怪しい二人 夢見る文豪と文学少女

暇神

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#7 人類保護連盟

#7ー24 真価

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 俺と修司君、慎太郎さんと会長はそれぞれの場所で行動を開始した。俺と修司君であの化物を引き付け、その間に会長と慎太郎さんが神殺しを回収する。先生の準備が終わるまでの時間稼ぎを、それでこなす。
「八神!あの巨体に打撃は効くと思うか!?」
「気になれば試せば良い!俺もやりたい事全部やってやる!」
 出し惜しみは無しにしよう。俺は霊力を身体から放出し始め、自分自身のギアを上げる。
「神様あ!」
「分かってるよ!僕も補助位はできる!」
 あの時は俺一人だったからこの状態でいられる時間が短かったが、神様の補助があれば、そこそこ長期戦になっても対応できる。俺はこの五人の中だと一番弱いんだ。やれる事を全部やって、食らいつくしか無い。
 俺は霊力を纏った状態で、目の前の化物にぶつかって行く。修司君は奴の腹に向かって、打撃を与える。化物の身体はびくともしない。一撃で駄目なら何発も何発もぶち込むまで。俺は可能な限りの最高速度で、次の攻撃を加える。
 それでもびくともしない化物の身体にうんざりしていると、俺の身体は突然宙に浮かされた。どうやら、修司君に抱えられているようだ。
「八神!このままじゃ埒が明かんだろ!合わせるぞ!」
「このまま俺をぶつけるのか!?」
「当たり前!耐えろよ!」
「ああやってやるよ!」
 修司君は俺の身体を持ったまま、化物の頭に向かって落ちて行く。最高速度に達した瞬間、修司君は俺の身体を化物の頭に投げた。俺は原稿用紙を巨大な槍の形に変え、奴に向かって行く。俺が奴の頭部にぶつかると同時に、俺の谷内は化物の頭を貫いた。化物は身体をよろけさせ、少しの間だけ動きを止める。
 俺の身体は再度修司君に回収される。俺は宙に浮く感覚を味わいながら、次の攻撃を考える。
「八神!もっかい行けるか!?」
「行ける!行くぞ!」
「応!」
 修司君は再度俺を抱えたまま加速するが、敵はもう一度を許さないように、俺達に向かって、無数の槍を飛ばす。修司君は俺を抱えたまま、ギリギリの所で避ける。
「危ねえ!」
「俺の盾じゃ無理だな……修司君!こうしてるだけでも時間稼ぎになる!先生に当たらないように避け続けよう!」
「分かった!だけど、盾の展開はしてくれよ!」
「分かった!」
 俺は神様と強力して、修司君の周りに壁を展開する。修司君は飛び回り、無数に飛んで来る槍や弾丸、爆弾を避ける。それでも避けられない物は、俺の盾で逸らして被弾を無くす。
 この状態が続けば、時間稼ぎの目標は達成できる。後は、会長と慎太郎さん、そして先生の準備が整うのを待つだけだ。
 しかし、奴は自分に向かって来る羽虫が、一匹足りない事に気が付いた。奴は周囲を見回し、その一匹を見つけた。
「まさかアイツ……気が付いたか!?」
「不味いな!岩戸は今動けねえ!」
 どうする?会長と慎太郎さんはまだか?先生は今動けない。どうやって守る?さっきと同じ攻撃をする?いや今から加速しては足りない。そもそも、奴はいくつもの術式を同時に操っている。現に今も、先生の方を見ながら、俺達に攻撃し続けている。どうすれば良い?どうすれば……
 化物はその巨大な右腕を、先生に向かって構える。先生はそれに気付くが、動けない。
「ヤバい!岩戸が潰れたら、少なくとも勝ち目は消えるぞ!」
「分かってる!」
 分かってるんだよそんな事は!どうする!?どうする!?どうする!?どうする!?どうすれば勝てる!?どうすれば良い!?
 落ち着け。この場で先生を守る手段を考えろ。あのデカブツの拳を防げる方法は何だ?そしてそれを実行可能な人間は?考えるまでも無い。
「修司君!俺を先生の前に投げろ!」
「正気か!?」
 俺は俺を疑うような目の修司君に向かって笑い、堂々と宣言してやる。
「ああ至って正気さ!」
「分かった!死ぬなよ!」
「当然!まだ死んでやる気は無い!」
 修司君は俺の身体を思い切り投げ、先生の所へ送る。俺は空中で、神様と協力して術を展開する。
「夢を孕んだ紙切れよ!我が力を以て、夢を守る盾となれ!」
 俺は着地すると同時に、巨大な盾を展開する。俺は自身の身体を限界まで強化し、襲い来るであろう衝撃に備える。

「我が名は八神蒼佑!百の物語を紡ぐ者也!」

 化物は拳を振り下ろし、今後自身の障害となるであろう存在を叩き潰そうとする。
「八神くん!」
「安心して守られててください!」
 俺は化物の拳を、巨大な盾で受ける。正面から受け止める必要は無い。受け流せ。それまでは耐えろ。俺は衝撃を横に流す。流す。耐える。潰れる。潰れるかと思う。死んでしまうと思う。
 ここでもし俺が死んだとして、この場に居る人間はどうなる!?先生はどうなる!?耐えろ!この攻撃を耐えて、その後どうなっても構わない!耐えろ!受けろ!
 身体が千切れるような痛みを感じる。そして治す。潰れて、千切れて、弾けて、それでも構わない。この攻撃を耐えられたなら。
 化物の拳は地面に辿り着き、空高く土煙を上げる。生きている。先生は無事だろうか。俺は後ろを見て、先生の姿を視界に捉える。良かった。無事だ。少なくとも、俺は自分の役割は果たせた。俺は安堵からか、ボロボロで血だらけな身体を、地面に倒した。
 だが、化物にとってそれは大きな事ではなかった。化物はその右腕を再び構え、俺達に向かって振り下ろす。もう俺も動けない。
 そんな状況でも、俺は笑っていられた。化物の右肩に、二つの影を見たからだ。その陰は見慣れない武器を携えて、その右腕を切り落とす。
「あああああああああああああああああああああ!」
 化物は今まで、一度も上げる事の無かった悲鳴を上げた。その二つの影は、俺と先生の目の前に降り立ち、血に濡れた刀を振って、血を飛ばす。
「遅くなったのう。八神君」
「すまんの。儂ら二人の探知を使っても、神殺しの刀を探すのには時間が掛かっての」
 化物の右腕は、極端に再生が遅くなっている。切り落とされたその腕は、未だ生えては来ない。
「助かりました。後は、お願いします」
 俺は目の前の、この世で最も頼もしい老人、西園寺達也と神宮寺慎太郎の背中を見つめている。二人は刀を再び構え、「応とも」と答えた。
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