銀の鳥籠

善奈美

文字の大きさ
237 / 281
銀の鳥籠Ⅰ ルイ&サクヤ編

237 首は突っ込まない

しおりを挟む
 あの後、ルイは慌ててライカに連絡を取った。たまたま、採集に出かけていなかったライカ。直ぐに魔法省に足を運んでくれた。
 
 オレとルイの立場は確かに魔法省の職員ではあるけど、少しばかり特殊な立ち位置だ。これは、家業が魔法省管轄だとそうらしい。が、家業持ちの魔法使いとオレ達の違いは、家業に振り分けられたとしても、初代だってことだ。それと、魔法大臣がやたらと直接関わりを持ってくる点。要は振り回されているってことなんだけど。
 
「どうして、許可するかな?」
 
 ルイが腕を組み半眼でライカを睨み付ける。
 
「良い申し出だと思ってね」
「誰かが認めれば、私達も認めざる得なくなるんだけど」
「ルイが納得しなくても、大臣は突き通すと思うけどね」
 
 確かにその通りだとは思うけどさ。
 
「それと、ユエが一人になる確率が高いのは事実だし。子供ができれば母が手を貸してはくれるだろうけど、不安だと思うんだ」
 
 どう言うことだよ?
 
「この前のパーティで思ったよ。ルイの妹とクチバさんの子が自然に遊んでたでしょう? 担任の子とコウガの弟は引き摺られたんだとは思うけど楽しそうだった。あの姿は今の魔法使いの子達にはあり得ない姿だよ」
 
 オレの感覚的にはあれが普通なんだけどな。そうか、魔法使いの中では普通じゃないのか。
 
「それで?」
「できれば俺達の子もその中で育てたいんだよ。結局、性別は別にしても特Aの子達でしょう?」
「絶対ではないだろうけど、強い魔力は持つと思うよ。サクヤのご両親の例もあるしね」
 
 そうなんだよ。祖先は確かに魔力が強かったはずなのに、オレの両親に宿る魔力は極々微量。それも、強い魔力を持つ魔法使いがやっと分かるレベルだ。
 
「それも理解してる。俺の両親にも相談したんだ。パーティの時の状況も話して。一人で育つより、魔力の扱いを自然に覚えてると思う。教えているわけではないんでしょう?」
「そうだね。教えてはいないと思うよ。母さんもそんなことはしてなかったしね」
 
 どう言うことだ? オレ、さっきから疑問ばっかりだよ。
 
「俺は親から魔力の扱いの大切さを嫌ってほど叩き込まれたんだ。自然に身に付けてるわけじゃないしね。苦痛だった。確かに自分の中にある力に違いはなくても、自然に学ぶことと強制では感じ方も違うんだ」
「そうなの?」
「ルイは違うの?」
「私の場合、魔力が勝手に従ってくれた感じだからね」
 
 ルイはどこまでいっても特殊なんだな。まあ、オレは両親の話で立派に暴走してたみてぇだけど。それもルイの魔力が押さえ込んでたしさ。努力のどの字もしたことねぇよ。
 
「やっぱり珍獣だね」
「はっきり失礼だね」
「そう言うことで、大臣の申し出を受けたんだよ。ユエも気心の知れた人といる方が気も楽で楽しいだろうし」
「そうなると、ライカの仕事が増えるんだけどね」
 
 ライカがスッと目を細めた。
 
「分かってるよ。水晶でしょう?」
 
 ルイが頷いた。
 
「ドラゴンの心臓があるけど、それと今まで用意してくれた水晶はあくまで封印の館で使用するんだよ。今回は魔法大臣が勝手に決めたわけだし、代金は魔法省の方から払ってもらうから。手当たり次第に集めてくれる? 住む魔法使いのいなくなった屋敷を持ってくるみたいでね」
「屋敷が納得するの?」
「させるんでしょう? 私達もそこまで面倒は見切れないからね」
 
 やっぱり屋敷が生きてるんだな。納得って、どうやって説得すんだろう? ん?
 
「疑問を持ってるみたいだけど、首を突っ込まないでよ。仕事を増やしたくないからね」
 
 あ……、心読まれてた。
 
 
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

吊るされた少年は惨めな絶頂を繰り返す

五月雨時雨
BL
ブログに掲載した短編です。

従僕に溺愛されて逃げられない

大の字だい
BL
〈従僕攻め×強気受け〉のラブコメ主従BL! 俺様気質で傲慢、まるで王様のような大学生・煌。 その傍らには、当然のようにリンがいる。 荷物を持ち、帰り道を誘導し、誰より自然に世話を焼く姿は、周囲から「犬みたい」と呼ばれるほど。 高校卒業間近に受けた突然の告白を、煌は「犬として立派になれば考える」とはぐらかした。 けれど大学に進学しても、リンは変わらず隣にいる。 当たり前の存在だったはずなのに、最近どうも心臓がおかしい。 居なくなると落ち着かない自分が、どうしても許せない。 さらに現れた上級生の熱烈なアプローチに、リンの嫉妬は抑えきれず――。 主従なのか、恋人なのか。 境界を越えたその先で、煌は思い知らされる。 従僕の溺愛からは、絶対に逃げられない。

完成した犬は新たな地獄が待つ飼育部屋へと連れ戻される

五月雨時雨
BL
ブログに掲載した短編です。

ふたなり治験棟 企画12月31公開

ほたる
BL
ふたなりとして生を受けた柊は、16歳の年に国の義務により、ふたなり治験棟に入所する事になる。 男として育ってきた為、子供を孕み産むふたなりに成り下がりたくないと抗うが…?!

神官姫と最強最弱の王

深也糸
BL
アズカヴァル国の王、リヴェラ・ライト・アズカヴァルは十八歳になり、成人したことで妃を娶らなければならなかった。 隣国のリゼルハイドの姫、シファ・ヴィオラ・リゼルハイドはリヴェラと娶せられるためにアズカヴァルに逗留することになる。リヴェラに城の中を案内してもらい親睦を深めようとするが、早々に男だとバレてしまい……。 ※週一回 マイペース更新

兄弟カフェ 〜僕達の関係は誰にも邪魔できない〜

紅夜チャンプル
BL
ある街にイケメン兄弟が経営するお洒落なカフェ「セプタンブル」がある。真面目で優しい兄の碧人(あおと)、明るく爽やかな弟の健人(けんと)。2人は今日も多くの女性客に素敵なひとときを提供する。 ただし‥‥家に帰った2人の本当の姿はお互いを愛し、甘い時間を過ごす兄弟であった。お店では「兄貴」「健人」と呼び合うのに対し、家では「あお兄」「ケン」と呼んでぎゅっと抱き合って眠りにつく。 そんな2人の前に現れたのは、大学生の幸成(ゆきなり)。純粋そうな彼との出会いにより兄弟の関係は‥‥?

灰かぶりの少年

うどん
BL
大きなお屋敷に仕える一人の少年。 とても美しい美貌の持ち主だが忌み嫌われ毎日被虐的な扱いをされるのであった・・・。

上司、快楽に沈むまで

赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。 冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。 だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。 入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。 真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。 ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、 篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」 疲労で僅かに緩んだ榊の表情。 その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。 「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」 指先が榊のネクタイを掴む。 引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。 拒むことも、許すこともできないまま、 彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。 言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。 だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。 そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。 「俺、前から思ってたんです。  あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」 支配する側だったはずの男が、 支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。 上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。 秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。 快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。 ――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。

処理中です...