280 / 281
銀の鳥籠Ⅱ マシロ&アサギ編
015 蚊帳の外
しおりを挟む
あの後、帰って行った父さん達。どうなったかなんて、一切連絡を寄越さない。言っとくけど、俺達だって当事者なんだよ。
そんな愚痴を休日にシロガネさんと祖母であるカエデに零してる。昼を食べる為にクチバさんとシロガネさんが経営している店にアサギと共に訪れたんだ。
使っている部屋は一番店の奥。セキュリティが一番しっかりしてる部屋だ。父さんも好んで使ってるらしい。広さは六畳程。その部屋にあるテーブルと椅子は四人分で木製。壁は木目を利用していて落ち着いてる。床もフローリングだ。
食事を終えた俺とアサギの前に座るのはカエデさんとシロガネさん。
「ルイが動いてる事は知ってるよ」
カエデさんはどうなっているかは知らないと言う。まあ、父さんだし、母さんにすら何も言ってなさそう。カエデさんとクレハさんは祖父母なんだけど、見た目が若すぎて、じいちゃんばあちゃんとは言えない。だから、さん付けで呼んでる。
カエデさんは癖のない銀髪緑瞳。俺の髪色は父さんもだけど、カエデさんに似たんだと思う。シロガネさんは癖のない白銀の髪を長く伸ばしていて、瞳は水色。二人とも肌は白い。
「それより、この子達よ」
シロガネさんが俺達の肩にいる二匹を見詰めてる。
「ライカさんにお祝いって貰ったんだ」
「お祝い?」
そうか。俺の中の種をアサギに移した事を知らないんだ。教えるのは危険を伴うって理由もある。
「婚約祝い」
「魔法使いが婚約なんて、聞いた事がないわ」
俺も聞いた事はないです。でも、二人は俺達家族の体の中にユグドラシルの種があるのを知ってる。
「俺が襲われた話は聞いたの?」
「それは聞いたよ。ルイやサクヤだけじゃなくマシロまで」
カエデさんは溜め息吐いてる。父さんと母さんも波瀾万丈な学生時代を過ごしてるから。本人達から聞いたんじゃなくて、ほぼ、噂話で知ったんだけどね。
「どうも、俺とアサギを引き離そうとしてるみたいだから、ユグドラシルに父さんが助けを乞うたんだ」
二人は思いっきり目を見開いてる。まさか、ユグドラシルの名前が出てくるとは考えてなかったみたいだ。普通なら話さない。でも、この店のセキュリティは最高だから。
「つまり?」
「俺の中の種をアサギに移したんだ」
「そんな事をしたら、マシロの種がなくなるんじゃないかしら?」
「知らなかったんだけど、体内で増えてるみたいで」
更なる事実を話したら、二人は驚愕の表情を浮かべた。ユグドラシルの種が増えるなんて、普通、考え及ばない。
「あの種は魔力って言うより、マナの塊だから。普通の魔法使いじゃ感知出来ない」
「じゃあ、アサギは体内に種を宿しちゃったの?!」
「うん。だから、ユグドラシルに会ったんだ。種を取り出して移す事が出来るのがのユグドラシルだけだから」
カエデさんがやっと事の重大さに気が付いたみたいだ。
「そのせいなのか、ライカさんが採集してきた……」
俺はスオウの額の石を指差した。二人は指差した場所を凝視。それに耐えられなかったスオウが俺の髪の毛の中に顔を隠した。
「額の石。最初、ただの石だったんだ。それが、俺達の魔力を喰らってこの姿になったんだよ」
緑の体毛で、羽とフサフサの尻尾。長い耳は垂れ下がってる。艶やかな毛並みが、手触りいいんだ。
「幻獣なんて初めて目の前で見たわね」
「そうだね。狩人の仕事をしてる時、目の端に捉える事くらいはあったけど、基本、人には近付かないから」
父さんが言ってたっけ。クレハさんとカエデさん、クチバさんとシロガネさんは元狩人だったって。今じゃ、立派に街で飲食店を経営してる。叔母のツバキと奥さんのシラユキさんも此処で働いてるんだよな。
「それで、どうなってるのかしら?」
「ここだけの話。学校の結界に綻びがあって」
俺はそう言うとアサギに視線を向けた。アサギは小さく頷く。
「父さんとルイさん。リッカさんが最初に来て、その後、サクヤさんが来たんだけど」
「母さん、手掛かりを浄化しちゃったんだよ」
母さんの浄化力は半端じゃない。誰もが認める立派な空気清浄機だ。
「あら。流石サクヤね。手掛かりは全くないのかしら?」
「手掛かりはスオウが教えてくれた」
「スオウ?」
「俺の肩にいるカーバンクル」
もし、父さん達が危惧している事が真実で、スオウとヒイロが被害にあった幻獣なら大変な事態だ。つまり、二匹の持つ魔力を奪い取ったって事だろう。そして、二匹は低燃費の姿でいるしかなかったんだ。そこへ、ライカさんが採集で訪れた。これ幸いとライカさんの手の中に二匹は多分、飛び込んだんだよ。
「何が起こってるのかしら?」
シロガネさんの表情が厳しくなる。おそらく、あの人ばりにとんでもない事態なのかも。問題は知ってる魔法使いが少ない事。そして、この危険人物はもしかしたら、アサギの祖先かもしれない事だ。
「父さん達はそれを調べてるんだ。どうなってるのかは分からない」
調べて分からないのか。分かった事で教えてくれないのか。そこが分からないから、ここで愚痴ってるんだよ。面倒だけど、教えてくれないのもモヤモヤしてスッキリしない!
そんな愚痴を休日にシロガネさんと祖母であるカエデに零してる。昼を食べる為にクチバさんとシロガネさんが経営している店にアサギと共に訪れたんだ。
使っている部屋は一番店の奥。セキュリティが一番しっかりしてる部屋だ。父さんも好んで使ってるらしい。広さは六畳程。その部屋にあるテーブルと椅子は四人分で木製。壁は木目を利用していて落ち着いてる。床もフローリングだ。
食事を終えた俺とアサギの前に座るのはカエデさんとシロガネさん。
「ルイが動いてる事は知ってるよ」
カエデさんはどうなっているかは知らないと言う。まあ、父さんだし、母さんにすら何も言ってなさそう。カエデさんとクレハさんは祖父母なんだけど、見た目が若すぎて、じいちゃんばあちゃんとは言えない。だから、さん付けで呼んでる。
カエデさんは癖のない銀髪緑瞳。俺の髪色は父さんもだけど、カエデさんに似たんだと思う。シロガネさんは癖のない白銀の髪を長く伸ばしていて、瞳は水色。二人とも肌は白い。
「それより、この子達よ」
シロガネさんが俺達の肩にいる二匹を見詰めてる。
「ライカさんにお祝いって貰ったんだ」
「お祝い?」
そうか。俺の中の種をアサギに移した事を知らないんだ。教えるのは危険を伴うって理由もある。
「婚約祝い」
「魔法使いが婚約なんて、聞いた事がないわ」
俺も聞いた事はないです。でも、二人は俺達家族の体の中にユグドラシルの種があるのを知ってる。
「俺が襲われた話は聞いたの?」
「それは聞いたよ。ルイやサクヤだけじゃなくマシロまで」
カエデさんは溜め息吐いてる。父さんと母さんも波瀾万丈な学生時代を過ごしてるから。本人達から聞いたんじゃなくて、ほぼ、噂話で知ったんだけどね。
「どうも、俺とアサギを引き離そうとしてるみたいだから、ユグドラシルに父さんが助けを乞うたんだ」
二人は思いっきり目を見開いてる。まさか、ユグドラシルの名前が出てくるとは考えてなかったみたいだ。普通なら話さない。でも、この店のセキュリティは最高だから。
「つまり?」
「俺の中の種をアサギに移したんだ」
「そんな事をしたら、マシロの種がなくなるんじゃないかしら?」
「知らなかったんだけど、体内で増えてるみたいで」
更なる事実を話したら、二人は驚愕の表情を浮かべた。ユグドラシルの種が増えるなんて、普通、考え及ばない。
「あの種は魔力って言うより、マナの塊だから。普通の魔法使いじゃ感知出来ない」
「じゃあ、アサギは体内に種を宿しちゃったの?!」
「うん。だから、ユグドラシルに会ったんだ。種を取り出して移す事が出来るのがのユグドラシルだけだから」
カエデさんがやっと事の重大さに気が付いたみたいだ。
「そのせいなのか、ライカさんが採集してきた……」
俺はスオウの額の石を指差した。二人は指差した場所を凝視。それに耐えられなかったスオウが俺の髪の毛の中に顔を隠した。
「額の石。最初、ただの石だったんだ。それが、俺達の魔力を喰らってこの姿になったんだよ」
緑の体毛で、羽とフサフサの尻尾。長い耳は垂れ下がってる。艶やかな毛並みが、手触りいいんだ。
「幻獣なんて初めて目の前で見たわね」
「そうだね。狩人の仕事をしてる時、目の端に捉える事くらいはあったけど、基本、人には近付かないから」
父さんが言ってたっけ。クレハさんとカエデさん、クチバさんとシロガネさんは元狩人だったって。今じゃ、立派に街で飲食店を経営してる。叔母のツバキと奥さんのシラユキさんも此処で働いてるんだよな。
「それで、どうなってるのかしら?」
「ここだけの話。学校の結界に綻びがあって」
俺はそう言うとアサギに視線を向けた。アサギは小さく頷く。
「父さんとルイさん。リッカさんが最初に来て、その後、サクヤさんが来たんだけど」
「母さん、手掛かりを浄化しちゃったんだよ」
母さんの浄化力は半端じゃない。誰もが認める立派な空気清浄機だ。
「あら。流石サクヤね。手掛かりは全くないのかしら?」
「手掛かりはスオウが教えてくれた」
「スオウ?」
「俺の肩にいるカーバンクル」
もし、父さん達が危惧している事が真実で、スオウとヒイロが被害にあった幻獣なら大変な事態だ。つまり、二匹の持つ魔力を奪い取ったって事だろう。そして、二匹は低燃費の姿でいるしかなかったんだ。そこへ、ライカさんが採集で訪れた。これ幸いとライカさんの手の中に二匹は多分、飛び込んだんだよ。
「何が起こってるのかしら?」
シロガネさんの表情が厳しくなる。おそらく、あの人ばりにとんでもない事態なのかも。問題は知ってる魔法使いが少ない事。そして、この危険人物はもしかしたら、アサギの祖先かもしれない事だ。
「父さん達はそれを調べてるんだ。どうなってるのかは分からない」
調べて分からないのか。分かった事で教えてくれないのか。そこが分からないから、ここで愚痴ってるんだよ。面倒だけど、教えてくれないのもモヤモヤしてスッキリしない!
0
あなたにおすすめの小説
従僕に溺愛されて逃げられない
大の字だい
BL
〈従僕攻め×強気受け〉のラブコメ主従BL!
俺様気質で傲慢、まるで王様のような大学生・煌。
その傍らには、当然のようにリンがいる。
荷物を持ち、帰り道を誘導し、誰より自然に世話を焼く姿は、周囲から「犬みたい」と呼ばれるほど。
高校卒業間近に受けた突然の告白を、煌は「犬として立派になれば考える」とはぐらかした。
けれど大学に進学しても、リンは変わらず隣にいる。
当たり前の存在だったはずなのに、最近どうも心臓がおかしい。
居なくなると落ち着かない自分が、どうしても許せない。
さらに現れた上級生の熱烈なアプローチに、リンの嫉妬は抑えきれず――。
主従なのか、恋人なのか。
境界を越えたその先で、煌は思い知らされる。
従僕の溺愛からは、絶対に逃げられない。
ふたなり治験棟 企画12月31公開
ほたる
BL
ふたなりとして生を受けた柊は、16歳の年に国の義務により、ふたなり治験棟に入所する事になる。
男として育ってきた為、子供を孕み産むふたなりに成り下がりたくないと抗うが…?!
神官姫と最強最弱の王
深也糸
BL
アズカヴァル国の王、リヴェラ・ライト・アズカヴァルは十八歳になり、成人したことで妃を娶らなければならなかった。
隣国のリゼルハイドの姫、シファ・ヴィオラ・リゼルハイドはリヴェラと娶せられるためにアズカヴァルに逗留することになる。リヴェラに城の中を案内してもらい親睦を深めようとするが、早々に男だとバレてしまい……。
※週一回 マイペース更新
兄弟カフェ 〜僕達の関係は誰にも邪魔できない〜
紅夜チャンプル
BL
ある街にイケメン兄弟が経営するお洒落なカフェ「セプタンブル」がある。真面目で優しい兄の碧人(あおと)、明るく爽やかな弟の健人(けんと)。2人は今日も多くの女性客に素敵なひとときを提供する。
ただし‥‥家に帰った2人の本当の姿はお互いを愛し、甘い時間を過ごす兄弟であった。お店では「兄貴」「健人」と呼び合うのに対し、家では「あお兄」「ケン」と呼んでぎゅっと抱き合って眠りにつく。
そんな2人の前に現れたのは、大学生の幸成(ゆきなり)。純粋そうな彼との出会いにより兄弟の関係は‥‥?
上司、快楽に沈むまで
赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。
冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。
だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。
入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。
真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。
ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、
篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」
疲労で僅かに緩んだ榊の表情。
その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。
「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」
指先が榊のネクタイを掴む。
引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。
拒むことも、許すこともできないまま、
彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。
言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。
だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。
そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。
「俺、前から思ってたんです。
あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」
支配する側だったはずの男が、
支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。
上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。
秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。
快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。
――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる