖魔を滅することができる。大丈夫だから」
それ、前にも聞いた。ルイが穏やかに微笑んで、いつまでも時間を使うのは駄目なんだと感じた。しっかりルイを見据えて、頷いてみせた。
「杖を出して」
その言葉にオレはルイの手を離して、ベニとクレナイも小さく身じろぐ。一つ深呼吸して指を鳴らし杖を出した。
10
あなたにおすすめの小説
従僕に溺愛されて逃げられない
大の字だい
BL
〈従僕攻め×強気受け〉のラブコメ主従BL!
俺様気質で傲慢、まるで王様のような大学生・煌。
その傍らには、当然のようにリンがいる。
荷物を持ち、帰り道を誘導し、誰より自然に世話を焼く姿は、周囲から「犬みたい」と呼ばれるほど。
高校卒業間近に受けた突然の告白を、煌は「犬として立派になれば考える」とはぐらかした。
けれど大学に進学しても、リンは変わらず隣にいる。
当たり前の存在だったはずなのに、最近どうも心臓がおかしい。
居なくなると落ち着かない自分が、どうしても許せない。
さらに現れた上級生の熱烈なアプローチに、リンの嫉妬は抑えきれず――。
主従なのか、恋人なのか。
境界を越えたその先で、煌は思い知らされる。
従僕の溺愛からは、絶対に逃げられない。
ふたなり治験棟 企画12月31公開
ほたる
BL
ふたなりとして生を受けた柊は、16歳の年に国の義務により、ふたなり治験棟に入所する事になる。
男として育ってきた為、子供を孕み産むふたなりに成り下がりたくないと抗うが…?!
神官姫と最強最弱の王
深也糸
BL
アズカヴァル国の王、リヴェラ・ライト・アズカヴァルは十八歳になり、成人したことで妃を娶らなければならなかった。
隣国のリゼルハイドの姫、シファ・ヴィオラ・リゼルハイドはリヴェラと娶せられるためにアズカヴァルに逗留することになる。リヴェラに城の中を案内してもらい親睦を深めようとするが、早々に男だとバレてしまい……。
※週一回 マイペース更新
兄弟カフェ 〜僕達の関係は誰にも邪魔できない〜
紅夜チャンプル
BL
ある街にイケメン兄弟が経営するお洒落なカフェ「セプタンブル」がある。真面目で優しい兄の碧人(あおと)、明るく爽やかな弟の健人(けんと)。2人は今日も多くの女性客に素敵なひとときを提供する。
ただし‥‥家に帰った2人の本当の姿はお互いを愛し、甘い時間を過ごす兄弟であった。お店では「兄貴」「健人」と呼び合うのに対し、家では「あお兄」「ケン」と呼んでぎゅっと抱き合って眠りにつく。
そんな2人の前に現れたのは、大学生の幸成(ゆきなり)。純粋そうな彼との出会いにより兄弟の関係は‥‥?
上司、快楽に沈むまで
赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。
冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。
だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。
入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。
真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。
ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、
篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」
疲労で僅かに緩んだ榊の表情。
その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。
「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」
指先が榊のネクタイを掴む。
引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。
拒むことも、許すこともできないまま、
彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。
言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。
だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。
そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。
「俺、前から思ってたんです。
あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」
支配する側だったはずの男が、
支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。
上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。
秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。
快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。
――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる