銀の鳥籠

善奈美

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銀の鳥籠Ⅰ ルイ&サクヤ編

195 可愛い!

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 ユエはあの日から副会長に付きっきりになった。まあ、三日の間不安だったんだろうし。最初の頃を考えると、ずいぶん変わったよな。そういうオレも変わったんだろうけど。
 
 毎日、セイトに引きずられて副会長の元に赴く。いや、オレは行かなくてもいいんじゃねぇの? それをセイトに言えば、外傷を治療したのはオレだから、全快するまで責任持てって。確かに魔法で傷は塞いだけどさ。
 
「毎日済まない」
 
 オレとしてはそっとしていてやりてぇんだけど、セイトが許さないんだって。そして、今日はルイも一緒だったりするんだ。
 
「どんな感じなの?」
 
 ルイの問いかけに、副会長は笑みを向ける。
 
「最初は引き攣れた痛みが多少あったけど、今はほぼ痛みはないよ」
「ほぼって。痛い時があるの?」
「無理な動きをしようとすると、少しね」
「無理はしないでください」
 
 セイトはそう言うと、副会長を調べにかかる。うん、良い医者になるわ。
 
「ところでユエはどこだよ?」
 
 いつもベッタリのユエの姿がどこにもない。オレが辺りを見渡していると、聞こえてきたのは溜め息と苦笑い。ん?
 
「これじゃ、どっちが病人か分からないだろう?」
 
 ルイとセイトの視線の先は布団の中。わあ、副会長に抱きついたまま寝てるし。で、なんで泣いた跡があるんだよ?
 
「不安だったみたいでね」
「こんなに依存するようになるとは思わなかった」
 
 セイトがポツリと呟く。
 
「意味が分かんねぇんだけど」
「ユエは魔力だけなら俺よりも上で。でもそれはあくまで隠されていた魔力を合わせてって意味だ。初等部、中等部と学年が上がっていく段階で、諦めてたんだろうな。高等部でサクヤが入学してきて、楽しそうにしている姿を見てると、その心情は誰も読み取れなかっただろうけど」
 
 両親は共学の魔法学校を卒業してる。ユエが生まれた時、父方の祖父母が喜んだらしい。魔法使いは必ずしも子々孫々まで魔力を持って継いでいくわけじゃない。オレの祖先が良い例だ。例え、強い魔力を持つ両親であっても、魔力が弱まっていく場合がある。
 
「問題はユエの、隠された魔力に気がつくことができる強い魔力を持つ者との接触。でも、ユエが振り分けられたクラスはAクラスとは言っても普通のクラスだ。特Aクラスの魔力の存在でないと鍵の解除はできない」
「貴方は知っていたんだ?」
「偶然、聞いてしまったから」
 
 セイトはユエに視線を投げた。
 
「隠れの魔力は特殊なもので、口外は絶対に厳禁。それは気が付いた者だけの特権だと言われてる」
「どう言うこと?」
 
 副会長は困惑を顕にする。
 
「隠れの魔力はほとんどが癒しの魔力で、もし、ユエの魔力が最初から半々だった場合、穏やかな生活は無理だったと思う。知り得るのは出産に立ち会った医者と両親。魔法省の一握りの役人。必要以上に情報開示はしない。本人を守るためだ」
 
 ユエが動揺した最大の理由。副会長が隠された魔力に気が付いたからだ。まあ、その後、コウガがなんとなく察してるし、ルイも気が付いたんだろうな。あくまで、近付いたからだろうけどさ。
 
 周りが煩かったからだろうな。ユエが身動ぎして副会長の胸のあたりにグリグリと顔を押し付けてる。そして、ぼんやりとした視線を辺りに投げかけた。何が起こってるのか理解してねぇんだろうな。頭に浮かんでるのは大量の疑問符だろう。で、ようやく状況を把握したユエ。慌てて飛び起きて、キッとオレ達三人を睨み付ける。
 
「起こしてくれたっていいだろう」
 
 照れ隠しなのか、ふくれっ面だ。
 
「病人に抱きついてるとは何事だ?」
 
 セイトの問いにもごもごと言い訳をしているユエ。スゲェ可愛い! 抱きつきたい! ……いや、まだ、生きてたいからしねぇけど……。
 
 
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