銀の鳥籠

善奈美

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銀の鳥籠Ⅱ マシロ&アサギ編

015 蚊帳の外

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 あの後、帰って行った父さん達。どうなったかなんて、一切連絡を寄越さない。言っとくけど、俺達だって当事者なんだよ。
 
 そんな愚痴を休日にシロガネさんと祖母であるカエデに零してる。昼を食べる為にクチバさんとシロガネさんが経営している店にアサギと共に訪れたんだ。
 
 使っている部屋は一番店の奥。セキュリティが一番しっかりしてる部屋だ。父さんも好んで使ってるらしい。広さは六畳程。その部屋にあるテーブルと椅子は四人分で木製。壁は木目を利用していて落ち着いてる。床もフローリングだ。
 
 食事を終えた俺とアサギの前に座るのはカエデさんとシロガネさん。
 
「ルイが動いてる事は知ってるよ」
 
 カエデさんはどうなっているかは知らないと言う。まあ、父さんだし、母さんにすら何も言ってなさそう。カエデさんとクレハさんは祖父母なんだけど、見た目が若すぎて、じいちゃんばあちゃんとは言えない。だから、さん付けで呼んでる。
 
 カエデさんは癖のない銀髪緑瞳。俺の髪色は父さんもだけど、カエデさんに似たんだと思う。シロガネさんは癖のない白銀の髪を長く伸ばしていて、瞳は水色。二人とも肌は白い。
 
「それより、この子達よ」
 
 シロガネさんが俺達の肩にいる二匹を見詰めてる。
 
「ライカさんにお祝いって貰ったんだ」
「お祝い?」
 
 そうか。俺の中の種をアサギに移した事を知らないんだ。教えるのは危険を伴うって理由もある。
 
「婚約祝い」
「魔法使いが婚約なんて、聞いた事がないわ」
 
 俺も聞いた事はないです。でも、二人は俺達家族の体の中にユグドラシルの種があるのを知ってる。
 
「俺が襲われた話は聞いたの?」
「それは聞いたよ。ルイやサクヤだけじゃなくマシロまで」
 
 カエデさんは溜め息吐いてる。父さんと母さんも波瀾万丈な学生時代を過ごしてるから。本人達から聞いたんじゃなくて、ほぼ、噂話で知ったんだけどね。
 
「どうも、俺とアサギを引き離そうとしてるみたいだから、ユグドラシルに父さんが助けを乞うたんだ」
 
 二人は思いっきり目を見開いてる。まさか、ユグドラシルの名前が出てくるとは考えてなかったみたいだ。普通なら話さない。でも、この店のセキュリティは最高だから。
 
「つまり?」
「俺の中の種をアサギに移したんだ」
「そんな事をしたら、マシロの種がなくなるんじゃないかしら?」
「知らなかったんだけど、体内で増えてるみたいで」
 
 更なる事実を話したら、二人は驚愕の表情を浮かべた。ユグドラシルの種が増えるなんて、普通、考え及ばない。
 
「あの種は魔力って言うより、マナの塊だから。普通の魔法使いじゃ感知出来ない」
「じゃあ、アサギは体内に種を宿しちゃったの?!」
「うん。だから、ユグドラシルに会ったんだ。種を取り出して移す事が出来るのがのユグドラシルだけだから」
 
 カエデさんがやっと事の重大さに気が付いたみたいだ。
 
「そのせいなのか、ライカさんが採集してきた……」
 
 俺はスオウの額の石を指差した。二人は指差した場所を凝視。それに耐えられなかったスオウが俺の髪の毛の中に顔を隠した。
 
「額の石。最初、ただの石だったんだ。それが、俺達の魔力を喰らってこの姿になったんだよ」
 
 緑の体毛で、羽とフサフサの尻尾。長い耳は垂れ下がってる。艶やかな毛並みが、手触りいいんだ。
 
「幻獣なんて初めて目の前で見たわね」
「そうだね。狩人の仕事をしてる時、目の端に捉える事くらいはあったけど、基本、人には近付かないから」
 
 父さんが言ってたっけ。クレハさんとカエデさん、クチバさんとシロガネさんは元狩人だったって。今じゃ、立派に街で飲食店を経営してる。叔母のツバキと奥さんのシラユキさんも此処で働いてるんだよな。
 
「それで、どうなってるのかしら?」
「ここだけの話。学校の結界に綻びがあって」
 
 俺はそう言うとアサギに視線を向けた。アサギは小さく頷く。
 
「父さんとルイさん。リッカさんが最初に来て、その後、サクヤさんが来たんだけど」
「母さん、手掛かりを浄化しちゃったんだよ」
 
 母さんの浄化力は半端じゃない。誰もが認める立派な空気清浄機だ。
 
「あら。流石サクヤね。手掛かりは全くないのかしら?」
「手掛かりはスオウが教えてくれた」
「スオウ?」
「俺の肩にいるカーバンクル」
 
 もし、父さん達が危惧している事が真実で、スオウとヒイロが被害にあった幻獣なら大変な事態だ。つまり、二匹の持つ魔力を奪い取ったって事だろう。そして、二匹は低燃費の姿でいるしかなかったんだ。そこへ、ライカさんが採集で訪れた。これ幸いとライカさんの手の中に二匹は多分、飛び込んだんだよ。
 
「何が起こってるのかしら?」
 
 シロガネさんの表情が厳しくなる。おそらく、あの人ばりにとんでもない事態なのかも。問題は知ってる魔法使いが少ない事。そして、この危険人物はもしかしたら、アサギの祖先かもしれない事だ。
 
「父さん達はそれを調べてるんだ。どうなってるのかは分からない」
 
 調べて分からないのか。分かった事で教えてくれないのか。そこが分からないから、ここで愚痴ってるんだよ。面倒だけど、教えてくれないのもモヤモヤしてスッキリしない!
 
 
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