銀の鳥籠

善奈美

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銀の鳥籠Ⅰ ルイ&サクヤ編

142 精霊の守護

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 エアリエルは少し思案すると、スーッとクチバさんとシロガネさんの側まで移動して来た。腕に抱えていた精霊をシロガネさんの手の上にそっと置く。
 
『そこの頓珍漢魔法使いのおかげで見ることが可能になった。無事、卵が手に入るまで、大切にするのだな』
 
 おい、オレはお前の中では頓珍漢魔法使いで定着か?!
 
『仕方ないから、精霊王にお主達のことを伝えてやろう。そのあと、ここに戻ってくるがな』
「へ? 戻ってくるのかよ?」
『当たり前だろう。何年、護ってきたと思っている。最後まで見守りたいと思うのが普通ではないか』
「普通ではないかって言われてもさ。オレ、精霊になんかなったことねぇし」
『前の世の記憶はないからな。とはいえ、我も他の種族の前を覗くことは叶わないが』
 
 そう言うと、エアリエルは空気に溶けるように姿を消そうとする。けどよ、何かを思い出したように、オレとルイの元に戻って来た。
 
『精霊王は気まぐれだ。いつ、お主達を召喚するか分からぬ。覚悟しておけ。それと、前の卵の魔法使いを所望するやもしれん』
「所望もなにもさ。そいつ、死んでんだけど」
『魂だけで彷徨っておるだろう。その魂を寄越せという可能性がある。対応しておくのだな』
 
 そう言うと、本当に姿を消した。精霊って、あんなに話すもんなのかよ。
 
「……更に問題が増えたね」
 
 ルイは小さく溜め息を吐く。問題?
 
「そうだな。魔法省がその、卵の魔法使いの魂を精霊王にくれてやる、とは言わないだろうな」
 
 クチバさんが冷静に口を出してきた。
 
「サクヤがいるから、卵の魔法使いの屋敷が浄化されることに関しては、反対はされないだろうけど」
「その前に、入れるのか?」
「それは大丈夫だと思う。私とサクヤが関わってるって言えば、大抵、通るんだ。なんせ、サクヤはこうと決めたら暴走するし」
「それはルイじゃねぇの?!」
 
 オレだけが暴走してるわけじゃねぇし。それに、どっちかって言うと、オレとルイじゃなく、ベニとクレナイ、キンとギン。オレ達の使い魔、二羽と二匹が暴走すんだよ!
 
「でもね。その、精霊王と契約しないと、正規の卵は作れないのよね?」
「エアリエルの説明だとそうなるよね」
「それに、その、エアリエル。また、ここに住み着くのかしら?」
「住み着くっていうか、シロガネさんが握ってる精霊を守護する気なんじゃねぇの。言い換えるとさ、卵から孵化したら、ずっと、守護してもらえるってことじゃね?」
 
 オレが考えなしに言った言葉に、周りが沈黙。あれ? おかしなこと言ったのか?
 
「精霊の守護はなかなか得られないのよ。この子は生まれる前から守護されてるってことになるのかしら?」
「そうだと思うけど。まず、親の意見無視して、ただ、護るためだけに奪ってたんだしさ」
 
 その部分は非常に迷惑。でも、この館の中じゃ、そのまま漂っていたら捕食されてたかもしんねぇな。
 
「帰って来たら、家を留守にしている間、護ってもらってたらいいんじゃねぇの。安心だしさ」
 
 店に連れて行ってもいいとは思うけど、確実に安全かって言われたら微妙だよな。
 
「クチバさんとシロガネさんの精霊は問題ないとして、大きな問題は卵の魔法使いの扱いだよ。素直に話すとして、果たして受け入れられるかどうか?」
「そんなもの。多くの命と卵の魔法使いの魂。どっちを取るかってことだろう? 言い換えれば、未来をとるか過去をとるかって話じゃねぇの?」
 
 オレもさ、情け容赦ないこと言ってるって自覚はある。でもさ、未来のためにルイを管理したんだ。なら、精霊王との契約を無視して実験を強行した卵の魔法使いは責任を取らないといけねぇだろう。たとえ、精霊王の元に拘束され、未来永劫囚われ続けるのだとしても。けじめはつけねぇとな。
 
 
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