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銀の鳥籠Ⅰ ルイ&サクヤ編
203 睡眠に対する恐怖
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三人で黙々と食べる。慣れ親しんだ味、になるのか? 逆にセイトは少し驚いた表情をしてる。
あらかた食べ尽くした頃、セイトがオレとユエに視線を向けてきた。
「突進してきたのはユエで、サクヤは付き合わされたのか?」
食後のお茶をなぜか気を利かせたセイトの妖精が運んできてくれた。トウヤの妖精と二人で、食べ尽くした食べ物の後始末をしてくれてる。本当によく働くよな。
「ライカと二人でトウヤを威嚇してんだから、嫌だって言えなかったんだろう。ルイはとりあえず、セイトが何も食べてないだろうからって、オレにバスケットを持たせてくれたんだ」
「はあ。それ、ユエが好奇心いっぱいで突進して、その後ろで副会長が威嚇してたんだろう? 想像できる」
セイトは的確に言ってきた。さすが、ユエの幼馴染み。
「……お祝い言いたかったし」
「それはあくまでついでで、好奇心の方が勝ってただろう?」
うん。こう見ると、セイトの方がユエより年上に見える。まあ、卒業後、専業主夫のユエと違って、セイトは医者だもんな。そりゃ、違うよな。
「少し、遠慮するって考えにはならなかったのか?」
「どうして?」
「どうしてって。俺はトウヤすら追い出して休んでたんだぞ」
はあ?! トウヤって追い出されてたのか?!
「なんで、追い出したんだ?」
オレは思わず口を出しちまったよ!
「しつこいんだって。ただでさえ、あちこち体が痛いっていうのに、抱きついてくるんだからな」
「……それ、分かるわ」
どうして抱きついてくるのかが、理解できねぇよな。
「……俺は自分で抱きついてるから。分かんないけど?」
「抱きついてたな。副会長は嬉しそうに愛でてた。それは否定しない。だが、我が身となれば話は別だ!」
セイトがテーブルを力の限り右手で叩きつけた。そう言えば、ルイだっけ? トウヤは羽交い締め状態で抱きつくとか言ってたよな?
「痛い、苦しいと言ってるのに、離してくれないって、いい加減にしろ! そりゃ、やったし。魔法も使ったし、布団の境界線は取ってやったが、抱きつくは論外だ! 俺の安眠を返せ!」
「諦めて慣れたほうが身のためじゃね? オレは慣れる方に賭けた」
オレの言葉にセイトが固まる。
「ほら、ルイって頭はいいし、魔法も一流。でも、精神年齢が低いからさ。最初はちょっとオレも暴れたけど、諦めたんだよ」
今じゃ、完全に抱き枕だよ。冬はあったかいから良いけど、夏は地獄に近い。でも、ルイは抱きついたまま寝るんだよ。しかも、寮の部屋ならただ、抱きついてるだけだけど。オレの実家と、ルイの実家に泊まると更に力が加わる。卒業後の睡眠に対して恐怖を感じたりする。ルイが慣れない限り、寝不足決定だな。
「普段の姿からは想像ができないな」
「他人の前では当たり障りなく接してるからさ。身近にいる人の前では素が出てるらしいけど」
ライカが言ってたし、そうなんだろうな。
「はあ。これからが不安だ。循環の魔法を使ったから、卒業後、直ぐに婚姻申請するとか言ってるし。両実家では合併話が進行することになるだろうし。先が思いやられる」
確か両家の両親が乗り気なんだって?
「放っておいたら、勝手に進んでくんじゃねぇの?」
「進むから問題なんだ! 人の意見なんて完全に無視するに決まってる!」
オレとユエが沈黙。セイトを無視して、トウヤ主導で何もかんも決められそうだよな。それは危機感覚えるよな。でもよ。この学校から巣立つのもあと数日なんだぞ。いろいろ、腹くくらないと。オレもだけどさ。
あらかた食べ尽くした頃、セイトがオレとユエに視線を向けてきた。
「突進してきたのはユエで、サクヤは付き合わされたのか?」
食後のお茶をなぜか気を利かせたセイトの妖精が運んできてくれた。トウヤの妖精と二人で、食べ尽くした食べ物の後始末をしてくれてる。本当によく働くよな。
「ライカと二人でトウヤを威嚇してんだから、嫌だって言えなかったんだろう。ルイはとりあえず、セイトが何も食べてないだろうからって、オレにバスケットを持たせてくれたんだ」
「はあ。それ、ユエが好奇心いっぱいで突進して、その後ろで副会長が威嚇してたんだろう? 想像できる」
セイトは的確に言ってきた。さすが、ユエの幼馴染み。
「……お祝い言いたかったし」
「それはあくまでついでで、好奇心の方が勝ってただろう?」
うん。こう見ると、セイトの方がユエより年上に見える。まあ、卒業後、専業主夫のユエと違って、セイトは医者だもんな。そりゃ、違うよな。
「少し、遠慮するって考えにはならなかったのか?」
「どうして?」
「どうしてって。俺はトウヤすら追い出して休んでたんだぞ」
はあ?! トウヤって追い出されてたのか?!
「なんで、追い出したんだ?」
オレは思わず口を出しちまったよ!
「しつこいんだって。ただでさえ、あちこち体が痛いっていうのに、抱きついてくるんだからな」
「……それ、分かるわ」
どうして抱きついてくるのかが、理解できねぇよな。
「……俺は自分で抱きついてるから。分かんないけど?」
「抱きついてたな。副会長は嬉しそうに愛でてた。それは否定しない。だが、我が身となれば話は別だ!」
セイトがテーブルを力の限り右手で叩きつけた。そう言えば、ルイだっけ? トウヤは羽交い締め状態で抱きつくとか言ってたよな?
「痛い、苦しいと言ってるのに、離してくれないって、いい加減にしろ! そりゃ、やったし。魔法も使ったし、布団の境界線は取ってやったが、抱きつくは論外だ! 俺の安眠を返せ!」
「諦めて慣れたほうが身のためじゃね? オレは慣れる方に賭けた」
オレの言葉にセイトが固まる。
「ほら、ルイって頭はいいし、魔法も一流。でも、精神年齢が低いからさ。最初はちょっとオレも暴れたけど、諦めたんだよ」
今じゃ、完全に抱き枕だよ。冬はあったかいから良いけど、夏は地獄に近い。でも、ルイは抱きついたまま寝るんだよ。しかも、寮の部屋ならただ、抱きついてるだけだけど。オレの実家と、ルイの実家に泊まると更に力が加わる。卒業後の睡眠に対して恐怖を感じたりする。ルイが慣れない限り、寝不足決定だな。
「普段の姿からは想像ができないな」
「他人の前では当たり障りなく接してるからさ。身近にいる人の前では素が出てるらしいけど」
ライカが言ってたし、そうなんだろうな。
「はあ。これからが不安だ。循環の魔法を使ったから、卒業後、直ぐに婚姻申請するとか言ってるし。両実家では合併話が進行することになるだろうし。先が思いやられる」
確か両家の両親が乗り気なんだって?
「放っておいたら、勝手に進んでくんじゃねぇの?」
「進むから問題なんだ! 人の意見なんて完全に無視するに決まってる!」
オレとユエが沈黙。セイトを無視して、トウヤ主導で何もかんも決められそうだよな。それは危機感覚えるよな。でもよ。この学校から巣立つのもあと数日なんだぞ。いろいろ、腹くくらないと。オレもだけどさ。
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