優の異世界ごはん日記

風待 結

文字の大きさ
65 / 80

クリスタルグローブとシャンデューの輝き

しおりを挟む


日記 三十四日目


月光の滝の清涼な響きを後にして、僕たちはクリスタルグローブにたどり着いた。  
結晶の光とシャンデューのキラキラした甘さに心が躍る。  
エルフの料理文化に触れて、ルミエールバタフライとの小さな戦いを乗り越え、みんなと新しいレシピに挑戦した。  
キラのピピッという鳴き声が、まるで「この味、僕も味わいたい!」って歌ってるみたい。  
グローブの魔法はどんな新しい冒険を連れてくるんだろう?  


---


朝、月光の滝の水しぶきを後にしてセリナの案内でクリスタルグローブへ向かう。小道は結晶の欠片が散らばる岩場に続いていて遠くでグローブの光がちらついている。キラが馬車の荷台でピピッと鳴き、ふわふわの羽を揺らす。まるで「グローブで何作る?」とワクワクしてるみたいだ。

「この結晶の光、まるで料理に魔法をかけてくれそうだね。シャンデューってどんな食感なんだろう? セリナ、エルフの料理文化だとどうやって使うの?」

僕が聞くとセリナが岩場の光を眺めながら答えた。

「シャンデューは甘く軽い結晶で、魔力回復効果が強いわ。エルフの料理では、素材の輝きを活かすため、ゼリーやデザートに散らすことが多いの。セドラリーフを合わせると、香りが柔らかく引き立つわ。」

リナが早速岩に触れて目を輝かせる。  

「わあ!シャンデュー、ゼリーにしたらキラキラしそう! エルフのデザートってシンプルで素敵だね! トムはどんな風に食べたい?」

「俺はグリルも欲しいけど、セドラリーフでサラダに華やかな風味つけたいぜ! セリナ、グローブにグリルできる魔獣いる?」

トムが聞くとセリナが微笑む。  

「クリスタルグローブにはルミエールバタフライって魔獣がいるわ。動きは軽やかで、肉は繊細な甘み。グリルにすると香ばしいよ。エルフは魔獣の魔力を引き出すため、セドラリーフや香辛料で丁寧に味付けするの。」

カイラが結晶の魔力をスキャンしながら言う。  

「ルミエールバタフライ、グリルに合いそうね。優、シャンデューのゼリーはセドラリーフでどう味を整える? エルフのハーブ使いも参考になるわ。」

僕が荷台の道具を整理しながら言う。  

「ゼリーはシャンデューの甘さを活かして、セドラリーフで清涼なアクセントを加えたいかなあ。トム、グリルの味付けで何か面白いアイデアある?」

「ルミエールバタフライなら、セドラリーフと香辛料で軽くスパイシーな感じにしたいぜ! ゼリーのトッピングはキラキラしたの考えたいな!」

「ハハ! 優、シャンデューとルミエールバタフライ! グローブでド派手な料理作って、エルフの連中を驚かせようぜ! 昼には着くぞ!」

手綱を握りながらエリックが大声を出すとローラが穏やかに微笑む。  

「エリック、声大きいわよ。優、エルフのシンプルなデザートが参考になりそうね。どんな風に仕上げる?」


---


昼、馬車がクリスタルグローブに到着した。結晶の壁が月光を反射してグローブ全体がキラキラと輝いている。シャンデューの小さな結晶が地面に散らばって甘い香りが漂う。エルフの集落から同行したシエルヴェインが、結晶の光を指差す。

「ここがクリスタルグローブよ。シャンデューはあの辺に散らばってるわ。セドラリーフも近くに生えてる。」

結晶の隙間からルミエールバタフライが飛び出してくる。光る翅を持つ小さな魔獣が、キラキラと舞いながら馬車に接近してきた。トムが追跡ランタンを構えて叫ぶ。  

「優!来たぜ!ルミエールバタフライだ! 速いぞ! 俺とエリックで抑えるから、シャンデューを守ってくれよ!」

「トム、エリック、結晶の光で動きを追って! カイラ、風魔法で翅を鈍らせて! リナ、セリナ、シャンデューの結晶をカバーして! みんな、無理しないで!」

カイラが風魔法を放ち、ルミエールバタフライの翅を一時的に鈍らせる。トムとエリックがランタンの光で魔獣を牽制し、エリックが剣で翅を狙って動きを止める。リナとセリナがシャンデューの結晶を守り、リナが叫ぶ。  

「優! シャンデュー、しっかり守ってるよ! トム、早くやっつけて!」

数分後、トムがランタンの光を集中させ、ルミエールバタフライを気絶させる。エリックが拳を振り上げ、笑う。  

「ハハ! 優、シャンデュー守ってくれてサンキュ! こいつはグリルにピッタリだぜ!」

僕がシャンデューを手に、笑いながら言う。  

「みんな、素晴らしいチームワーク! ルミエールバタフライはグリルにしたら香ばしそうだね。シエルヴェインさん、エルフのグリルでどういうハーブの使い方をする?」

シエルヴェインが微笑む。  

「エルフは魔獣の魔力を活かすため、グリルにハーブをたっぷり使うわ。ルミエールバタフライなら、セドラリーフで甘みを引き出し、香辛料で軽い刺激を加えるのが伝統よ。優さんのアレンジが楽しみね。」


---


グローブの結晶に囲まれたキャンプを設営し、月光に照らされた焚き火を囲む。トムとエリックがルミエールバタフライを解体し、僕とリナがシャンデューとセドラリーフを摘む。キラがシャンデューを嗅ぎ、ピピッと鳴く。まるで「この結晶で何かすごいの作って!」って応援してるみたいだ。

「シャンデューのキラキラした甘さ、グローブの輝きと合いそうだね。ゼリーにセドラリーフを加えて、軽やかな風味にしたいな。リナ、トッピングでどんな雰囲気を出したい?」

僕が食材を並べながら聞くとリナが目を輝かせて答えた。

「優! セドラリーフを細かくして、ゼリーに結晶みたいなキラキラ感をプラスしたい! トムはどんなトッピングにする?」

「シャンデューの欠片を細かく砕いて、ゼリーに散りばめようぜ! グリルの味付けはどうする?」

僕が焚き火を見ながら答える。  

「グリルはルミエールバタフライにセドラリーフと香辛料で、香ばしさと甘みを引き出そう。ゼリーはリナとトムのトッピングで、グローブの輝きを表現するよ。」

試作開始。シャンデューを蜂蜜水で溶かし、セドラリーフを混ぜ、スターオーブンで冷やしてゼリーに。カイラが風魔法でキラキラした泡を加えると、ゼリーはグローブの結晶のように輝き、食べると軽い甘さと魔力回復効果が広がる。ルミエールバタフライの肉は薄く切り、セドラリーフと香辛料で味付けし、焚き火で焼く。香ばしい香りが漂い、食べると体が温まるスタミナアップ効果を感じる。


「このゼリー、シャンデューの甘さがグローブの光みたいだ。リナ、トム、キラキラのトッピング、すごくいいよ! シエルヴェインさん、エルフの伝統と比べてどう?」

食べながら僕が聞くとシエルヴェインがゼリーを味わい、目を輝かせる。  

「優さん、素晴らしいわ! エルフは素材の魔力をそのまま活かすけど、このゼリーはグローブの魔法を閉じ込めたみたい。セドラリーフの使い方も新鮮で素敵よ。」

カイラがゼリーを食べて頷く。  

「このゼリーは魔力回復効果が強いわ。セドラリーフのバランスも絶妙ね。グリルも香ばしくて良いわよ。」

トムがグリルを頬張り、満足げに言う。  

「このルミエールバタフライ、香ばしくて最高だぜ!ゼリーのトッピングも俺たちのセンス、いいだろ?」

リナがゼリーを食べて笑う。  

「一緒にトッピング考えるの、楽しかった! このゼリー、グローブのキラキラみたい! シエルヴェインさん、もっと食べる?」

エリックがグリルを手に、結晶の光の中で叫ぶ。  

「ハハ! 優、このゼリーとグリル、クリスタルグローブより輝いてるぜ! シエルヴェイン、もっとエルフ呼んで、宴会拡大だ!」

セリナがエルフの仲間と話しながら微笑む。  

「優さんの料理、グローブの魔法と調和してるわ。次のレシピも楽しみね。」

ローラがゼリーを味わいながら言う。  

「シャンデューのゼリー、素敵よ。リナとトムのトッピングのアイデアも最高ね。次も優をサポートしてね。」

キラがピピッと鳴き、ゼリーの欠片を舐めて跳ねる。まるで歌ってるみたいだ。


---


月光が結晶の壁を照らし、グローブ全体が幻想的な光に包まれる。シエルヴェインがグローブの奥を指差す。  

「明日、グローブの奥にあるミラージュレイクに行く? そこでしか採れないクレールドロップがあるわ。シャンデューと合わせると、すごいドリンクになるわよ。」

「クレールドロップ?名前から想像すると透き通った甘さなのかな?ドリンクなら、どんな風味や見た目を狙おう? カイラは魔力のバランスで何かひらめく?」

僕が聞くとカイラが微笑みながら答える。  

「優、クレールドロップは癒しと魔力回復効果が強そうね。シャンデューと混ぜて、キラキラしたドリンクはどう? 楽しみだわ。」


「優! ドリンクにクレールドロップを浮かべて、キラキラさせたい! トム、トッピング一緒に考えようよ!」

リナが目を輝かせて提案するとトムがニヤリと笑い、答える。  

「リナのキラキラ、いいな! セリナ、レイクに魔獣いる?」

セリナが穏やかに答える。  

「ミラージュレイクは、月光が水面に映る美しい場所よ。クレールドロップは甘く爽やかで、魔力回復効果が強いわ。レイクにはエクラフィンって魔獣もいるの。」

エリックが拳を振り上げ、叫ぶ。  

「うおおお!ミラージュレイク! なんか冒険っぽいな! 優、そこでまたド派手な宴会やろうぜ! エルフの連中、もっと驚かせろよ!」

「まったくもう、エリックは静かになることはないのかしらね?」


---


クリスタルグローブの輝きと、シャンデューのキラキラした甘さが、僕たちの旅を彩ってくれた。  
明日はミラージュレイクへ向かい、クレールドロップに出会う予定だ。
湖かー、どんなところなんだろうね?




しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

スーパーの店長・結城偉介 〜異世界でスーパーの売れ残りを在庫処分〜

かの
ファンタジー
 世界一周旅行を夢見てコツコツ貯金してきたスーパーの店長、結城偉介32歳。  スーパーのバックヤードで、うたた寝をしていた偉介は、何故か異世界に転移してしまう。  偉介が転移したのは、スーパーでバイトするハル君こと、青柳ハル26歳が書いたファンタジー小説の世界の中。  スーパーの過剰商品(売れ残り)を捌きながら、微妙にズレた世界線で、偉介の異世界一周旅行が始まる!  冒険者じゃない! 勇者じゃない! 俺は商人だーーー! だからハル君、お願い! 俺を戦わせないでください!

目立ちたくない召喚勇者の、スローライフな(こっそり)恩返し

gari@七柚カリン
ファンタジー
 突然、異世界の村に転移したカズキは、村長父娘に保護された。  知らない間に脳内に寄生していた自称大魔法使いから、自分が召喚勇者であることを知るが、庶民の彼は勇者として生きるつもりはない。  正体がバレないようギルドには登録せず一般人としてひっそり生活を始めたら、固有スキル『蚊奪取』で得た規格外の能力と(この世界の)常識に疎い行動で逆に目立ったり、村長の娘と徐々に親しくなったり。  過疎化に悩む村の窮状を知り、恩返しのために温泉を開発すると見事大当たり! でも、その弊害で恩人父娘が窮地に陥ってしまう。  一方、とある国では、召喚した勇者(カズキ)の捜索が密かに行われていた。  父娘と村を守るため、武闘大会に出場しよう!  地域限定土産の開発や冒険者ギルドの誘致等々、召喚勇者の村おこしは、従魔や息子(?)や役人や騎士や冒険者も加わり順調に進んでいたが……  ついに、居場所が特定されて大ピンチ!!  どうする? どうなる? 召喚勇者。  ※ 基本は主人公視点。時折、第三者視点が入ります。  

異世界へ誤召喚されちゃいました 女神の加護でほのぼのスローライフ送ります

モーリー
ファンタジー
⭐︎第4回次世代ファンタジーカップ16位⭐︎ 飛行機事故で両親が他界してしまい、社会人の長男、高校生の長女、幼稚園児の次女で生きることになった御剣家。 保険金目当てで寄ってくる奴らに嫌気がさしながらも、3人で支え合いながら生活を送る日々。 そんな矢先に、3人揃って異世界に召喚されてしまった。 召喚特典として女神たちが加護やチート能力を与え、異世界でも生き抜けるようにしてくれた。 強制的に放り込まれた異世界。 知らない土地、知らない人、知らない世界。 不安をはねのけながら、時に怖い目に遭いながら、3人で異世界を生き抜き、平穏なスローライフを送る。 そんなほのぼのとした物語。

修学旅行のはずが突然異世界に!?

中澤 亮
ファンタジー
高校2年生の才偽琉海(さいぎ るい)は修学旅行のため、学友たちと飛行機に乗っていた。 しかし、その飛行機は不運にも機体を損傷するほどの事故に巻き込まれてしまう。 修学旅行中の高校生たちを乗せた飛行機がとある海域で行方不明に!? 乗客たちはどこへ行ったのか? 主人公は森の中で一人の精霊と出会う。 主人公と精霊のエアリスが織りなす異世界譚。

うちの孫知りませんか?! 召喚された孫を追いかけ異世界転移。ばぁばとじぃじと探偵さんのスローライフ。

かの
ファンタジー
 孫の雷人(14歳)からテレパシーを受け取った光江(ばぁば64歳)。誘拐されたと思っていた雷人は異世界に召喚されていた。康夫(じぃじ66歳)と柏木(探偵534歳)⁈ をお供に従え、異世界へ転移。料理自慢のばぁばのスキルは胃袋を掴む事だけ。そしてじぃじのスキルは有り余る財力だけ。そんなばぁばとじぃじが、異世界で繰り広げるほのぼのスローライフ。  ばぁばとじぃじは無事異世界で孫の雷人に会えるのか⁈

祝・定年退職!? 10歳からの異世界生活

空の雲
ファンタジー
中田 祐一郎(なかたゆういちろう)60歳。長年勤めた会社を退職。 最後の勤めを終え、通い慣れた電車で帰宅途中、突然の衝撃をうける。 ――気付けば、幼い子供の姿で見覚えのない森の中に…… どうすればいいのか困惑する中、冒険者バルトジャンと出会う。 顔はいかついが気のいいバルトジャンは、行き場のない子供――中田祐一郎(ユーチ)の保護を申し出る。 魔法や魔物の存在する、この世界の知識がないユーチは、迷いながらもその言葉に甘えることにした。 こうして始まったユーチの異世界生活は、愛用の腕時計から、なぜか地球の道具が取り出せたり、彼の使う魔法が他人とちょっと違っていたりと、出会った人たちを驚かせつつ、ゆっくり動き出す―― ※2月25日、書籍部分がレンタルになりました。

チート魔力はお金のために使うもの~守銭奴転移を果たした俺にはチートな仲間が集まるらしい~

桜桃-サクランボ-
ファンタジー
金さえあれば人生はどうにでもなる――そう信じている二十八歳の守銭奴、鏡谷知里。 交通事故で意識が朦朧とする中、目を覚ますと見知らぬ異世界で、目の前には見たことがないドラゴン。 そして、なぜか“チート魔力持ち”になっていた。 その莫大な魔力は、もともと自分が持っていた付与魔力に、封印されていた冒険者の魔力が重なってしまった結果らしい。 だが、それが不幸の始まりだった。 世界を恐怖で支配する集団――「世界を束ねる管理者」。 彼らに目をつけられてしまった知里は、巻き込まれたくないのに狙われる羽目になってしまう。 さらに、人を疑うことを知らない純粋すぎる二人と行動を共にすることになり、望んでもいないのに“冒険者”として動くことになってしまった。 金を稼ごうとすれば邪魔が入り、巻き込まれたくないのに事件に引きずられる。 面倒ごとから逃げたい守銭奴と、世界の頂点に立つ管理者。 本来交わらないはずの二つが、過去の冒険者の残した魔力によってぶつかり合う、異世界ファンタジー。 ※小説家になろう・カクヨムでも更新中 ※表紙:あニキさん ※ ※がタイトルにある話に挿絵アリ ※月、水、金、更新予定!

異世界ネットスーパー始めました。〜家事万能スパダリ主夫、嫁のために世界を幸せにする〜

きっこ
ファンタジー
家事万能の主夫が、異世界のものを取り寄せられる異世界ネットスーパーを使ってお嫁ちゃんを癒やしつつも、有名になっていく話です。 AIと一緒に作りました。私の読みたいを共有します 感想もらえたら飛んで喜びます。 (おぼろ豆腐メンタルなので厳しいご意見はご勘弁下さい) カクヨムにも掲載予定

処理中です...