銀の鳥籠

善奈美

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銀の鳥籠Ⅰ ルイ&サクヤ編

133 命と精霊

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 とりあえず授業を受ける。ユエと同じ科目もあるけど、違う科目は一人で移動。使い魔を連れて歩いてるし、特Aだからか、誰一人近付いて来ない。日に何度も行き来する廊下。何かを感じて立ち止まる。
 
「?」
 
 この感じ、なんなんだ?
 
「キュウ」
「は?! なんだって?」
「キュウキュウ」
 
 捕まえろって、意味分かんねぇって! 指を鳴らして杖を出す。ベニから流れてくる呪文を唱えて杖を一振り。目の前に光が集まって、小さな丸い石のようなものが現れた。左手を差し出すと、コロンっと落ちてくる。
 
「これ、なんだよ?」
 
 色は白っぽい。指で摘むと硬いし。
 
「キュウ」
「待てよ。これがそうだっていうのかよ?」
「キュウキュウ」
「こんなのその辺に浮遊してたら、餌だらけじゃねぇか?!」
「キュウ」
 
 大抵はその場に留まるって、じゃあ、なんで校内にいるんだよ?!
 
「キュウキュウキュ」
「たまたま、ここで解けたって。どういうことだよ?」
 
 ベニと話していて、教室移動の途中だって、頭から抜け落ちてた。だからさ……。
 
「授業始まってるが?」
「へ?」
 
 慌てて振り返ると、そこにいたのは特Aの担任。
 
「何やってんだ?」
「ベニに言われてさ」
「火の鳥にか? それに、左手の平の上のはなんだ?」
 
 教師に覗き込まれて、言葉に休す。だってさ、本当にあるなんて思ってなかったし。
 
「……命の元?」
「なんで、疑問系だ」
「オレだって知らねぇんだもん」
 
 あまりに不審者扱いの目で見られて、渋々、卵云々の話を廊下の真ん中でしたんだ。それで、仮説だけど、孵化しなかった卵は精霊に還る。つまり、消えるんじゃないかって、ルイと話してたって。
 
「お前等、二人で話してる内容が学生じゃないな」
「仕方ねぇじゃねぇか」
「命の元ね」
 
 その白い塊。なぜが浮き上がって教師の周りを纏わり付く。なんでだ?
 
「キュウ!」
「はあ?!」
 
 訳分かんねぇ! なんで教師の卵の欠片がここにあんだよ?! 特Aだったし、普通にしてんだから、循環相手がいるのは分かるけどよ?!
 
「あのよ。スゲェ個人的なことなんだけどさ」
「なんだ?」
「卵、受け取ってんだよな?」
「まあ、いい歳だしな」
「それどうしたんだよ?」
「消えたな」
 
 ……なに、軽く言ってんだよ。もしかしてよ。
 
「この場所か?」
「どうしてだ?」
「だってよ。纏わり付いてるじゃねぇか?」
 
 オレが塊にしたのが、嬉しそうに教師の周りを飛んでるだろう!
 
「そうだな」
「なんで、学校に持ってきてんだよ!」
「仕方ないだろう。孵化しないって、半狂乱で殴り込んできたんだからな」
「……」
 
 それ、循環相手だよな。殴り込んでくるって。グッタリだ。話の内容から夫役が教師で、妻役が循環相手だよな。
 
「あいつはな。一応、ここの養護教諭なんだが。感情の起伏が激しくてな」
 
 カエデさんとシロガネさん見てるから、大抵のことでは驚かねぇけど。殴り込んでくるって。つまり、普段は教師の宿舎に置いてあった卵を、相手が学校に持ち込んで孵化しないから感情が爆発したと。
 
「多分さ。この、フユフユしてるの卵に戻したら成長するかも?」
「はあ?!」
 
 そうなるよな。卵の機能不全で成長できなくて、卵としての姿を留めておけなくて解けて。遺伝子抱えた精霊が困り果ててここに留まってたんだからさ。
 
「とりあえず、それ、引き取ってくんね?」
「……」
 
 教師のやつ、少し躊躇ったあと、右手を差し出した。教師の周りを飛び回っていた、それが、手の上に着地する。これで、よかったんだよな?
 
 
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