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第九章 在るべき姿の世界
第百三十四話 限られた世界
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「私は、何を信じれば良いのか分からなくなりそうだ」
「……見たことない。こんなの、知らない」
「世界の端がこんなとは……聞いたこともありませんでしたな」
ただ、驚くしか無かった。
チミテリア山の山頂から、少し進んだ先。
世界の果てには、壁があった。
しかし、それしか無かったのだ。
これでは雪山に隠された世界の果ては、本当に果てだったということになる。
これでは、この世界における地球が丸いのかも、そもそもここが地球なのかさえ分からない。
そもそもここは異世界なのだろうか?
この手記を書いている今になって考えてみれば、俺とガラテヤ様が生きていた地球から、遠く遠く離れたワームホールの先の、時空が歪みに歪んだ果ての、限りなく地球に近い星……なんてことも、あり得るのかもしれない。
まるで理解できない。
ハニーヤを狂死させ、アンドレアを絶望させた事実。
俺達は全員生きて、何とか現状と目を合わせることはできているが……今見えているものが、その秘密全てであるとは限らない。
そこまで含めて何も理解できず、目の前を見つめるしか無いのである。
今まで普通だと思っていた常識は、今まさに崩れ去ったのだと……実感は無いが、そう思う。
「ちょっと、近づいてみるか」
俺は壁にゆっくりと歩み寄り、手を伸ばす。
「……危ないワ!ジィンちゃん!」
「ハッ!?」
すると、背後から何かが飛んでくる。
「わ、私のパワードスーツ!」
「ピピピ……。対象を観察中、対象を観察中……」
振り返った俺のすぐ目の前に浮いていたのは、ケーリッジ先生が袋に入れて持ってきたパワードスーツ。
「へ、はぁ……?何、どうすりゃいいのコレ」
「ちょ、ジィン君!それ、どうなってるの!?」
ケーリッジ先生は慌てながら、フワフワと浮くスーツを眺めていた。
「俺に聞かれても困りますよ」
「魂を認証シマシタ。世界の果てへようこそ、マスター。選ばれし救世主よ」
「はい?」
パワードスーツは一人でに喋り出す。
何を言っているか分からないが、ひとまず話を聞いてみるとしよう。
「オヤ、自覚がありませんでしたか?あなたは救世主なのです。ソノ証拠に、たくさんの死者が生まれる時……あなたは、何回も転生しているではありませんか」
「ソドムと戦争二回と地震のこと?そこで転生してることが、俺が救世主であることの証明だってことか?」
「ソノ通りです。ところで……前回、私を装着した人ハ……アナタのお知り合いですか?」
「ケーリッジ先生のこと?ああ、勿論。先生で、パーティの仲間だよ。何ならこの場にいる皆は、全員仲間だ。右からガラテヤ様、ファーリちゃん、ムーア先生、マーズさん、メイラークム先生、バグラディ、アドラさん、そしてケーリッジ先生」
「了解シマシタ。では、そのように認識し、彼らには私を装着し、最高性能を引き出す権限を与えマショウ」
「ああ、ありがとう……?ん?今までのは?前にケーリッジ先生が装着した時、確かに左腕と左脚が動くくらいには強化されてたような」
パワードスーツを見つけた際、ケーリッジ先生は確かにコレを着ている時、怪我で不自由になってしまっている部位が自由に動くと言っていた。
「あんなものは手加減モードで、真ノ力には到底及びマセンよ」
「……ジィン君、何か来るわ」
「そうみたいですね。邪悪な、何かが」
パワードスーツが喋り終わると同時に、かガラテヤ様は壁の反対方向、山の頂上を指差す。
他のパーティメンバーは何も気づいていないようだが、俺とガラテヤ様は確かに感じていた。
それはかつて共に学び舎に集い、そして裏切られ、俺を一度は殺したもの。
その力はもはや気がつかずにはいられない程に、俺とガラテヤ様がもつ霊の魔力を荒ぶり、昂らせているのであった。
「……見たことない。こんなの、知らない」
「世界の端がこんなとは……聞いたこともありませんでしたな」
ただ、驚くしか無かった。
チミテリア山の山頂から、少し進んだ先。
世界の果てには、壁があった。
しかし、それしか無かったのだ。
これでは雪山に隠された世界の果ては、本当に果てだったということになる。
これでは、この世界における地球が丸いのかも、そもそもここが地球なのかさえ分からない。
そもそもここは異世界なのだろうか?
この手記を書いている今になって考えてみれば、俺とガラテヤ様が生きていた地球から、遠く遠く離れたワームホールの先の、時空が歪みに歪んだ果ての、限りなく地球に近い星……なんてことも、あり得るのかもしれない。
まるで理解できない。
ハニーヤを狂死させ、アンドレアを絶望させた事実。
俺達は全員生きて、何とか現状と目を合わせることはできているが……今見えているものが、その秘密全てであるとは限らない。
そこまで含めて何も理解できず、目の前を見つめるしか無いのである。
今まで普通だと思っていた常識は、今まさに崩れ去ったのだと……実感は無いが、そう思う。
「ちょっと、近づいてみるか」
俺は壁にゆっくりと歩み寄り、手を伸ばす。
「……危ないワ!ジィンちゃん!」
「ハッ!?」
すると、背後から何かが飛んでくる。
「わ、私のパワードスーツ!」
「ピピピ……。対象を観察中、対象を観察中……」
振り返った俺のすぐ目の前に浮いていたのは、ケーリッジ先生が袋に入れて持ってきたパワードスーツ。
「へ、はぁ……?何、どうすりゃいいのコレ」
「ちょ、ジィン君!それ、どうなってるの!?」
ケーリッジ先生は慌てながら、フワフワと浮くスーツを眺めていた。
「俺に聞かれても困りますよ」
「魂を認証シマシタ。世界の果てへようこそ、マスター。選ばれし救世主よ」
「はい?」
パワードスーツは一人でに喋り出す。
何を言っているか分からないが、ひとまず話を聞いてみるとしよう。
「オヤ、自覚がありませんでしたか?あなたは救世主なのです。ソノ証拠に、たくさんの死者が生まれる時……あなたは、何回も転生しているではありませんか」
「ソドムと戦争二回と地震のこと?そこで転生してることが、俺が救世主であることの証明だってことか?」
「ソノ通りです。ところで……前回、私を装着した人ハ……アナタのお知り合いですか?」
「ケーリッジ先生のこと?ああ、勿論。先生で、パーティの仲間だよ。何ならこの場にいる皆は、全員仲間だ。右からガラテヤ様、ファーリちゃん、ムーア先生、マーズさん、メイラークム先生、バグラディ、アドラさん、そしてケーリッジ先生」
「了解シマシタ。では、そのように認識し、彼らには私を装着し、最高性能を引き出す権限を与えマショウ」
「ああ、ありがとう……?ん?今までのは?前にケーリッジ先生が装着した時、確かに左腕と左脚が動くくらいには強化されてたような」
パワードスーツを見つけた際、ケーリッジ先生は確かにコレを着ている時、怪我で不自由になってしまっている部位が自由に動くと言っていた。
「あんなものは手加減モードで、真ノ力には到底及びマセンよ」
「……ジィン君、何か来るわ」
「そうみたいですね。邪悪な、何かが」
パワードスーツが喋り終わると同時に、かガラテヤ様は壁の反対方向、山の頂上を指差す。
他のパーティメンバーは何も気づいていないようだが、俺とガラテヤ様は確かに感じていた。
それはかつて共に学び舎に集い、そして裏切られ、俺を一度は殺したもの。
その力はもはや気がつかずにはいられない程に、俺とガラテヤ様がもつ霊の魔力を荒ぶり、昂らせているのであった。
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