銀の鳥籠

善奈美

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銀の鳥籠Ⅰ ルイ&サクヤ編

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「トウヤ?」
 
 奥の部屋から声がする。声が少し掠れてるってことは、出しすぎたんだろうな。経験あるしさ。二人で声のする方へ移動して、ゆっくり扉を開いた。オレとユエの姿を確認したセイトが、思いっきり目を見開く。パクパク、打ち上げられた魚のように口を開閉してる。
 
「なんで、お前達がいるんだ?!」
 
 思いっきり叫んだ後に、想像通りに咳き込んでる。
 
「叫ぶと噎せるぞ」
 
 オレはそう言いながら、ベッドの傍まで歩いて行って、床にバスケット置いた。ルイのことだから、喉に良さそうな飲み物とか入ってそうだよな。
 
「わあ。会長って忠実まめ
 
 バスケットの中は綺麗に整頓されてた。本当に忠実だわ。やっぱり、食べ物と食べ物に挟まれるように飲み物も入ってた。しっかり、蓋がされてんだけど。しかも、魔法でピッタリはめ込んでるし。小さく息を吐き出して、飲み物が入ったカップを取り出す。指を鳴らして杖を出して、小さく一言。カップに向かって杖を振れば、蓋は霧散した。
 
「最初の頃が嘘のように魔法が使えるよな」
 
 ユエが感心したように、頭の上で呟く。カップの中身を確認すれば、匂いからミルクティーだよな。特Aの昼食で出されるミルクティーって、自分で甘さを調節するんだよな。鼻を近づけると、仄かに甘い香り。砂糖ってより、ハチミツだよな?
 
「これ、飲んでみろよ。多分だけどさ、ルイがハチミツで甘味をつけてると思うからさ」
 
 差し出したカップをセイトは凝視してる。
 
「毒は入ってねぇと思うよ。特Aの昼食に出てたものだしさ」
「そうじゃなくて。会長もユエが言うように忠実だな」
「ルイは忠実かもな。性格だから仕方ねぇだろ」
 
 カップを無理矢理セイトに押し付けて、飲めと睨み付けてみた。セイトは諦めたように受け取ると一口、口に含む。少し温くなってるし、飲みやすいのか、結構な勢いで飲んでる。これ、喉が渇いてたんだよな。
 
「会長は本当に忠実だ。ハチミツが入ってるんだな。それほど、甘くないし」
「オレが喉痛めるとホットミルク、ハチミツ入りが出てくるからな」
 
 何も考えずに答えたら、二人がなぜか沈黙。なんで沈黙するんだ?
 
「母親か?」
「ルイがかよ?」
 
 セイトがそんなことを訊いてきた。
 
「ライカも出てくる」
「ハチミツ入りホットミルクかよ?」
「そう」
 
 あれは体が温まるし、喉にも良いよな。
 
「起きれそうか? 起きれるなら、あっちで昼食おうぜ」
 
 オレがそう言うと、今更、セイトが自分の姿を確認してる。ちゃんと寝巻きを着ているようだし、問題ねぇと思うけど。少し、安心したような顔をして、ベッドからぎこちなく出てきた。さすがのユエも、動きのぎこちなさに対してのからかいはしなかったんだよな。安心したけどさ。
 
 居間として使われているテーブルの上に、ルイが詰め込んだ食べ物を並べていく。これ、運びやすい食べ物だけが入ってるんじゃねぇよ。手当たり次第突っ込んだんだな。全部に魔法と言うラップが掛かってるし。あれか。セイトは特Aの食事を食べたことがないから、全種類入れたのか?!
 
「そのバスケット。どんだけ入ってたんだ? テーブルが埋まってんだけど」
 
 ユエが驚いたように呟く。オレが次々、出してくるからだろうけど。
 
「全種類、入れたような感じだよな。好みが分かんねぇっていうのもあると思うけどさ」
 
 綺麗に詰められてるから分からなかったけど。一人分、全種類入れたルイって。ある意味、強者。今に始まったことじゃねぇけどさ。
 
 
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