銀の鳥籠

善奈美

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銀の鳥籠Ⅰ ルイ&サクヤ編

210 破壊の魔力の利用価値

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 ルイが言っていた精霊と妖精。実はいつもオレとルイに付き纏ってる。少しでも危ない目に合えば、勝手に助けてくれてる。つまりは、ユグドラシルと妖精王、妖精女王に命令されてんだろうな。なんでかは分からねぇけど。
 
「どうして、そんなことになってるの?」
 
 周りの疑問をライカが代弁した、と思う。
 
「考えられるのが、私とサクヤが本来の寿命より長く生きるってことだよね」
「はあ?!」
 
 言ってる意味が分かんねぇ?!
 
「契約時に行ったことが、ちょっとね。私達の魔力が更に強くなったと思うんだ」
「……今でも十分強いだろうが」
 
 トウヤの唸り声にみんなが頷く。あのさ、更に強くなったって。それ、ありえねぇだろ……。
 
「私達が選ばれた理由っていうのが、魔法使いなのに変わっていて、隔離された場所で生活するってこと。それだけでも十分に異常だよ。でもね。精霊王がなんの考えもなしに手を貸すわけがない。契約条件なんて、実は微々たるものだよ。ただ単にけじめを付けただけなんだから」
「あんなに大変な思いをしたのにか?」
「大変ではあったけどね」
「軽く言ってるが、ルイが大変だったって言うよりサクヤだろう。まさか、あそこで切れるとは思わなかったしな」
 
 そうなんだよ。切れたら怖いだろうとは思ってたけど、まさか、手がつけられない暴走ぶりだったってことがオレ的には困り事だったんだ。
 
「当たり前でしょう、サクヤを攻撃するなんてありえないからね。もし、ここにいるメンバーでサクヤに危害を加えるなら容赦しないよ。お世話になったとか、頭に血が上ったら分からなくなるからね」
 
 頼むから、そこで脅しをかけるな。それに、危害の加えようがようがないだろう?! オレはそれが怖いから、不興を買わないようにしてるだろう! オレなりに努力してんだぞ! ルイが切れると、仕返しが普通の場合とわけが違う。まず、魔法に呪文を使わない。詠唱しないでいきなり杖を振って魔法が発動する。詠唱したとしても、古代語の使い方が乱暴だ。それ目の前で見せられて、努力しない人間がいたらお目にかかりたい!
 
「あ……切れたのか?」
 
 担任がなんとも微妙な顔。何か知ってんだな。
 
「お前が高等部に上がってくるときに注意受けたわ。滅多に怒らないけど、地雷を踏むなって」
 
 地雷ってなんだ?!
 
「教室が半壊したことがあったらしくてな」
 
 待てぇ! それなんだ?!
 
「半壊でよかったじゃないですか? あの時は途中で我に返ったので」
 
 ルイが悪びれた様子もなく言ってのける。そう言う問題じゃねぇだろう!
 
「あの人以来、初めての惨事だったんだぞ」
「感情の暴走は、魔力をコントロールできなくなるので。あの時はね。本当に大人って何考えてるのか……」
 
 それって?
 
「いくら魔力が強い特A出身の教師でも、私の魔力を利用しようなんて、無理に決まってるでしょう?」
 
 つまり、利用されそうになったってことかよ。破壊の魔力のみのルイの魔力を何に利用しようとしたんだよ。
 
「あ……そいつ、今だにあっちの世界に行ったままらしいぞ」
「教室に向かった魔力の半分を我に返った後、彼に注いだので。そりゃあ、精神が崩壊するでしょう? 純粋な破壊のみの魔力ですよ。受け止めることができるのはサクヤくらいなので」
 
 室内が沈黙。きっと、一様に同じことを考えてるはずだ。ルイを怒らせるのは間違えてる。怒りの矛先が向かった先を破滅させる。まさに、破滅の帝王。
 
「それは、終わったことだしね。自分が起こした行動がどう返ってくるのか、考えなかった人の末路でしょう」
 
 淡々と語るルイが、酷く無機質に感じた。
 
 
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