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第九章 在るべき姿の世界
第百三十九話 暴風雨
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真っ二つに裂ける、かつての仲間。
アドラさんの胴体は、ぐちゃりと音を立てて落下した。
「ア……ぁ……」
「さようなら、アドラさん……ぁぁっ」
刀を鞘に納め、そのまま俺も膝をつく。
「や、やったの、かしら……ジィン……?はあ、はあ……」
「そう、です……。アドラさんは、俺が殺しました……」
自分で殺しておきながら、情けないことに涙が溢れてきた。
短い間ではあったが、共に果てを目指した仲間だ。
裏切ったのはアドラさんの方だが、彼は彼なりに、俺達の未来を案じていた、それは確かだろう。
この先の未来に、一体何が待っているというのだろうか。
俺はアドラさんの遺体と、彼が持っていたハンマーを、雪の下に見えた地面に埋めた。
「マズい……!マルコシアスがそちらへ行きましたぞ!ジィン様!回避を!」
しかし、別れを悲しむ間もなく、ムーア先生の攻撃を掻い潜ってきたロディアが、こちらへ突っ込んでくる。
「やらせるかよォ!」
間一髪、バグラディが斧で攻撃を防いだが、状況は決して良くはない。
向こうでロディアと戦っていたマーズさんとファーリちゃん、そしてメイラークム先生は弄ばれるかのように防戦を強いられ、疲れと小さなダメージが蓄積している。
パワードスーツを身に纏ったケーリッジ先生と、歴戦の騎士であるムーア先生は、何とか戦えてはいるが……それでも、ロディアに大きな痛手を与えることは、未だできていないようであった。
「中々強いじゃん、バグラディ・ガレア。ジノアがいなかったら、君を依代にしても良かったかもしれないね」
「ざけんじゃァねェ!テメェ如きの餌になるなんざ、死んでも御免だ!」
「あっそ。じゃあ、死んでもらおうか……と、言いたいところだけど。折角だし、あの世へのお土産を見せてあげよう」
「土産だァ……?」
「さあ、君達の親分が迎えに来たよ。【レコンキスタ・ドール】!」
ロディアが両腕を天に伸ばすと、地面に魔法陣が出現する。
「なッ……テメェ!どこまで性根が腐ってやがるッッッ!!!」
「……そりゃあ、全部だよ。悪魔だからね」
現れたのは、かつてバグラディの部下として動き、やがて迎撃作戦で打ち破られて以降、行方不明となっていた、バグラディの部下。
フラッグ革命団の構成員達……だった者達の死体を依代に造られた魔導兵器であった。
「こ、この外道が……!ロディア!!!」
「……ひどい」
合流したマーズさん達は、武器を構えてこちらの援護に回る。
「アドラちゃんは……ダメだったのかしら」
「はい。俺が殺しました。……もう、まともに話が出来なくなっていたので」
「……そう。よく、耐えたわね」
メイラークム先生は少し俯きながら、アドラさんが埋まっている場所に一瞬だけ視線を向け、すぐにロディアの方へ向き直った。
「さて、それじゃあ……第二ラウンドといこうか。……はぁっ!」
ロディアは改めて、俺達に宣戦を布告する。
号令に合わせて、レコンキスタドールの一部がこちらへ突撃を始めた。
「ここは任せて!アン・ケーリッジの真骨頂……見せてあげるわ!」
ケーリッジ先生は長弓を引き、雷を纏う。
「出力、一〇〇パーセントオーバー。リミッター解除。ご無理ナサラズ」
「分かってる!でも、今だけだから……もっと出力を上げて!」
「了解シマシタ。出力、一一〇パーセント、一三〇パーセント……」
「はぁぁぁぁぁぁぁ……!大問題児のロディア・マルコシアス君!全盛期を超える力、喰らってみなさい!」
「面白いね、ケーリッジ先生。これを破れるか、試してみても良いかな」
一方、ロディアは革命団の死体を闇の魔力で積み重ね、巨大な壁を建て始めた。
「出力、一五〇パーセント……!」
「全部まとめて殲滅してあげる!【雷電暴雨斬裂飛】!」
しかし、それをモノともせず。
ケーリッジ先生の一撃は死体の山ごと、ロディアの左肩を大きく抉り、爆発を伴いながら、風穴を開けたのだった。
アドラさんの胴体は、ぐちゃりと音を立てて落下した。
「ア……ぁ……」
「さようなら、アドラさん……ぁぁっ」
刀を鞘に納め、そのまま俺も膝をつく。
「や、やったの、かしら……ジィン……?はあ、はあ……」
「そう、です……。アドラさんは、俺が殺しました……」
自分で殺しておきながら、情けないことに涙が溢れてきた。
短い間ではあったが、共に果てを目指した仲間だ。
裏切ったのはアドラさんの方だが、彼は彼なりに、俺達の未来を案じていた、それは確かだろう。
この先の未来に、一体何が待っているというのだろうか。
俺はアドラさんの遺体と、彼が持っていたハンマーを、雪の下に見えた地面に埋めた。
「マズい……!マルコシアスがそちらへ行きましたぞ!ジィン様!回避を!」
しかし、別れを悲しむ間もなく、ムーア先生の攻撃を掻い潜ってきたロディアが、こちらへ突っ込んでくる。
「やらせるかよォ!」
間一髪、バグラディが斧で攻撃を防いだが、状況は決して良くはない。
向こうでロディアと戦っていたマーズさんとファーリちゃん、そしてメイラークム先生は弄ばれるかのように防戦を強いられ、疲れと小さなダメージが蓄積している。
パワードスーツを身に纏ったケーリッジ先生と、歴戦の騎士であるムーア先生は、何とか戦えてはいるが……それでも、ロディアに大きな痛手を与えることは、未だできていないようであった。
「中々強いじゃん、バグラディ・ガレア。ジノアがいなかったら、君を依代にしても良かったかもしれないね」
「ざけんじゃァねェ!テメェ如きの餌になるなんざ、死んでも御免だ!」
「あっそ。じゃあ、死んでもらおうか……と、言いたいところだけど。折角だし、あの世へのお土産を見せてあげよう」
「土産だァ……?」
「さあ、君達の親分が迎えに来たよ。【レコンキスタ・ドール】!」
ロディアが両腕を天に伸ばすと、地面に魔法陣が出現する。
「なッ……テメェ!どこまで性根が腐ってやがるッッッ!!!」
「……そりゃあ、全部だよ。悪魔だからね」
現れたのは、かつてバグラディの部下として動き、やがて迎撃作戦で打ち破られて以降、行方不明となっていた、バグラディの部下。
フラッグ革命団の構成員達……だった者達の死体を依代に造られた魔導兵器であった。
「こ、この外道が……!ロディア!!!」
「……ひどい」
合流したマーズさん達は、武器を構えてこちらの援護に回る。
「アドラちゃんは……ダメだったのかしら」
「はい。俺が殺しました。……もう、まともに話が出来なくなっていたので」
「……そう。よく、耐えたわね」
メイラークム先生は少し俯きながら、アドラさんが埋まっている場所に一瞬だけ視線を向け、すぐにロディアの方へ向き直った。
「さて、それじゃあ……第二ラウンドといこうか。……はぁっ!」
ロディアは改めて、俺達に宣戦を布告する。
号令に合わせて、レコンキスタドールの一部がこちらへ突撃を始めた。
「ここは任せて!アン・ケーリッジの真骨頂……見せてあげるわ!」
ケーリッジ先生は長弓を引き、雷を纏う。
「出力、一〇〇パーセントオーバー。リミッター解除。ご無理ナサラズ」
「分かってる!でも、今だけだから……もっと出力を上げて!」
「了解シマシタ。出力、一一〇パーセント、一三〇パーセント……」
「はぁぁぁぁぁぁぁ……!大問題児のロディア・マルコシアス君!全盛期を超える力、喰らってみなさい!」
「面白いね、ケーリッジ先生。これを破れるか、試してみても良いかな」
一方、ロディアは革命団の死体を闇の魔力で積み重ね、巨大な壁を建て始めた。
「出力、一五〇パーセント……!」
「全部まとめて殲滅してあげる!【雷電暴雨斬裂飛】!」
しかし、それをモノともせず。
ケーリッジ先生の一撃は死体の山ごと、ロディアの左肩を大きく抉り、爆発を伴いながら、風穴を開けたのだった。
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