銀の鳥籠

善奈美

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銀の鳥籠Ⅰ ルイ&サクヤ編

140 エアリエル

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 カエデさんがシロガネさんとクチバさんを連れてきてくれた。前は二人で切り盛りしていたけど、ある程度、下準備をしておけば、二人が少しの時間、店から離れるのはなんとかなるんだと。
 
 二人の自宅に案内されて気が付いた。この館、やたらと風の音がする。気のせいかとルイに視線を向けたら、どうやら気のせいじゃねぇみてぇ。
 
「前に来たときは、こんな感じだったのか?」
「違うと思う。どうしてなのかは分からないけど、精霊の活動が活発になったからかもしれないね」
「じゃあ、先生の精霊って」
「他の精霊の動きに刺激されて、事情を知ってるサクヤに近付いたって考えた方が自然だよ」
 
 で、シロガネさんとクチバさんに視線を向けると、態度が変わってないってことは、この状態が当たり前だってことだ。
 
「魔法を使っても?」
 
 ルイが一言問い掛けた。ここの家主はクチバさんとシロガネさんだ。学校とはわけが違う。家主の意思に反したら、この屋敷がどう動くか分からない、らしい。魔法使いの物だし、普通ってことはあり得ねぇよな。
 
「構わない」
 
 クチバさんが首を傾げつつ、頷いてくれた。
 
「サクヤはベニから呪文を教えられたんだよね?」
「そうだけど」
「使ってみてくれない?」
「は?」
 
 なに言ってんだよ?
 
「多分、精霊を捕まえる魔法はサクヤの方が適してる。私の魔力では傷付けかねないから」
 
 こんなところでも、魔力の質が関係するのかよ。学校の時のような感覚がねぇんだけど、やたらと風が騒いでんだよな。指を鳴らして杖を出した。そして、なぜが頭の上のベニが通常サイズに戻って、オレの左肩に鎮座。どう言うことだよ?
 
「ベニ?」
「キュウ……」
 
 警戒してんのか? 嫌な予感がして、ルイにクチバさんとシロガネさんを護るように頼んだ。このザワザワした感じが、神経を逆撫でする。ゆっくり呪文を紡ぐ。慎重になるのはこの空気のせいだ。
 
「キュウ!」
 
 呪文を唱えて杖を振ってすぐ、ベニが俺の目の前に羽ばたいた。その後に来た風の塊。思わず、顔を腕で庇う。
 
「ベニ?!」
 
 ベニに視線を向ければ平然としてっし。更に視線を前に移すと見たこともない人型のなにか。流れるような青とも緑とも言えない、微妙な色合いの髪と瞳。肌も青白いけど、不健康な感じは受けない。で、サイズが手乗りサイズ……。本当にこれはなんなんだ?
 
「エアリエル?」
 
 ルイがポツリと呟く。エアリエルって、風とか空気の精霊だよな。よく見ると腕になにかを抱えてる。オレが先生の精霊を捕まえたときに見たものに近い。少し青っぽいっていうか緑っぽいっていうか、色合いが若干、違うけどさ。
 
 威嚇しているというより、いきなり姿がオレ達に見えるようになって動揺してる。見た感じ、腕に抱えてる精霊を護ってる感じだ。カエデさんは、遺伝子情報を入れてすぐ風が起こって消えたって言ってたから、原因はこのエアリエルだ。卵が解けているところを見ると、孵化はできない卵だったってことだ。
 
「参ったね。まさか、精霊を精霊が護ってるなんて」
「これって?」
「多分だけど、卵に遺伝子情報を組み込んですぐ、エアリエルが孵化しないって感知したんだよ。風の性が強かったのかもしれない。それで、魔の者に見つかる前に保護したって感じかな」
 
 それにしたって……。
 
『魔法使いは契約を無視している』
 
 いきなり届いた声に、オレ達は目を見開いた。
 
『精霊王は寛容だが、契約を無視しているから孵化しない卵が出てくるんだ』
 
 更なる事実が発覚! じゃあ、卵の魔法使いって、精霊王と契約してたのかよ?! で、他の魔法使いはそれを知らねぇのかよ?!
 
 
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