怪しい二人 夢見る文豪と文学少女

暇神

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#4 浮気調査

#4ー7 永遠のおしどり夫婦

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「えーと……まあ、結果は聞くまでも無いって感じですか?」
「はい。一週間、有難うございました」

 昨日、彼等が神域に入った辺りで、俺は追跡を諦めた。普通の神隠しや、神格持ちの神域なら兎も角、地脈から力を得ている土地神の神域には、『許可証』が無くては入れないのだ。仕方が無い。
 そして、今日、結果を渡す予定の日に事務所に現れた彼女は、夫の樹さんを引き連れて来たのだ。まあ、ここまでは分かる。言い逃れとか嫌だもんね。分かる分かる。だけどさ、腕にしがみついて、満面の笑みなんてさ、俺達の仕事何だったんだろうと思うじゃないか。
 まあ、こっちでも浮気の証拠とか見つからなかったし、そもそもしてないだろうし、良いんだけどさ。
 しかし、一応仕事はしたので、金は貰おう。契約書の通り、依頼証を貰った俺達は、出て行く彼等の背中を見送った。
 彼等の影も見えなくなった頃、先生が急に口を開いた。
「しっかし、彼等程仲の良い夫婦なんて珍しいな。あれだもんな」
「そうですね。まあ、何事も無くて良かったですよ」
 先生は、「まあ、そうだな」と言って、壺を磨いている。おい、それは何時、何処で買った物だ。問い詰めると、案の定木曜日に見つけた、あそこで買った物らしい。ダメだこの人。一番金を持っちゃいけないタイプの人だ。
 その後、しっかり先生を叱ったが、まあいつもの事だし、辞めはしないだろう。せめて自分の財布から出してくれよ頼むから。
 しかしあの二人、一体何時からあの関係なのだろう。たかが人間の俺達から見れば、途方も無いような昔からかも知れないし、案外最近かも知れない。まあ、もう依頼も終わった事だし、関わる事は少ないだろう。見かけたら挨拶しとこう。
 しかし、ああいうのを見ていると、少し考えてしまう。会長が、先生と俺がくっつくのを望む理由だ。組織を盤石にしたいのも分かるし、正直、俺もこの関係を何と呼べば良いか悩む事がある。だが、先生はボッキュッボンの美人じゃないし、先生も俺を異性として見る事は無いだろう。考えるだけ無駄だ。
 そんな事を考えながら、俺は今日の昼食を作る為、冷蔵庫を開けた。




 もし、彼等が結ばれるとするなら、それは間違いなく、『神のご意思』なのだろう。

 彼等は、一つなのだ。一つでなくてはならないのだ。

 今は離れていたとしても、いずれ、結び付く。

 この世の終着点。我々はそこに向かうのだ。

 今は、ここで良い。
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