銀の鳥籠

善奈美

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銀の鳥籠SS

018 慣れも必要!

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「マシロ!」
 
 そう言いながらマシロを抱き上げたのは母さん。その横で次は自分だとせっついてるのは父さん。マシロも慣れてるから、母さんと頬を擦り合わせてる。その光景を見て驚いているのがユエとライカ。何驚いてんだよ。こんなの普通だろう?
 
「何、驚いてんだよ」
「これが普通なの?」
 
 ユエがギュッとアサギの手を握り締めたまま、目の前の光景に驚いてる。そうこうしているうちに、母さんが父さんにマシロを奪われてる。そこで目に入ったアサギの姿。突進してきた母さんに、アサギが驚いてユエの足にしがみついた。
 
「抱っこしても良いかしら? マシロは奪われてしまったし」
 
 吃驚した顔を見せたユエだけど、小さく頷いた。アサギはといえば、ユエを壁にして母さんを伺ってる。手を伸ばしてアサギを抱き上げた母さん。緊張していたアサギだけど、母さんがキュッと抱き締めると、おずおずと抱き返した。
 
「こんなお婆ちゃんだけど、マシロのお婆ちゃんよ。よろしくね」
 
 父さんと母さんの行動に驚いてるライカとユエの両親。クレハさんとカエデさん、クチバさんとシロガネさんは慣れてるからな。また、始まったくらいの感覚なんだろうな。
 
 父さんと母さんがマシロとアサギを堪能し合った頃、母さんがマシロとアサギの目の前にある物を差し出した。母さんの好みは取り敢えず可愛い物。差し出されたのはリュックなんだけど、パッチワークで作られてて、子供サイズ。当然、二人の瞳はキラキラと輝き始める。その光景を見たライカとユエの両親。ユエの両親は結局、二人の可愛さに負けた。元々、子供好きだったんだろうな。でも、ユエが自分達より強い魔力を持って生まれてきたから、どうして良いか分からなかったんだと思う。しかも、初等部に入ると接触も少なくなったんだろうし。
 
 リュックを背負わせてもらった二人。大はしゃぎで室内を走り回ってる。それを追いかける二組の夫婦。ただ、ライカの両親だけが未だに戸惑いを隠しきれねぇみてぇ。
 
「今日は熟睡だよな」
「何言ってんの? いつも熟睡だろう?」
「帰る頃には船漕いでると思うけど」
「あのさ。アサギまで貰っちゃって良かったの?」
「何が?」
「リュック。あれ、売ってるものじゃないよな?」
 
 多分、母さんが作ったんだと思うんだけど。よく、アサギのまで作ってくれたよな。連絡なんてしてねぇし。二人の誕生日を祝うのを決めたのは、本当にいきなりだったしさ。
 
「夜なべしたのかね。もう歳なんだしさ。無理すんなって」
「夜なべ?」
「オレ達って自分達の子供だけを育ててるわけじゃねぇだろう? ん?」
 
 ちょっと待て。母さんがルイに何か渡してんだけど。ユエと二人で近づいて行ったら、渡された大きな袋の中には五つのリュック。
 
「二人だけの分だけだと喧嘩になっちゃうでしょう? 他の子達の分も作ったのよ。余り布を使ってるし気にしないでね」
「無理したんじゃないんですか?」
「そんなことないわよ」
 
 これ、無理しただろうよ。
 
「本当の孫はマシロだけだけど、他の子達も孫みたいなものでしょう? 楽しく作ることができたのよ」
 
 それを聞いたライカの両親。驚いたように目を見開いてる。ライカが破壊の魔力だけで、育児放棄じゃなく、驚きと戸惑いがあったんだろうな。ユエは両親に捕まってて、ユエも頷いてる。ライカの両親もオレの両親が子供に接している姿を見て、見上げてきたアサギにおずおずと手を差し伸べてる。
 
 ぎこちないけど、そのうち、慣れてくんだろうな。その前に、この、大騒ぎ状態。収拾付くのかよ?!
 
「サクヤ?」
 
 ルイが不思議そうに俺を覗き込んでくる。
 
「この状態。誕生日を祝うはずだったんだけど」
「良いんじゃない? サクヤのご両親のお陰で、ライカとユエの両親も楽しんでるみたいだし」
 
 自分の子と孫は別格、とはよく言うけどさ。マシロとアサギはあとで愚図るかもな。覚悟しないと。
 
 
終わり。
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