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008 三階廊下の攻防、助っ人VS金次郎像
しおりを挟む三階の仕掛けは、いきなりすべり台になる階段であることが判明した。
ならばその仕掛けを作動させなければいい。
そこで「ここは吾輩の出番であるな」とジンさんが、ずいと前へ出る。
さっそく名探偵のごとく現場検証を始める。
「さっきは五段目まで異常がなかった。ということは、その先にこそ罠を作動させる何かがあるということ。この吾輩の明晰なる頭脳にかかれば、その程度のトラップ、たちどころに看破してやろうとも」
自信満々の人体模型。
だからわたしも「ひょっとしたらこれはイケるかも」と期待した。
でも、その次の瞬間のことであった。
階段はいきなりすべり台になって、ジンさんは「ノォオォォォォーッ」と叫びながら、穴の底へと落ちていった。
「「………………」」
わたしと一枝さんは無言でそれを見送る。
しばらくすると階段はカタンと元に戻り、穴も消えた。
すると次は自分の番だとばかりにカクさんが動く。
「ふん、阿呆め。小手先の知恵に頼るからダメなのだ。こういうのは真正面からねじ伏せ突破すればよい!」
言うなり骨格標本がぴょんと座ったのは階段の手すりである。
そこをシャーッと滑り降りて、この試練をクリアしようとの考えらしい。
これはうまくイキそうだったので、わたしも「おぉ」と前のめりになるも、そう簡単にはいかなかった。
ふたたび階段がすべり台になったところで、手すりもカコンと下がって斜めになった。
「なんと!」
これにはカクさんもアゴがはずれんばかりに驚いていた。
で、「不覚なり~~」と叫びながら穴の底に落っこちていった。
まるでコントのような光景である。とても見ちゃいられない。
あまりの惨状に、わたしは両手で自分の顔を隠した。
そこでタイムアップ。
チャイムが鳴って、やってきた二宮金次郎像にわたしは捕獲され、またもやふりだしに戻る。
〇
ジンさんとカクさんは当てにならない。
一枝さんはあくまで付き添い役らしく、最低限にしか関与してこない。
頼れるのは自分だけだ。
あらためてそのこと理解したわたしは、今度は自分で階段を調べてみることにする。
その間、ジンさんとカクさんには見張りを頼んでおいた。
まずわたしは上履きの片方を脱いで、階段に投げてみる。
「うーん、反応ナシか」
念のために、もう片方も投げてみたけれど、やはり階段はうんともすんともいわない。
上履きでは軽すぎるのか、小さすぎるのか。
だったらと、お次は階段の踊り場にあるゴミ箱を「えいっ」
心のなかで「散らかしてごめんなさい」とあやまりつつ、段差をすべらせるようにして落としてみる。
が、これでも階段は沈黙したまま。
お次はカクさんから借りたデッキブラシ片手に、身を乗り出しては叩いてみる。
五段目までは安全地帯なので、そこから目いっぱい腕をのばしては、手当たり次第にトントン、トントン。
それでもやはり階段に変化はナシ。
「もしかしたら人以外には反応しないのかも」
だったら空でも飛ばないかぎりは、どうやっても作動してしまう。
「あっ、そうか。ならいっそのことおもいきって飛んじゃう――のは、さすがに無茶だよねえ」
残りの段をいっきに飛び降りる。
やってやれなくはなさそう。
でもかなりリスクが高い。
よくて捻挫か、最悪ぼきりと足の骨が折れちゃうかも。
いや、佳乃さまの加護がある自分なら大丈夫か?
なにせ車に撥ねられてもへっちゃらだったし、けど……
どうにも決心がつかず、わたしがウンウンうなっていたら、ここでまたしてもタイムアップを迎える。
キンコンカンとチャイムが鳴った。
ヤツがくる。
のだけれども、いままでとはちがう点がある。
それは階段の入り口を守るようにして立つ、ジンさんとカクさんの存在だ。
「ここを通りたければ吾輩を倒してから行くがよい」
「ふふん、ちょこざいな。返り討ちにしてやるわ」
ドドドと向かってくる二宮金次郎像を前にして、勇ましい二人。
ジンさんはともかく、カクさんは元武士らしいから期待していいかも。
人体模型と骨格標本のタッグVS二宮金次郎像。
ゴー、ファイト!
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