銀の鳥籠

善奈美

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銀の鳥籠Ⅰ ルイ&サクヤ編

236 嵐の予感

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 無事、結婚パーティと言う、拷問行事が終わり、これ以上何もなければ良いと思っていたある日の午後。いつものように禁書庫で作業中、その事件は起こった。
 
「冗談だろう?!」
 
 事件の発端は魔法大臣。最近はカイトさん経由じゃなく本人が来る場合が多い。禁書庫を出て、ルイと二人で休憩してたんだ。妖精に指示を出すのは結構疲れる。
 
「本当だ」
 
 意地の悪い笑みを浮かべた魔法大臣。待て待て、なんでそんなことになったんだ!
 
「二人で捕獲してくれた遺伝子を抱えた精霊の、捕獲された場所から血族を割り出した結果だが、傍系すら絶えている場合がほとんどだ」
「やっぱりですか?」
 
 ルイが盛大に溜め息を吐きつつ、脱力したように答えた。どう言うことだよ?!
 
「それで、どうして私達に矛先が向くんです?」
 
 かなり不機嫌を隠しもしないルイの低い声の一言が魔法大臣を射抜く。それでも、平然とタヌキの如く何食わぬ顔をしている魔法大臣。
 
「二人なら、孵化した魔力の強い魔法使いを道具扱いしないだろう? それに加え、あの場所に出入りできる魔法使いは一握り。安全だ」
「何が安全です? どれだけの数の精霊を捕獲したと思ってるんですか?」
「報告は受けてるぞ。子孫がいる場合はそちらと交渉している最中だ。だがな、魔法使いの事情的に、捕獲できた精霊はできれば孵化させ育ててもらいたい」
「それくらい分かってますよ。問題は何でもかんでも私とサクヤに振るのはやめて下さいってことです」
 
 そうだよな。既に複数の役職持ってんだし。一つは秘密だけどさ。
 
「保父までやれって言うのかよ?」
「使われなくなった屋敷の移動の手はずも整えてある」
「ちょっと! 勝手すぎやしませんか?!」
「そう言うと思っていたぞ。それでな、数人の魔法使いに打診している。あの場所に住むのはお前達の血族だけだ。クレハとカエデはカエデの実家の屋敷に居を移すと言っていたからな」
「数人って、誰に打診したんだよ?」
 
 おかしな奴らは願い下げだぞ。それに、そんなことになれば、更に水晶球の依頼をライカにしねぇと。
 
「ほら、ライカの嫁とリッカとコウガの三人だ」
「はあ?!」
「なんですって?!」
「それとな。主治医としてトウヤとセイトとヒュウガにも打診している」
 
 腹黒魔法大臣! よりにもよって、ルイのお目付役だったメンバーと、オレの友人関係じゃねぇか! それに、あの場所で子供育てるとか、問題出るんじゃねぇの!
 
「あの場所は妖魔界の入り口のある場所ですよ! 孵化した子の影響は考えていないんですか?!」
「その点だが、なんでも面白い物が禁書庫にあるそうだな? ルイが一人でいても問題なくなったと報告を受けているぞ」
 
 筒抜けになってるじゃねぇか!
 
「更に言わせてもらうと、二人の周りには精霊と妖精の数が半端じゃない。つまりだ。二人が困れば、精霊と妖精は動いてくれるということだろう?」
 
 くそ! 何もかもお見通しで逃げ道塞がれる。
 
「ライカは二つ返事で良いと言ってくれたぞ」
「……本人無視して旦那に訊いたのかよ?」
 
 確かにユエ本人に訊いたところで、はっきりした返事は返ってこないけどな。
 
「二人の近くにいた方が安全だとか言っていたぞ」
 
 絶対、それを計算して訊いたに決まってる。伊達に魔法大臣の職に就いてるわけじゃねぇんだな。
 
「そう言うことだ。きちんと認識しておいてくれ」
 
 魔法大臣が世間話は終わったと言わんばかりに去ろうとするのを、ルイが引き止める。
 
「待って下さい! これ以上の役職はごめんだと私は言いましたし、もちろんだと言ったのは大臣ですよ!」
「そんなこと言ったか? 覚えてないぞ」
 
 呆然とするオレ達を残して、魔法大臣は何事もなかったかのように、その場を後にした。嵐だ……。
 
 
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