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銀の鳥籠Ⅰ ルイ&サクヤ編
085 受け入れる決意
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互いに右手で杖を持って、左手を繋いだ。
「この魔法は私達の中にある循環の魔法を媒介に使う。だから、私の知識と記憶、サクヤの知識と記憶を共有することになる」
「知識だけじゃないのか?」
「記憶は経験だよ。経験の中には知識も含まれる。それは頭の知識じゃなくて体に刻み込まれた知識だよ」
ルイの表情が歪んだ。どうしてだ?
「ごめん。私の幼いときの記憶をサクヤに見せることになる。多分、知識以上に苦痛かもしれない」
ただ聞くだけだったルイの過去。それを直接叩き込まれるってことかよ。オレはルイを受け入れたんだ。だったら、その全てを受け入れねぇと意味ないよな。ルイは努力したんだ。感情を伴わなかった幼少期。それは周りの人間の考えで、ルイ自身は感情を持っていたはずだ。ただ、感情の名前を知らなかった。知らなければ、表現もできない。
感情が魔力に影響を及ぼすことは、オレ自身が経験して知ってる。極力、感情を表さないように育てられたなら、渦巻く思いを見ることになるかもしれない。理解できなかった、全てのルイのオモイそのものを。
「それはルイの一部だろう? オレがルイの記憶を見るなら、ルイもオレの記憶を見るんだろう? だったら、お互い様だ」
「それは違う。サクヤの記憶に苦痛はないと思う。両親に育てられて、曲がらずにまっすぐ育った。その過程は、おそらく、私にとってかけがえのないものだと思う。けれど、私の過去は私自身が気が付いていなかっただけで、第三者の目線には苦痛に映る」
「それでも、オレは無知のままルイを受け入れたんだ。今回の事態だって、裏を返せばオレが問題を引き寄せてんだ。確かに好きでこんな魔力を持って生まれたんじゃねぇけどな」
ルイは泣き笑いの微笑みを浮かべた。
「復唱して」
ルイが古代語で呪文を唱える。オレのために短く、明確に発声して。ベニとクレナイもそれを静かに見守ってくれる。
長い呪文だ。意味も全く分からない。それでも、刻まれた循環の魔法が反応してるのが分かる。少しずつ、体の中にあるなにかが、明確な意思を持って動き出す。
最後の言葉のあと、ルイは杖を振った。だから、同じように杖を振った。すぐには分からなかった。でも、徐々に頭の中に何かが入り込んでくる。映像も文字も言葉も。ありとあらゆる知識と言う名のモノが。
「はっ……っ!」
杖を離してルイに縋り付く。右手で額を押さえた。分かってるけど、無意識に頭を庇おうとしたんだ!
「サクヤっ」
「あつ……っ!」
頭の片隅では分かってたんだ! ルイは勝手に魔力が知識を集めて来るって言ってた。幼いときは頭の容量についていかなくて大変だったって! 理解できない内容のモノも、ルイは頭に叩き込まれてた。それが無分別で流れてくる!
「……キュ」
オレの横にポテッと鎮座していたベニが、ポテッとベッドに沈んでた。頭が灼ける! そう思ったら、意識が薄れていくのが分かった。クレハさんが言っていた、眠ったままの状態になるの意味を、身をもって体験してる。でも、言わなきゃならない。こんな状態じゃ、年末に実家に帰るなんて無理だ。
「……ルイ、父さんと母さんに、帰れなくてごめんって……つた……」
最後まで言えてない、駄目だって思うのに、体は正直だった。頭を守るためにオレの意識が閉じていく。視界の端に、ルイが頷いたことが分かった。それを確認して、オレは素直に意識を手放した。
「この魔法は私達の中にある循環の魔法を媒介に使う。だから、私の知識と記憶、サクヤの知識と記憶を共有することになる」
「知識だけじゃないのか?」
「記憶は経験だよ。経験の中には知識も含まれる。それは頭の知識じゃなくて体に刻み込まれた知識だよ」
ルイの表情が歪んだ。どうしてだ?
「ごめん。私の幼いときの記憶をサクヤに見せることになる。多分、知識以上に苦痛かもしれない」
ただ聞くだけだったルイの過去。それを直接叩き込まれるってことかよ。オレはルイを受け入れたんだ。だったら、その全てを受け入れねぇと意味ないよな。ルイは努力したんだ。感情を伴わなかった幼少期。それは周りの人間の考えで、ルイ自身は感情を持っていたはずだ。ただ、感情の名前を知らなかった。知らなければ、表現もできない。
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「それはルイの一部だろう? オレがルイの記憶を見るなら、ルイもオレの記憶を見るんだろう? だったら、お互い様だ」
「それは違う。サクヤの記憶に苦痛はないと思う。両親に育てられて、曲がらずにまっすぐ育った。その過程は、おそらく、私にとってかけがえのないものだと思う。けれど、私の過去は私自身が気が付いていなかっただけで、第三者の目線には苦痛に映る」
「それでも、オレは無知のままルイを受け入れたんだ。今回の事態だって、裏を返せばオレが問題を引き寄せてんだ。確かに好きでこんな魔力を持って生まれたんじゃねぇけどな」
ルイは泣き笑いの微笑みを浮かべた。
「復唱して」
ルイが古代語で呪文を唱える。オレのために短く、明確に発声して。ベニとクレナイもそれを静かに見守ってくれる。
長い呪文だ。意味も全く分からない。それでも、刻まれた循環の魔法が反応してるのが分かる。少しずつ、体の中にあるなにかが、明確な意思を持って動き出す。
最後の言葉のあと、ルイは杖を振った。だから、同じように杖を振った。すぐには分からなかった。でも、徐々に頭の中に何かが入り込んでくる。映像も文字も言葉も。ありとあらゆる知識と言う名のモノが。
「はっ……っ!」
杖を離してルイに縋り付く。右手で額を押さえた。分かってるけど、無意識に頭を庇おうとしたんだ!
「サクヤっ」
「あつ……っ!」
頭の片隅では分かってたんだ! ルイは勝手に魔力が知識を集めて来るって言ってた。幼いときは頭の容量についていかなくて大変だったって! 理解できない内容のモノも、ルイは頭に叩き込まれてた。それが無分別で流れてくる!
「……キュ」
オレの横にポテッと鎮座していたベニが、ポテッとベッドに沈んでた。頭が灼ける! そう思ったら、意識が薄れていくのが分かった。クレハさんが言っていた、眠ったままの状態になるの意味を、身をもって体験してる。でも、言わなきゃならない。こんな状態じゃ、年末に実家に帰るなんて無理だ。
「……ルイ、父さんと母さんに、帰れなくてごめんって……つた……」
最後まで言えてない、駄目だって思うのに、体は正直だった。頭を守るためにオレの意識が閉じていく。視界の端に、ルイが頷いたことが分かった。それを確認して、オレは素直に意識を手放した。
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